「僕はまた、あの花が咲く丘で、この2人と出会いたい」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 KTTさんの映画レビュー(感想・評価)
僕はまた、あの花が咲く丘で、この2人と出会いたい
これからも元気に生きていきたいと思えた一作。
久々に戦争を題材にした作品を観た。ハクソーリッジをNetflixで鑑賞して以来だろうか。
この映画は最初の母親とぶつかり合うシーンから惹き込まれた。私も中学時代は母親に対して百合と同じような態度を取っていたことがある。自分の母親ばかり大変そうにしていたのが辛かったり、忙しいせいで自分に構ってくれることがあまり多くは無いと感じていたことも原因だったのだろう。淋しかったし、いつも頑張りすぎている母親が心配だった。そんな気持ちになった最初のシーン。
そこからタイムスリップして出会った鶴さんは本当にその時代を生きている人のようだった。そして自分がもしこの時代に生まれていたらこんな人になりたいと思った。鶴さんに娘さんが居てお子さんと一緒に空襲で亡くなられたとあったが、旦那さんの存在は1ミリも語られていなかった。今思うと恐らく戦争で旦那さんを亡くされたのではないだろうか。それでも、いや、だからこそ鶴さんにもお国のためにという強い意志があり何があってもあの食堂を離れなかったのだろう。昔は旦那さんと一緒にあの食堂を切り盛りしていらしたのかなぁ、旦那さんが「鶴」の文字を食堂の名前に入れてくれたのかも知れない。とにかく素敵な食堂だった。物語の大半で描かれた食堂のシーンが私は好きだ。
彰は百合をいつも真っ直ぐだと言い、一度も否定することがなかった。特攻兵という覚悟を持った人にしかなれない職務を自分で選びながらも百合と同じような考えを持っていたのだろう。その上でこれからの未来のためにと自分の意志を貫いた男らしさは人として尊敬できるものだった。自分が愛する人に日本は負ける行く意味が無いと言われても、日本の未来は変わらないと言われても明るい未来のために特攻する決意を貫いたことがいい事かは分からないが、私はその人たちのお陰で今こうして感想を書ける幸せを得ることができているのだと思うと忘れないでいたいと感じた。
確かに負けたという事実を知っている我々からすれば愛する人と生涯の別れをしてまで何故特攻をするのだろう、負けても今の日本は幸せな国だよと思うかもしれない。私はそう思った。だが、あの時代を生きた人々は未来がどうなるか分からないのだから、今自分たちができることをしなければと思ってくださっていたのかも知れないと思った。私もこの先のことを考えて生きていきたいと思った。それは例えば環境保全のためにゴミを捨てないとか木を切り過ぎないとかそういうことでできたりするんだろうな。少しでいいからできることをやっていこう。
現代に戻った百合は逞しくなって生きていた。私はそれがとても嬉しいかった。今生きていることを幸せが百合を通して私の中にも溢れてきた。この幸せをこれからもずっと守り抜いていきたい。そして戦争を忘れないで生きていこう。先人たちに感謝の気持ちと尊敬を持っていよう。
佐久間が「負けたら男は殺され、女は」で台詞切りました。多くの女性や子供が見てるから製作サイドもここでやめたのでしょう。百合はアメリカの占領策が結構良く、日本は平和で豊かな国になること知ってるから「負けるけど日本はよい国になる」と言えるけど、当時の世界で戦に負けると言うことの恐ろしさそれこそ半端なかったのでは。ソ連や中国に占領された国の苛酷なその後考えると。女性もどうなるか。
だからこそ佐久間の考えを現代人は安易に否定はできませんね。