「もうちょっと煮詰めて...」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 kkrさんの映画レビュー(感想・評価)
もうちょっと煮詰めて...
本作の上映当時,映画館の番宣で名前を見た記憶があるが,割と戦争モノの映画が多かったためか(記憶が曖昧だが),この映画もその類だろう,新鮮味が無いと思ってスルーしていた映画.
あと,アニメ「あの花」と名前が被ってるな,わざと被せてるのかな?という感想を抱いた程度だったと記憶している.(結論,全く関係ない)
この度,アマプラで日本1位のタグが付いていたため,スルーしたときのことを思い出して鑑賞することとした.
溺れている他所の子供を助けて代わりに死んだ父を軽蔑していた娘(百合)が,終戦間際の戦争時代にタイムスリップする話.
この二つがどう関係してくるかというと,娘や妻を顧みずに死んだ父と,お国のために死ぬ特攻隊員たちが,「自分の命を犠牲にしてでも何かを救いたい」という気持ちが共通点となって重なってくるのである.
娘にとって,最初は父も特攻隊も軽蔑の対象であったが,現代に生還してきたときにその気持ちは大きく変化したという結末だ.
映画の感想としては,ツカミはまぁいいんだけど,百合の奇行が気になる点があった.
・映画の中盤,空襲を喰らうことがあるのだが,食堂の女将の「鶴さん」が心配になり,皆が非難する中で火の海に向かって思いっきり逆走して,瓦礫に足を挟まれて身動きが取れなくなる.あの,あんたより鶴さんの方がこの世界のベテランなので,当然避難してます.いくら現代人だから戦時中のことがわからないとしても,世間知らずもいいところなのでは?と思った.そして,なぜ「彰」が都合よくそこにいて助けてもらえるんだ?避難先に百合がいないとわかって探しに行ったとしても,もう少し後なんじゃないか?ご都合主義すぎやしないか?と思った.
・特攻隊員に向かって「特攻に意味がない.やめるべき.」という旨言い過ぎ.
結果論としてはその通りなのかもしれないけど,それを言い続けて特攻隊員の尊厳を踏みにじり続ける行為って,我儘なんじゃないか?と思った.
「日本は負けるんだよ.」「特攻しても無駄.」「日本は負けても大丈夫.」と宣う割には説得力がない言い方をする.未来人なら未来人だと言って,「8月15日が終戦の日だ.その日までに終戦しなかったら特攻して」とでも言えば説得力があるのに,特攻に行ってほしくないと必死に思ってる割には,この辺が中途半端な物言いなのが気になる.
全体として少し煮詰めが甘く,感情移入ができなかった.
それでも終盤,戦闘機に乗って皆が出撃するシーン以降は多少ジーンときたかもしれない.