劇場公開日 2023年6月2日

「対話。」憧れを超えた侍たち 世界一への記録 Noriさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0対話。

2024年2月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

上映最終日、観なかったことを後悔するよりは、と思い劇場へ。

結果、行って良かった。
最高のメンバーを招集し世界一を目指す。勿論、日本においてほぼベストの布陣なのだが、その選抜メンバーの中でも熟練度には差があって。それは、技術面だけではなく、精神面も。
源田や大谷を評する際「マジか」や「人じゃない」という漏れ聞こえる言の葉に、「俺には無理」「よーやるわ」という言外の思いが滲み出る。
誰もが大谷にはなれないし、誰もが小指を骨折しても試合に出続ける、源田のような選択をできる訳ではない。だからこそ彼らに畏敬の念を抱く訳だが。それでも皆それぞれの高みを目指し精進している、精進することを求められているプロの選手であり、自分とは関係ないモノ、枠外のモノとして捉える言動はいかがなものか、と感じた。

王貞治さんと大谷翔平のグラウンドでの会話、超一流、多くの壁を乗り越えてきた者同士だからこそ通じる何かがあることを知る。

宮崎キャンプでのダルビッシュと佐々木。ダルから佐々木がスライダーを教わる様子が映し出される。若かりし頃タバコで謹慎を食らった男が、年齢を重ね、私生活でもグラウンド上でも様々な経験を経て成長し、今後輩に寛容な心で惜しみなく自身の持っているモノを継承していく姿は胸熱。そして、トップクラスの選手は少し観察したら、他者のどの部分に何が足りないのか、どうすれば改善できるのかを見抜き伝えることができるのだ。それは、持って生まれた才能に胡座をかくことなく、日々考え、自身と対話し、絶えず学んできた者だからこそ可能になるのだ。

大谷翔平。ヒットを打っても「ホームランにできた」とバックヤードで振り返り反省点を見出す。一つ一つの球種に打者がどのような反応を示しているかを詳らかにし(言語化し)投球を組み立てていく。当たり前のことなのかもしれないが、自身の行っていること、その全ての経験を無駄にすることなく、更なる成長へ邁進する彼の姿。彼のその要素の何分の一かは我々も有しているはずで、自身の指針として何らかの示唆は得られるだろう。
楽しそうですね、の声かけに対して、「俺は常に楽しんでる」と即答した大谷。人生は須くそうあるべし、と思う。本当に。

佐々木朗希の悔し涙、自身への憤り。彼が今後成長し、感情のコントロールを学び、後輩に持てるものを提供していく。そんな選手の将来も透けて見えてくる。

いや、思いつくまま書いてしまったが、いいドキュメンタリーをみた。彼らと並走できる人生、最高だな。

Nori