「観たい度○鑑賞後の満足度○ 【自分に課せられた皇帝の伴侶、皇室の象徴としての任務・義務に徹しられなかったワガママ女と見るか、籠の鳥の様な宮廷生活からの自由を求めた進んだ女性と見るか、で評価別れるかな】」エリザベート 1878 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
観たい度○鑑賞後の満足度○ 【自分に課せられた皇帝の伴侶、皇室の象徴としての任務・義務に徹しられなかったワガママ女と見るか、籠の鳥の様な宮廷生活からの自由を求めた進んだ女性と見るか、で評価別れるかな】
①19世紀後半の欧州における超セレブ「エリザベート皇后」の一年間を追った映画。
私にとっての映画におけるエリザベート皇后としては、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ルードウィヒ~神々の黄昏』(1972)でのロミー・シュナイダーが一番印象深い。
この映画に出演依頼したときにヴィスコンティはロミー・シュナイダーに「シシィをやってくれないか?」と言ったそうだけど、ロミー・シュナイダーの娘時代の代表作がエリザベート皇后の娘時代を描いたシシィ三部作(もちろん、私、観たことありません)。かなりお転婆に描かれているそうだから本作のエリザベート像には繋がるようだ。
他にはジャン・コクトーの『双頭の鷲』(確か美輪明宏さんも舞台で演じた筈)のヒロインもエリザベートだし、本作にも登場するルドルフ皇太子の有名な心中事件を扱った『みじかくも美しく燃え』にも出ていた筈(誰が扮したかは知りません)、その再映画化の『うたかたの恋』(なんとオマー・シャリフがルドルフ皇太子!)ではエヴァ・ガードナーが貫禄たっぷりに演じてました。
②事程左様に言わずと知れた人で且つ様々な劇・舞台・映画に取り上げられてきた人ですから、新たに取り上げるには何か新解釈があるのかと思ったけれど、もともとかなり奔放な人だったらしく、その点では新しい驚きはない。
「狂王」と呼ばれたルードウィヒ2世との関係(ゲイだったルードウィヒ2世が唯一愛した女性だったらしいが勿論肉体関係はなし)も『ルードウィヒ~神々の黄昏』で描かれていた通り。
③それを言えば、皇帝と皇后とのセックスシーンを描いたのは映画史上初めてではないだろうか。
④「男社会」という籠の中で女性が少しでも強く自己主張すると奇異な目で見られるのは古今東西、現代に至るまで何時でも何処でも一緒。というか現代でも人類はその籠を取り払おうとしているのかと思う。
『バービー』のテーマと通底しているが、『バービー』の方が一歩先に進んでいるかな。
そういう意味から言うとテーマとしてはそう斬新なものではない、という感想です。