哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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ベラは自らの欲求にのみ従う
簡潔にまとめると、①女性の権利と性の解放をテーマにした、②ゴージャスでアートなエログロ面白映画です。①を訴えるよりは、②をやりたかったのかなという気はします。
追記
本作は美術が優れた作品で、ぜひもう一度観たいと思いましたが、1月末に弟が緊急入院して、余裕が無くなりました。感想はルーズリーフにまとめていたので頑張ってレビューを上げたのですが、消えてしまいました。
再度のレビューですが、私としてはこんな個性的な作品に当たり障りのない無難な感想を書いても仕方ないとは思っています。ただ、どこが悪かったのかわからないので、詳しく書くことが出来ません。一つだけ書きますが、①より②がテーマと思ったのは、18禁だからです。欧米では何歳から観ることができるのか知りませんが、日本では高校生が観ることは出来ません。本当に伝えるべき人たちに伝えられません。
共感とコメントを下さった方々にはお詫びいたします。
あと、こまめにこのサイトを見る余裕が無く、共感してくださった方をたどりにくくなっていることもお詫びします。
世界の痛みに、堪えられません
動いているのは太陽ではない。我々が暮らす大地が、動いているのだ…。こう唱えた学者さん、神への冒涜として、処刑されそうになりました。ヒトが作った良識ある社会とは、時として、ヒトの進化を妨げるものです。(この話に興味ある方は、マンガ「チ。」をご覧下さい。)
醜悪の美と云うか、可憐な蓮は泥より出でると云うか、綺麗は汚い、汚いは綺麗と云うか…。
R18とのことですが、性的描写より、精神的消耗のほうがキツい映画。ベラちゃんのように、自分の無知を知るヒトなら、更なる高みを目指すことも、できるのでしょうが…。ただ、性的好奇心→知的好奇心→社会的好奇心の順に関心を持つのは、妙に納得してしまいます。
良識ある社会は、ヒトを暮らしやすくするシステムとして有効ですが、一方でヒトの可能性を、摘んでいるのかもね。世界の痛みに、真正面から向き合える純粋さを、ベラちゃんから少し分けてもらいたいものです。(因みに、マザー・テレサは、その純粋さを生涯持ち続けたようです。凄い人。)
今の私がpoorな世界に暮らす、poorな存在だとしても、ヒトの可能性はmuchであってほしいな。
とはいえ、私には荷が重い映画。新しい世界の始まりを告げる陣痛に、堪えられそうにありません。この映画、思い出しながらご飯食べたら、口から泡吹きそうな気がします。皆さんも、是非お試しあれ!。
倫理観が捨て去られた、最高に狂気に溢れた作品
前もって、私は映画を見る時高確率でポップコーンを食べます。どんな作品でもあまり問いません。
なんなら「首」を見た際にも構わずポップコーンを食べてました。
しかし、私は初めてポップコーンを買って後悔をしました
だからこそ、これからこの作品を観る人はネタバレは極力避けますが前もってポップコーンを買わない事をお勧めします。
(感想)
作品の冒頭、それは完全に倫理観が捨て去られたもので
あった。予告から塩ポップコーンを食べ続けていた私はこの作品に「多少の過激表現はあるけど食べても大丈夫だろう」という予想から遥かに裏切られ、珍しく手が止まり「プライベートライアン」の冒頭の衝撃以来に恐ろしさが閃光した。このように私たちが考えているであろう倫理(この世の道理)が捨て去られた。
最初は「やばい、これ耐えれないかも」と思うように一度たりとも無い途中退場を考えたのであった。
しかし、その狂気は次第に麻痺して笑みに変わってしまった。そのような気持ち悪さを考える余儀がないくらい映像と音楽、内容それぞれに秀逸さが滲み出ていた。
映像
これは観る前でも分かるだろうが、カメラワーク、舞台そして背景が「絵画」のように素晴らしい。これまで舞台や背景が素晴らしい・綺麗な作品はたくさん見てきたが、
内容は気持ち悪いのに関係なく描いている。そうして作品自体が最高に狂っていると感じた。
音楽
これは是非、映画館で観てもらいたい点になるが内容と同様に我々が思う(少なからず自分は感じた)不快に感じる音を最大限にBGMとして出しているのだ。いわゆるミニシアターで上映されるマニアックな作品に使われているかもしれないが、自分はこんなにも人が不快になりそうな音を多くの場面で使っていることに何度も狂気を感じた。
しかし、その反面絵画のような心地よい音も出しており、こんなにも最悪と幸福を使い分けた映画音楽は無いのだと感じた。
内容
そして作品の根幹となる「内容」
ネタバレは極力防ぎたいのであまり事細やかく書けないが
最初は「とてつもなく気持ち悪い、こんな倫理観が捨てられた作品は初めてだ」と思っていたが次第にそれは麻痺してしまう。その気持ち悪さを乗り越え、それを面白さと捉えた上で哲学的な表現、三つや四つ上のようなレベルの高い会話によって主人公ベラの変化を表しているのではないか。私自身最初から最後手前まで理解することが難しかった。しかし、改めてベラの人生の歩み方を見ているのだとようやく感じることができた。
私は何度も登場人物の成長を大きく描いた作品は見てきた。しかし、こんなにもスタートが狂気であり、前例に当てはめることができなかった作品である。この作品は例外であるもののその"変化"に感動せずにはいられなかったのである。
最後に総評を記していきたい
この作品には前評判がとても良く、大きな期待が寄せられていたが、私の想像を大いに裏切ってきた。この作品は本当に観るものを選んでいく。カップルでこの作品を観に行くなんて是非反対する。私も何回も見たいとは勿論思わない。
それでもこの作品は"一度"でいいから見て欲しい。
今までの概念を覆すかもしれない、もしかしたらこの作品に快楽を覚えるかもしれない。もちろん拒絶反応をしても仕方ない。
そのくらいオスカーを取ってもおかしくない。
"映画史"に残ってもおかしくない作品だったと
私は考える。
とにかく映像が綺麗だし世界観が好き!
エマストーンの顔がオシャレで
着ている衣装もめっちゃ可愛くて
世界観も現実離れしていて
西洋の美術館みたいな雰囲気!!
映画館の大画面で見て良かったなと思いました。
たださすがR18作品、グロ描写よりもエロ描写が多かったですが、エマの色気がないためか濡れ場も芸術作品を見ているような感じで鑑賞できました。
私は1人(20代女性)で鑑賞しましたが、周りは40代50代男女半々くらいの割合で、1人で観に来ている人が多めでした。
脳移植というファンタジー要素の中にも、ただの愛人だと思っていたベラに依存していくダンカンや、スラムの存在を知ったときのベラの絶望感、生活していくために体を売って汚いおじさんともヤラなくてはいけない描写は現実世界にもあることなのでとてもリアルでした。
エログロ耐性はあるほうなので私は大丈夫でしたが、気軽に友達を誘えるような作品ではないです。笑
個人的には、ベラの娼婦になった後のモノトーン衣装がカッコよくて似合っていて素敵だった…!
そして夢の中にいるような映像美なので、内容は深く考えすぎず頭を空っぽにしてから見るのがオススメかもしれません!
今年の最高傑作かも
まだ1月なのに、今年のベストワンに出会ってしまったかも知れない。
物凄く新しい斬新な作品だけれども、同時に、古くから多くの才能のある作家達がチャレンジしてきたテーマも含まれており、斬新な作品と過去の名作との比較で、時代性を感じることもできる、本当に傑作だと思った。
過去の名作で、比較対象になるのは、まずは、黒澤清監督の「ドレミファ娘の血は騒ぐ」
さらに遡ると、サルトル•カミュの時代の無神論的実存主義。その時代の作品群。あの時代に影響を受けた学生たちが、性欲に突き動かされ、女の子に「自分の欲望を開放せよ。モノガミーなんて下らない」と言って口説いていたのが懐かしく思い出される。自分もその一人だった。今振り返ると恥ずかしい。
さらに、そのような口説き文句を真に受けて自由奔放に振る舞う女に対する谷崎文学。「痴人の愛」もこの系譜につらなるかもしれない。
ただし、この映画が新しいのが、上記の文学作品群が全て男視点だったのに対して、完全に主人公のベラ(エマ・ストーン)目線で描かれているところだ。しかしながら、現代においても、この作品が男性監督の手によるもので、女性監督ではなかった、というところが2020年代という時代の縛りを感じさせるものでもあり、新しい時代への流れも感じさせる。
途中退出者が
凄いものを見てしまった…
女性の成長譚
新宿ピカデリーにて鑑賞🎥
最初は「エマ・ストーンは、いったい何者?」と思ってしまう奇怪な行動が多かったが、彼女が存在している経緯を知ると「なるほど!」と思う。
そして、彼女が様々な経験を通じて「大人の女性」になっていく成長譚が描かれた映画だった。
しかし、成長する姿を描くにしても、やはりエロすぎる😄w
また、彼女の存在経緯の奇抜な設定は、あの手塚治虫の傑作「ブラックジャック」にも無い。「よく考えたものだ…」と感心してしまった。
更に、船の造形や(赤ん坊が多く亡くなる村へ通じるはずの階段が壊れた)城砦の造形も見事であった✨
中世ものにとどまらず、未来的描写を上手く融合させた監督の手腕はアッパレ‼️
グロい場面がそんなに無かったのは、個人的に良かった🤣笑
これは、なかなか素晴らしいダークファンタジーではなかろうか。
鑑賞後に気分が楽しくなる種類のものではないが、良いものを観た(^-^)
<映倫No.49713>
驚異のランティモス監督。圧倒的な芸術作品。
まず、これは作品自体の感想ではないが、
『籠の中の乙女』(※)から十年余りで、このレベルの総合芸術を作り上げたランティモス監督の手腕に驚愕して、鑑賞後はしばらく放心した。監督の長編作品はほぼ全て見てきたが、これまでの制作ノウハウを確実かつすごいスピードで吸収し、それを壮大な掛け算にしてアウトプットしていると感じた。50年以上やり続けてもこの境地に辿り着ける芸術家は ー特に、大勢のアーティストと協業する芸術である映画の監督はー 多くないのではないか。本当に同じホモサピエンス種なのかと疑うほどの衝撃だった。
※ 単に、低予算作品、という意味で。規模こそ小さいが、テーマ表現やショット演出は初期から群を抜いていた。
本作のテーマやストーリー構成については、
監督が脚本も書いて思うがままに演出している過去作と比べてしまうと、物語の力強さ&アークの丁寧さに欠ける印象。原作の脚色への苦心が感じ取れるというか。エピローグも少し乱暴に感じた。
それで-0.5だけしてしまったが、それも畏れ多いほどにあまりに美しい映像体験で、神さまの創作物かのような圧倒的な芸術作品だと感じた。
なんか
頑張れ、頑張れ!
字だけのエンドクレジットになるな、なるな・・やったぁ!!これだけで☆一つ。ベラが洗練されてくるとちょっと魅力が無くなる、将軍の屋敷での下りは大分退屈。でも将軍の末路は良かった。
エマ・ストーンは確かに達者でしたが、ウィレムデフォーの方に強く揺さぶられました。
大人向けファンタジー
見たことのないプロットで人の進化を辿る。凄まじい!新しい!
あらすじ読んだときはさっぱり意味がわからなかった。口コミからも見る前は異様に脱ぐのね、位しか分からず、沢山賞をとっていることと、エマストーンでなければ見たかどうか。でも久々に満席でなかなか取れない映画でもあった。
結果、凄まじかった。見るべきだった。赤裸々な娼婦のセックスシーンは若い人や男性には刺激が強いかもしれないけど、感情がないからか流せるくらいに全てのシーンが美しい。たまに脳内ファンタジーが再現されているのか?現実味のないロンドン、リスボン、船、パリのシーンや入れ替わりのタイトルページも画集のようで素敵だった。覗き穴風の視点やモノクロとの対比などの演出も多用されていて美しい。
母であり、子でもある、言わば人造人間、ベラバクスター。大人の体に胎児の脳、そこから見せる、人としての急激な進化。
ただ親の真似をしてメスを振り回し物を壊す
なぜなぜ期に入り好奇心が止まらなくなる
初めての反抗で親に逆らう
外の世界に触れ人との交わりを知る
社会的通念や、人への礼儀や配慮を知る
友人との出会いと学びで世界が広がる
世の中が正しいだけではなく自分が無力であることを知る
お金の稼ぎ方を知る
人との相性を知る
自分のしたいことを見つける
親の深い愛と、元夫の歪んだ愛を知る
そして体だけ成熟してるから早くに性の快楽も知る(脳的には幼稚園児くらいの時?)
進化と同時にベラの言動もどんどん哲学的に、そして学術的になってきて正直難しい。けど展開も引き込まれるし、ベラが最後バッドエンドなのかグッドエンドなのかも想像つかないまま進行して飽きるタイミングがなかった。
子どもの素直な心で大人の世界を生きるということ、そしてこういう過程で人の脳は進化する、ということをスピーディーにみせてくれる。美しさもありながら、自分に執着せず真っ直ぐに生きていくベラに虜になっていくダンカンや周りの人々も、今ないものへの憧れか。
最後、博士が死んだ時その脳を元夫に移植するのかなと思ったけどもっと牧歌的??だった。
奇妙な前提で成り立つほのぼのとした世界のラスト、私は好きでした。
エマストーン、マークラファロイ、ウィリアムデフォーが出ていると言う...
生きている間、忘れたくない映画
鑑賞後すぐに現実には戻れなかった。
この世界は神様が創った哀れなるものたちなのだろうか。特に人間を丸裸にしたような作品だと思った。
生死貧富自由拘束欲望などが詰め込まれている。
映像も内容も宗教画みたいだな、と思った。
映像は白黒から色が入ってさらに見応えがあった。
音楽も魚眼レンズみたいな映像も面白い。
旅する街や船は観ていたわくわくした。
音楽に合わせて踊るベラは魅力的だった。
船上から見える空の色がありえないようなあり得るような色で不気味だけど綺麗だった。
本能的で幼かったベラも冒険をして発達していく。
知ることで欲しいものがわかってくる。
医者になりたいという夢ができる。
初めは倫理観が崩壊していた。
死体を刺すし、カエルは握り殺す。
残虐で、でもそれをそう思わなかった。
好奇心はいつだってある。
外の世界を知りたくて婚約者を裏切る。
お金が必要であれば娼婦になる。
かつての自分を知りたくて婚約者をまた裏切る。
裏切るなんて感覚でもないのかな。
怖いものにも怯えず向かっていく。
発達していく中でも大事な人は変わらなかった。
悪には染まらなかった。
冒険を阻止されて外に出られなかったらどうなっていたのだろう。
婚約者がひたすらにベラを愛していてよかった。
船で出会った乗客から本を読むことをしなかったらどうなっていたのだろう。
ベラの2回目の人生は幸福に向かっているようだった。
エロさとグロさはしんどい人もいると思う。
お洒落な映像をみたいだけで観ると思っているのと違ったとなるのかもしれない。
愛は
相手を殺すことも、自身を殺すこともあり得る。
キリスト教文化圏で育まれた常識や規範と言うものが、
如何に馬鹿げていて退屈なものであるかを長尺で批判
揶揄した作品だと僕は感じた。
特にそれを感じたのは、性的衝動を通じて外界と触れ
成長して行くベラ。と言う存在の提示や、彼女の元夫であった将軍が山羊へと改造され蘇生された描写などからであるが、そこまで行って、改めて鑑賞を必要とする映画があることに気づいた。
それはフランケンシュタインである。
まぁ、何故かを書く野暮は犯さないでおきたいのでここで終わるが👇
最後に記載したい内容があるのでそれだけは書き出す。
我々が生きる世界で、障碍者。と言う言葉があるが
そう呼ばれる方達は自身が障碍者であると言う自覚と
信念が有るのだろうか?寧ろ彼らから見たときは我々は障碍者ではない。と言い切れる状況であるのだろうか?
本作はそう言う当たり前の疑問を気づかせてくれる映画だと。そう評価したい◎
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