「これも一つの“豊かなる作品”」ほつれる flushingmainstさんの映画レビュー(感想・評価)
これも一つの“豊かなる作品”
自分を成り立たせているどうしようもない「性分」というのは、それはもう理性でもなければ社会性でもない…説明の出来ない心の中の渇望というのがあるのだろう。その達成のためには深謀遠慮、緻密に企てる策略を頭に描いてことを運ぶ。なのに理路整然とした様に映る社会の方でとんでもない予期せぬ出来事が重なって、唖然と立ちつくさざるを得ない事態にも遭遇する。そんな人間の愛すべき愚かさを緻密に描いて、最後には語るに落ちてしまうほどの「ことの始まり」を提示する。さすがに注目の劇作家の本であると唸った。この語るに落ちる発端を提示されて、引いてしまわないほどに機微のある心持ちで生活を営みたいものである。「あのこは貴族」に続いて案の定、門脇麦さんが素晴らしい!
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