「スタンダードサイズで描かれる人物描写に惹かれる」ほつれる ひでぼーさんの映画レビュー(感想・評価)
スタンダードサイズで描かれる人物描写に惹かれる
劇作家の映画は面白いものが多いので、期待を持って鑑賞。
始まってそうそう、お、スタンダードサイズだ。
限られたサイズ感で描かれる、2人の距離感とボケを使った奥行き表現がとてもキレイ。
終始静かに描かれる(不倫にまつわる)日常と門脇麦のアピールしすぎない顔立ちもあり、どっぷりはまってしまった。
場面自体は多くはないものの、印象的なシーンがとても多い。
・テントの中で指輪の写真を撮るのをスマホのカメラ越しにみるシーン。
・相手へのプレゼントの靴を買うときの、3重にも鏡を使うシーン。
・不倫相手の妻に詰められる直前のコーヒーショップの整ったシーン。
・家を出るときの車のトランクに見える、車と同じベージュと白のスーツケース。
・画面のの隅っこで指輪を外したり、つけたり、いじったり。
ワンシーンごとに画角が非常に意識されていることがわかるし、どれもきれいで、それだけでも見ていたくなる。
セリフも多くはないが、映像で伝わることがたくさんがある。
そしてなにより、夫の気持ちと行動がわかりすぎて辛い。
女性目線での感想も聞いてみたいものである。
最後の、「あんたもしてたでしょ」はさすがにありきたりすぎて、宣伝でいう謎ときにしてはチープではあったので、そこはマイナス。
ただ、昼ドラみたいな衝撃展開も、不倫に対しての主人公の成長も期待はしていない。こんな夫婦ありそう、くらいがとてもいい。
派手さはないが、ワンシーンワンシーンに集中したい、これもまた映画館で見るべき映画であった。
2023年劇場鑑賞89,90本目
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