「『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』に感じた違和感」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 フクフクさんの映画レビュー(感想・評価)
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』に感じた違和感
この映画は、現代の女子高生が戦時中にタイムスリップし、特攻隊の青年と心を通わせる物語です。
戦争の悲惨さや命の尊さを伝えたいというメッセージは理解できますし、その意図を否定するつもりはありません。
しかし、特攻という作戦に対して、現代的な感覚だけで全否定するような描かれ方には強い違和感を覚えました。
特攻は、国力も人材も尽きかけた戦争末期、他に手段がなくなった中で下された、苦渋の決断でした。
それが戦略的に最善だったかどうかは議論の余地がありますが。
少なくとも、命をかけた若者たち一人ひとりには、確かな覚悟と想いがあったはずです。
私が思うに、特攻という作戦の選択自体を否定するのではなく、そこに至るまでの国策の誤り、指導層の慢心、戦略の破綻こそを否定すべきではないでしょうか。
特攻を「無意味」「狂気」と断じて終わらせてしまうことは、その背景にあった苦悩や犠牲に目を背ける行為にもなりかねません。
そしてもし、特攻という行動が、戦後の国際社会に「日本人は簡単には屈しない民族だ」という印象を残し、
その結果、今の日本が非核国家としての抑止力や平和的イメージを得る一因になっているのだとしたら――
たとえその可能性が1%であったとしても、私は彼らの死は決して無駄ではなかったと信じたいのです。
戦争を二度と繰り返さないためには、
ただ単に「過去を否定する」のではなく、命の重さとそこに至る過程を誠実に見つめ、学び続ける姿勢が必要だと思います。
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