「※ネタバレあり 骨 オオカミの家 感想」オオカミの家 とーし子さんの映画レビュー(感想・評価)
※ネタバレあり 骨 オオカミの家 感想
短編映画、「骨」との併映です。
※ネタバレあり 「骨」感想
骨は、なんか私が感覚おかしいって思われそうですが、大爆笑してしまいました。
だって人骨をバスケットに入れて森の中をルンルンお散歩とか、人骨でドンドコ叩いて召還とか、もうなんか不謹慎なんですけどシュールで面白くて。でも頭蓋骨が人の顔に変わったところあたりから笑いが止まって、逆になんか泣けてきました。この女の子は人の死体を操ってまで叶えたい願いだとか愛情があるんだなって思って勝手に泣けてしまいました。映像は人の呻くような声とかキーキーする音と相まってすごく怖いんですが。ちなみになんかチリのある歴史背景があって(ネットの監督インタビューに載ってました。)それを知るとちょっとだけ理解できるそうです。
個人的には感情を揺さぶられたって点で本編より好きでした。
※ネタバレあり「オオカミの家」感想
「骨」のインパクトがすごかったせいか、こっちは初めちょっと眠く感じました。ああ、変な映像だなあ、ぬるぬる動くなあ、すごく手間かかってるんだろうなあ、マリアきれいだなあ、みたいな。
アナとペドロについては、火事の時に焼いちゃって、それをマリアが食べたんだと思いました。(腕と足が生えて人になったのはマリアの妄想なのかなって思ってました。)
でもその事実をマリアは認めたくなくて、火事で生き残ったってことに頭の中で書き換えて、ついでに自分なりの「白人はきれい」って考え方でアナとペドロを理想化して、でもアナとペドロの残りを食べきっちゃってお腹がすいて、自分がアナとペドロを食べたのだって事実に直面しそうになって、それで、「アナとペドロが自分を食べようとしている」って主体と客体を反転させてオオカミに助けを求めたのかなって思いました。
少なくとも私は、自分が相手に対して悪いことを考えているのに、「相手が自分に対して悪いことを考えている」って反転させがちなことがあるので、そういうことなのかなって思いました。
そうやって主体と客体を反転させるのは、自分が悪いことを考えているという事実の無意識の罪悪感から逃れたいっていうのもあるのかもしれません。
そして無意識の罪悪感につけこんで洗脳は行われるのかなと思いました。そして一度洗脳を受けた人は同じように他の人を洗脳してしまう。人を洗脳するならその人の一生に責任を持てよ、閉じこめるなり殺すなりしてさ、ムリだろ、じゃあするな、っていうテーマに思えました。
なんにしても洗脳されないためには、私たちが自分自身の悪意を認める、ってことが必要なのかなって勝手に思いました。
映画から脱線しましたが、映像は評判通りすごかったです。こんな風に感想を話すと人間性を露呈しかねないので、なかなか感想を話し合う人を選ぶ映画だなって思いました。