劇場公開日 2023年12月8日

  • 予告編を見る

「たくさんの人に見て欲しい良作」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 ケイさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0たくさんの人に見て欲しい良作

2025年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

2023年のロードショーで鑑賞しました。

原作を読んでいませんが、原作者は高校教師として学生さんに戦争のことを伝えるために調査をし、小説を書いたそうですね。その想いは映画でも生きていると感じました。

太平洋戦争の末期、市井の人々と戦争、軍隊及び特攻隊員たちの関わり。
特攻隊員が通う鶴屋食堂を含め、人々は特攻隊員に対して温かく接している。

特攻隊員にもそれぞれの人生があり、妻子を持ちながら志願した者、非情な運命を担った許嫁を守るために離脱する者。あるいは命令が下ったことを鶴屋食堂の女将・ツルさんに伝え、寿命の残り30年をあげるから長生きしてくれと伝える者。
それぞれが守るものを大切にして、行動している。

一般の人々も空襲で命を失う時代だったから、特攻隊員は自分の命を差し出しても大切なものを守りたかったのだろう。特攻隊に志願したが、命を粗末にしたわけでは無い。
空襲の中、大事なお米を無くしたために炎の中に戻ろうとする主人公の百合に対し、彰は命を粗末にするなと叱る。

百合は物語終盤で彰に対し、特攻を止めるように説得するが、しかし彰は「戦争に負けたらこの国はどうなるのか」、「皆奴隷にされてしまう」。
未来から来た百合にとって戦争が終わることは約束されていたが、この時代に生きる彰には約束など無かった。

彰は百合を守りたいと、強く願って出撃したのだと感じました。
映画そのものだけで無く、その時代と社会について考えさせられる体験でした。

ケイ
PR U-NEXTで本編を観る