ほつれるのレビュー・感想・評価
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夫婦での鑑賞はオススメしない
主演の門脇麦さん目当てで鑑賞してきましたが、率直に言ってちょっと消化不良の作品でした。
ストーリーは、冷えきった夫婦関係を惰性で続けているような妻・綿子が、密会を重ねていた不倫相手・木村を交通事故で亡くし、心ここに在らずの日々を送る中、ふとしたことをきっかけに夫・文則に不倫を疑われ、二人の夫婦関係がいよいよ壊れていくというもの。不倫ものですが、激しい修羅場はほとんどなく、ずっと暗く気だるい雰囲気で進行していきます。
自宅でのそっけない態度に比べて、木村の前では終始楽しそうな笑顔を見せる綿子。夫や木村との会話から、少しずつ周囲の人物との相関や綿子との関係は見えてくるものの、ちょっと普通では考えられないようなものであり、これがなかなかわかりにくかったです。そのため、綿子にも同情すべきところはあったのですが、それがわかるのは終盤なので、ずっと綿子に共感できずに観ていました。
終盤になってやっとおもしろくなってきたと思ったら、まさかのエンドロール。うーん、何が言いたかったのかよくわかりません。タイトルから考えると、ドロドロした不倫関係や表面的な夫婦関係が、ちょっとしたことをきっかけに解消されたということでしょうか。でも、綿子自身は何も変わってないような…。なんだかスッキリしません。
主演は門脇麦さんで、演技とは思えないリアルな言動が秀逸です。脇を固めるのは、田村健太郎さん、染谷将太さん、黒木華さん、古舘寛治さんら。中でも、文則役の田村健太郎さんが抜群です。「自分は悪くない」「ものわかりがいい」「相手に譲歩している」というスタンスで、無自覚にねちねちと相手を責め立てる文則を好演しています。終盤での綿子との舌戦は、生理的に受けつけられないほどすばらしかったです。こんな感じで演者は総じてよかっただけに、脚本が物足らないのが残念でした。
ロマンスカーって、箱根だけじゃなくて、山梨県まで行けるのか⁉️
私が感じたこの映画のポイントはふたつ。
ひとつは、門脇麦さんの醸し出す雰囲気の独特さ。
一般的な常識に基づく倫理観や社会通念上の道徳観に反することをしてても、なんだか赦せてしまうというか、それなら仕方ないよね、と妙に納得できてしまう理由や背景があるのだろうな、と勝手に思ってしまうのです。それも、終盤で明かされる色々な事情を知る前も知った後も印象は変わらずなのだから不思議です。
ふたつめは、結婚したらセックスパートナーは、配偶者ひとりしか許されない、というのは本当なのだろうか、そんなことを今さらながら問題提起している⁈
結婚後にもっと好きな人と出会ってしまったら、あなたはどうしますか?
こどもへの悪影響、経済的な自立が保てるのか、仕事(会社での立場等)への影響、ジェラシーやプライド、離婚にかかる慰謝料負担など。
ほんの少し考えただけで、社会的なコスト(高い確率で自分も人も傷つくことも含めて)が膨大なことが分かるので、大多数の人は不倫にまで発展させないし、ある意味、我慢しています。
芸能人や著名人の不倫報道が大袈裟なのは、騒ぎ立ててる人たちの大半が、自分は我慢してるのにお前は❗️とか、モテないオレにはできないことをしやがって❗️という嫉妬もたぶんに作用してるからなのです。
不倫を、普通に許してしまう社会だと共同体の和が保てなくなり、社会が不安定化してしまうから、制度的に(コストがかかるように設計して)不倫は許されないものとなっている。
それでも、結婚後に配偶者よりもっと素敵なひとと出逢ってしまったら…好きにならない保証はないし、好きになってしまったら、情動が理性に勝ることだって起こり得る。
社会において一定数出現してしまう〝ほつれ〟
ほつれた後にまた結ばれることのほうが、きっと少ないんだろうなぁ。
夫婦とは
まず、キャスティングが良いです。
日常的というか、周りにいそうな雰囲気を出せる役者さんを揃え、リアリティのある映像になっています。
門脇さんは、木村といるときと文則といるときとの表情、テンションが全く違うのがよく分かる演技で、実際好意のある人とない人では立ち振る舞いがこうなるよなぁと。
田中さんは、一見綿子に優しく穏やかにも見える。田中さん自身の喋り方に優しさがある分余計に。
文則は綿子に何か聞くとき、僕も悪いけどというニュアンスの言葉をよく入れる。でもそれって優しいんじゃなくてずるいと私は思う。その言葉を言われたらこっちが悪者になる気がして。
そして、最後の方にその言葉の本当の意味を知る。だから文則はこんなにも姿勢が低いのかと。
染谷さんは、いままでの役だと一般的な役って結構少ないイメージで意外なキャスティングだなと思いました。この役に染谷さんを選んだ人に拍手したいです。
大人の余裕と不倫ということを忘れる穏やかでほんわかした映像は彼らを正当化してしまいそうになる魅力がありました。綿子もこの安らげる空間を求めてしまったんだなと。
夫婦ってなんなんでしょうか。私はまだ結婚に直面する年齢には少し早く、経験をしたことがないのでなおさら考えさせられました。
エンドロールが音無しなのは初めてで何か監督の意図があったのでしょうか。無音なのもありさらに映画に浸ることができました。
だめおとだめこのまったり不倫
共感できないことは映画の評価と関係がないわけですが…
84分という短めの尺ですが、間接的な内容のセリフで二人の関係性や背景が見えてきたり、人物たちの動作やそのカメラワークだけで起こることが想像できて、所々上手な演出だなと感じる巧さがあります。特に秀逸なのが、序盤の山場である「木村(染谷)に起こるアレ」に対する綿子(門脇)の動揺は見ごたえがあり、掴みの良さに映画への期待が高まります。
兎に角、出演する役者が皆さんお上手。まずは、文則役の田村健太郎さんはとても印象深いです。彼の口から出てくる言葉や文法が独特で、女性に対してコントロールしようとする態度でどうかしているキャラクターが際立っています。また、木村の父・哲也役の古舘寛治さんが相変わらずとぼけた演技が素晴らしい。後の話につながりますが、結局はこの哲也こそがキーマン。やっぱり古舘さんの演技は信頼できる説得力があります。
ただ残念ながら、私にとってこの監督の書く脚本(前作『わたし達はおとな』を含む)にほぼ共感が出来ません。と言うか、恋愛弱者な私には全く見たことがない世界でむしろ違和感すら感じます。何なら逆に、役者が巧く演じれば演じるほど、むしろコントのようでちょっと可笑しくすら感じるくらい。或いは「狙い」でやってるのかもしれませんが、果たしてそれでバランス的に成立しているのかやや疑問です。登場人物たちのやり取りを見ていると、「一緒に生きていく(別れない)ことの意味や価値感」があまりにも希薄に見えるため、結局、登場人物たちに共感が持てません。
何より違和感なのは「息子の結婚式にも出なかった父親と息子の嫁の距離感」がよく解りません。息子と距離があった義父に対してプライバシー感強めな「アイテム」についての相談なんてするものなのか?まぁ藁をも掴む想いかもしれないけど。そして、それを意気に感じたのか「僕一人の胸にしまっておけない」と綿子に切り込む哲也。物語が推進するポイントだけに、その無理を感じる展開が反って気になってしまいます。
結局のところ、けして悪い出来ではないのですが、残念ながら多分そう長いこと記憶に残らない映画となりそうな気がします。せめて、もう少し深みが欲しいかな。。
最早寄生
不倫相手と旅行に出かけた帰り道に起きた出来事で、変化して行く汚嫁の機微と彼女と向き合おうとする夫の話。
すれ違い…というか汚嫁の心がここにあらず?な関係と思しき夫婦だけど、既にことが起きてからしか夫は出てこず、それまでの様子との変化はわからず。
そんな状況で再構築を図ろうとする夫と、心ここに有らずな汚嫁…少なくとも家がなんちゃらは今じゃないだろうね。
一応汚嫁の機微がメインだとはいえ、夫の詰めるような感じがこの出来事より前かどうかがわからないからなんとも言い難いな、なんて思っていたら、まさかの馴れ初め他をぶっこまれて、な〜んだそういう夫婦なのね、とどうでも良くなり、考えるのが面倒くさくなったw
あっ、そう言えば寄生獣って映画あったね。
踏み出しきれない
不倫の方が燃え上がる
テーマは「不倫」。
題名の意味するところは、二組の夫婦の妻と夫の関係性だろうか?
田村健太郎が、一見、誠実そうだが、理屈っぽさが鼻について、生理的な嫌悪感を抱いてしまいそうな夫を好演している。
翻って、門脇麦演じる妻の方は、一体何を考え、何をしたいのかがよく分からなかった。
基本的に長回しの会話劇が続くのだが、特に不倫がバレた後の「妻と不倫相手の妻」の会話と、「妻と夫」の会話には、見ているこちらが息苦しくなるような緊張感が漂っていて、スタンダードサイズの画面の閉塞感も効果を上げている。
その一方で、そうした演劇的な見応えはあるものの、映画的な面白さがあまり感じられないのは、物足りないとしか言いようがない。
ラストは、「最初からそうしておけば良かったのに」と思えるような、あまりにも当たり前のところに落ち着いて、延々と何を見せられてきたんだろうという気分になる。
ただ、「不倫関係だった頃の方が、お互いに優しくて、うまくいっていた」といった台詞には、妙に生々しい説得力を感じてしまった。
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