劇場公開日 2023年12月8日

「生まれる時代は選べないから」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 ななやおさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5生まれる時代は選べないから

2024年2月20日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

この映画での出来事は、夢や絵空事ではない。今からほんの80年ほど前、この日本の地で実際にあった出来事です。特攻隊とは、「特別攻撃隊」の略称で、決死の任務を行う部隊のことです。太平洋戦争末期に日本軍が組織的に行った決して生きて帰ることのないこの戦い方は、多くの若者の命を奪いました。昭和初期の戦時中においては、「お国のために戦争におもむくのは当然、戦場で命を散らすのは名誉なことだ」という価値観の中で人は生きてきました。
この映画の中にも、たくさんの未来ある若者が、特攻隊として登場し、己の任務に向き合い悩みながらもその日を迎えています。特筆すべきは、タイムスリップ系恋愛ファンタジーとしたことで、重苦しい戦争映画にとどまらず、若者たちにも受け入れやすいエンターテイメントになっていること。戦争を教科書の中だけの他人事で終わらせず、より身近な史実として受け止める機会になっていることだと思います。

もし自分がこの時代に生まれていたとしたらどうだろう?この映画をただの恋愛ファンタジーとして、映画館で鑑賞していられる今の自分は幸せ者だと受け止めるべきなのだろうか?この映画を観て、素直に泣けない今の自分の感性は、少し歪んでいるのだろうか?

今も世界のどこかでは、戦争が行われている。
突然の天変地異に襲われて、不自由な暮らしを強いられている人たちもいる。

人は生まれる時代や場所を選べないから、置かれた場所で精一杯咲くしかない。

ななやお