「Panorama」ドミノ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Panorama
また原題と邦題が全然違うタイプの映画が来たか…と思って原題の意味を調べてみると催眠という意味で、確かにそれで売り出すのは厳しいよなと思いました。
ドミノなんて終盤にちょろっと出てくるぐらいですからタイトルを背負うには荷が重かっただろうなとドミノに同情してしまいました。
最初の5秒から騙されているという宣伝は一体どういうことなんだろうと思ったらこれは見事に騙されました。そこまで惹かれなかった前半は後半のために敷かれたレールだったのかと思った瞬間にギアが入りました。
娘を誘拐された刑事が娘を探し出すために翻弄しているが、その最中に不思議な男が事あるごとに目の前に現れ、そのたびに不可解な行動する人物が目の前に現れて…といった感じのストーリーです。
雰囲気は面白そうなんですが、盛り上がりそうで盛り上がらない場面が多く、催眠によって操られては死んでいき、みたいな感じが続くので、世界の形がこれでもかと変わるみたいな映像を楽しみにしていたのもあって、そこが少なかったのは物足りなかったなと思いました。
まだ半分くらいなのにもう終わりそうな雰囲気を出していて肩透かしだったかなと思っていたところに12回目の実験だ…とこの事象を繰り返している事をデルレーンが示唆し始めたところから流れがガラッと変わっていったと思います。
ロークが過ごしていた世界は構築世界で、実際は施設の屋内外に設置されたハリボテなどで作られたフィールドの中でロークを動かし、うまいこと娘の位置を吐かせようとし続けていたという施設側の人間たちの作戦だったことが明らかになってグイッと画面に引き込まれました。銀行も警察署も棒組みで作られた簡素なものでしたし、高級車かと思いきやゴルフカーみたいなものでの運転だったりとクスッと笑わせてくれるシーンもありました。
ただ13回目のロークは一味違い、速攻で施設を脱出して娘のいる場所へ向かうというナイスプレーを見せてくれます。娘を探しているのではなく、娘を施設から守るというロークの役割が分かってからは視点が増えて楽しくなっていきました。ロークが養子として育ったのもここでサラッと解説され、その育った場所にいる老夫婦の元へ向かって臨戦体制で備える状態になりますが、なぜ老夫婦が銃を構えてスタンバイしていたのか、これはよく分かりませんでした笑
ここでドドンとお披露目になった娘が超強い能力者で、施設の社員たちはおろか、デルレーンですら支配下に置いて殺し合いをさせて全滅させるという中々のチートっぷりを見せつけてくれます。もうこの子がいればなんでもできるんじゃないかレベルだったので、この子を序盤から出していたら30分くらいで映画が終わってしまいそうでした。
エンドロール後の映像には脱出する一家を爺さんが見送るという姿が映し出されますが、それはブラフだと言わんばかりにデルレーンが爺さんをぶっ倒して追いかけるそぶりを見せて終わるので、続編を作ろうとしているなと思いました。ただ今作だけでもエンドロールを除けば綺麗に終わっているので、ここからどう続編に繋げていくのか、そこに注目していきたいなと思いました。
鑑賞日 10/30
鑑賞時間 11:20〜13:05
座席 I-16