劇場公開日 2024年1月26日

「驚異のランティモス監督。圧倒的な芸術作品。」哀れなるものたち HAPICOさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5驚異のランティモス監督。圧倒的な芸術作品。

2024年2月7日
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作品自体の感想ではないが、
『籠の中の乙女』(※)から十年余りで、このレベルの総合芸術を作り上げたランティモス監督の手腕に驚愕して、鑑賞後はしばらく放心した。(監督の長編作品はほぼ全て見てきたが、)これまでの制作ノウハウを、確実かつすごいスピードで吸収し、それを壮大な掛け算にしてアウトプットしていると感じた。50年以上やり続けてもこの境地に辿り着ける芸術家は、特に、大勢のアーティストと協業する芸術である映画の監督は、多くないのではないか。本当に同じホモサピエンス種なのかと疑うほどの衝撃だった。
※ 低予算作品、という意味で。テーマ表現やショット演出はこの頃から群を抜いていた。

作品のテーマやストーリー構成については、
監督が脚本も書いて思うがままに演出している過去作と比べてしまうと、物語の力強さ&アークの丁寧さに欠ける印象。原作の脚色への苦心が感じ取れるというか。エピローグも少し乱暴に感じた。
それで-0.5だけしてしまったが、それも畏れ多いほど、ビジュアルとしてあまりに美しく、神さまの創作物かのような圧倒的な芸術作品だと感じた。

HAPICO