劇場公開日 2023年9月8日

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「夫婦での鑑賞はオススメしない」ほつれる おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0夫婦での鑑賞はオススメしない

2023年9月10日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

主演の門脇麦さん目当てで鑑賞してきましたが、率直に言ってちょっと消化不良の作品でした。

ストーリーは、冷えきった夫婦関係を惰性で続けているような妻・綿子が、密会を重ねていた不倫相手・木村を交通事故で亡くし、心ここに在らずの日々を送る中、ふとしたことをきっかけに夫・文則に不倫を疑われ、二人の夫婦関係がいよいよ壊れていくというもの。不倫ものですが、激しい修羅場はほとんどなく、ずっと暗く気だるい雰囲気で進行していきます。

自宅でのそっけない態度に比べて、木村の前では終始楽しそうな笑顔を見せる綿子。夫や木村との会話から、少しずつ周囲の人物との相関や綿子との関係は見えてくるものの、ちょっと普通では考えられないようなものであり、これがなかなかわかりにくかったです。そのため、綿子にも同情すべきところはあったのですが、それがわかるのは終盤なので、ずっと綿子に共感できずに観ていました。

終盤になってやっとおもしろくなってきたと思ったら、まさかのエンドロール。うーん、何が言いたかったのかよくわかりません。タイトルから考えると、ドロドロした不倫関係や表面的な夫婦関係が、ちょっとしたことをきっかけに解消されたということでしょうか。でも、綿子自身は何も変わってないような…。なんだかスッキリしません。

主演は門脇麦さんで、演技とは思えないリアルな言動が秀逸です。脇を固めるのは、田村健太郎さん、染谷将太さん、黒木華さん、古舘寛治さんら。中でも、文則役の田村健太郎さんが抜群です。「自分は悪くない」「ものわかりがいい」「相手に譲歩している」というスタンスで、無自覚にねちねちと相手を責め立てる文則を好演しています。終盤での綿子との舌戦は、生理的に受けつけられないほどすばらしかったです。こんな感じで演者は総じてよかっただけに、脚本が物足らないのが残念でした。

おじゃる