「人生をリセットしたいと思った事のある人には何か刺さるものがあるだろう」哀れなるものたち Oliverさんの映画レビュー(感想・評価)
人生をリセットしたいと思った事のある人には何か刺さるものがあるだろう
内容が興味深かったので公開初日に鑑賞。
結論から言うと、まぁまぁ深く考えさせられて面白い。
人生をリセットしたい、生まれ変わったように生きたいと思った事のある人は刺さるものがある。
最初は人形のように歩き精神年齢も幼児のベラが、成長して心が見た目に追いつくようになる。
そして常識や偏見に囚われず純粋な心で物事を認知し世界を生きていく様は面白い。
まぁ途中、身体の大きい幼児のような言動が耐えられない人もいるかもしれんが実際に存在する頭が子供のまま止まった世間の老害たちと比べると、まだベラは賢く聡明に成長していったから褒めるべきである。
そしてベラ役の女優がまた奇抜で鮮やかなデザインのドレスがよく似合う。顔も実験体2号と比べるとやはりオーラがあって2号の女優さんでは越えられない壁がある。
初老のおじさん達との大人のシーン(若いイケメンならまだしもあまりビジュアル的に見たくない)や、グロいシーンが苦手な人はその部分だけ目を閉じて瞑想する事をおすすめする。
不安な不協和音ややたらうるさい効果音もたまにしつこいので大きな音が苦手な人は耳栓を用意した方がいいかも分からん。
ただ全体としては芸術的な映画でとても良かった。
自分を所有物にしようとしてくる男どもを蹴散らす精神もかっこいい。
個人的には船で出会った教養のある知的な2人(白髪の上品なマダムと黒人の人)が好きだった。
そりゃ、アホな色欲好きの初老のおじさんの時間の無駄のような相手するより、美しい夕陽を見ながらバルコニーで本と共に彼らと知的な会話を楽しむ方がベラにとっては価値のある時間の有効活用だったのは言うまでもない。
ただ一点、覗き穴からベラを観察するような描写は何だったのか?
相変わらず自分の理解力のなさにトホホとなる。後で調べてみようと思う。