「試合中継とは異なる視点がたくさん」憧れを超えた侍たち 世界一への記録 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
試合中継とは異なる視点がたくさん
野球日本代表のWBC優勝の軌跡を追いかけるドキュメンタリー。栗山監督たちスタッフの選手選考の会議の模様から、メジャーリーグとの日程調整など、裏方の重要な仕事も見せつつ、基本は選手にフォーカスを当てていく。誰が中心ということはないが、全選手をまんべんなく拾えているわけでもさすがにない。大谷にヌートバー、けがを負った源田、投手の佐々木、不振に苦しんだ村上の復活など、世間をにぎわせたトピックの裏側をしっかり見せていく構成だった。メキシコ戦でホームランを打たれた後、ベンチ裏で密かに佐々木が涙を見せていた様子など、貴重なショットもある。やはり、全体的にベンチのカメラがいい仕事をしている。試合中継では観れないアングルのショットがたくさんあるので、ファンにとっては貴重だし、真剣試合の最中のアスリートの表情から、焦燥感、歓び、焦り、闘争心など様々な感情が溢れている。スポーツは劇的なドラマをよく生み出す。ドキュメンタリーの題材として優れているなと改めて思った。
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