「表現手法がテーマを喰ってしまっている」オオカミの家 jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
表現手法がテーマを喰ってしまっている
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本編は取ってつけたかのようなコミュニティへの賛辞から始まる。ストーリーは、コミュニティに息苦しさを感じた主人公がここから脱退し、自分の理想のコミュニティを作ろうとするが、うまく運営できず反逆に逢い、元のコミュニティに戻るといった内容。
本作は実在したコミュニティ「コロニア・ディグニダ」から着想を得て作成されたと説明されている。コロニア・ディグニダについて調べてみると、管理や風習に大きな問題があったことが分かり、ここから本作のテーマはコミュニティ運営の難しさであると思われる。
しかし、表現方法が展開や登場人物の心理描写を難解なものにしているため、テーマが伝わりづらく、不気味さを売りにしたホラーアニメ映画としてしか見做されかねない作品になっている。
表現手法は非常に斬新で面白みがあるものの、個人的には本作のテーマを描くにはあまり向いていないと感じた。同時上映の「骨」はこの表現手法にマッチしており、短いながらも見応えがある作品だった。
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