「ルキーニ「俺の出番がない……」」エリザベート 1878 Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
ルキーニ「俺の出番がない……」
ミュージカルと違ってルキーニの出番はないけど、トート閣下の影は常に感じる内容であった。
当時のオーストリアとハンガリーの二重帝国情勢とか、宝塚や東宝のミュージカル「エリザベート」くらいの知識がざっくりあると観やすい。
一見エリザベートに対してとても優しく何でも望みを言ってくれと言うわりに、決して政治の話には口を挟ませない皇帝フランツが愛しているのは、あくまでオーストリア帝国象徴としての皇后なのだろう。エリザベートが苦しんでいるときよりもその美しさが損なわれたときの方がショックを受けているのがその証左である。生まれつき自由と冒険を愛するエリザベートが長年こんな環境にいたら気が狂うだろう。
映画としてよくできてるしフェミニズムの文脈でも語られるべき内容だが、エリザベートの行動がどうみても躁鬱病もとい双極性障害で「そうそう、さっきまで死にたがってたのにいきなり旅行したりするんだよね、わっかるー⭐️」と共感できる人は要注意。
躁うつ病患者の行動も周りからは我儘で気まぐれにしか見えないが、本人は死ぬほど追い詰められいて、少し元気になってきたように見えるタイミングが1番やばいというのがよくわかる映画だった。
周りに、死にたがっている割にいきなり活動的になる人がいたらとりあえず気にかけてやってほしい。
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