インスペクション ここで生きる : 特集
【衝撃の実話】“この男”の人生、とにかく壮絶すぎ
ゲイを理由に母に捨てられる→ホームレス生活→海兵隊
へ入隊も“地獄の経験”→超人気スタジオの映画監督に!
映画ファン必見A24最新作は“絶対に諦めない男”の物語
ゲイであることで母に捨てられ、ホームレスにならざるを得ず、生きるために海兵隊へ志願した――。
8月4日に公開される「インスペクション ここで生きる」は、新鋭エレガンス・ブラットン監督の実体験を克明に描いた衝撃の“実話映画”です。
劇中で描かれていく実体験は、あまりにも濃密で衝撃的。脳裏に焼き付くほどの凄まじいインパクトで、しかも予想を超えて“希望の物語”へと転じていく。「ムーンライト」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」といった革新的な作品を送り出してきた映画会社A24が惚れ込んだという“お墨付き”の1作となっています。
映画ファンの皆様、「エレガンス・ブラットン」という名前、絶対に覚えておいてください。その理由、本特集でしっかりと説明させていただきます!
【実際に鑑賞→え、そうなるの!?“予想以上”の超良作】
映画.comスタッフが“食らってしまった理由”とは?
この映画で描かれる“人生”、あまりに凄まじい。そんな評判を聞きつけて早速鑑賞してみると……いやはや“食らってしまいました”。鑑賞後、その余韻にしばらく浸っていたくなるほど。物語や設定の衝撃度もさることながら、予想を遙かに超えた展開が待ち受けていました。本項目では、あらすじとともに“食らった”ポイントをお伝えします。
[あらすじ]主人公は実母に“捨てられた”ゲイの青年
過酷な海兵隊への志願は“生きる”ためだった――
舞台は、イラク戦争が長期化する2005年のアメリカ。ゲイであることで母に捨てられ“生きるため”に海兵隊に志願した青年・フレンチ(ジェレミー・ポープ)。彼を待ち受けていたのは、軍という閉鎖社会に吹き荒れる差別と憎悪の嵐だった。理不尽な日々に幾度も心が折れそうになりながらもその都度自らを奮い立たせ、激しい訓練と偏見に立ち向かっていく。
[食らった理由①]一言一句が心に刺さって“痛い”
もはや修復不能レベル……母子の関係が破綻しすぎ
冒頭、ハートに刃物を突き立てられるかのような光景が待ち受けています。海兵隊志願のためには、出生証明書が必要。取得のため、フレンチは母のもとを訪れるのですが、この一連のシーンがあまりにも辛くて辛くて……。
母の第一声は「モメ事なの?」という冷徹なもので「何故来たの?」とすぐには家に入れず。しかも“汚いもの”を扱うかのように接し、出生証明書を「夢の残骸」とまで言い切る始末。「私が生んだ息子として戻らないなら、この証明書は無意味よ」。ゲイであることを絶対に受け入れられない母の態度や言葉の数々は、かなりショッキングです。
保守的なクリスチャンであり刑務官である母と息子の間にそびえたつ“高すぎる壁”。こんなにもヒリヒリとする場面を初っ端で叩きつけられるわけですが、一方で「この関係性、一体どうなっていくんだ?」という期待も高まっていく。監督の手腕に脱帽でした。
[食らった理由②]これぞ理不尽のオンパレード!
“死”も覚悟…海兵隊「ブートキャンプ」が地獄すぎた
フレンチが参加した約3カ月の「ブートキャンプ(新兵訓練)」は、セクシュアリティ、宗教、人種のすべてが“検閲・点検(=インスペクション)”される場。そこに不合格なら、背筋が凍るような仕打ちが待ち受けています。
ある出来事からゲイであることがバレたフレンチ。ハードな訓練に加え、仲間から壮絶なリンチを受け、しかも教官の“しごき”までもエスカレート! 「ハエを食え」と命じられたり、水中訓練では溺死寸前まで追い詰められて……。怒鳴られ、痛めつけられ、嫌がらせを受けまくる。そんな光景に“絶句”です。
教官たちの理念は「叩き潰すことで鍛え上げる」というもの。フレンチの視点を通じて、その“地獄”を追体験することができます。さらに、21世紀の最重要バンド「アニマル・コレクティヴ」の音楽が“感情の震え”を増幅させるという効果をもたらしているので、気を引き締めて鑑賞に臨んでください。
[食らった理由③]「こうなるだろう」を覆す!
「希望の物語」に転じるとは……まさかの展開に驚き
地獄の「ブートキャンプ」を目の当たりにしていると、こんなことを考えてしまうはず。フレンチは、この逆境に立ち向かうのか、それとも屈するのか。鑑賞していて、筆者は「悲劇的な方向に舵を切るのではないか」と予想していたんですが……実は、かなり意外な展開になっていくんです。ここが驚きのポイント!
キーになってくるのは、副題「ここで生きる」という言葉。フレンチの「絶対に諦めない」という決意が、とてつもない奇跡と希望へとつながっていくんです(まるで軍隊版「ショーシャンクの空に」のよう)。不屈の精神で生き抜くフレンチの姿は、仲間だけでなく、教官すらも変えていきます。こんなに胸を打つ物語になっていくとは……。
しかも、絶望的にみえた「母との関係」にも、これが作用していくんです! 伏線を回収するかの如く、繰り広げられる“新たな対話”。この想像だにしない結末は、確実にスクリーンで味わうべきです。
【A24が注目した新鋭監督の壮絶ヒストリー】
映画のクオリティを高めたのは“豊富すぎる人生経験”
長編デビュー作でこのクオリティは凄すぎる……エレガンス・ブラットン監督は、今後も間違いなく活躍し続ける逸材です。このパートでは、改めて彼の半生に迫ってみます。ブラットン監督の“真実”を知れば、本作を余計に観たくなりますし、もっともっと興味深くなるはず。
【異色の経歴】16歳で母親との間に亀裂
ホームレス→海兵隊→映画監督と転身した“逸材”
1979年生まれのブラットン監督は、本作で描かれているように、ゲイであることで母親に捨てられ、16歳でホームレスに。路上で過ごした年月は、なんと10年間! その後、海兵隊に入隊。そこで与えられたのは、フィルムメーカー(映像記録担当)の仕事でした。
クィアで黒人であるせいで社会からのけ者にされている。映画を撮ろうと決意したのは、そんな自分自身を癒すため。ドキュメンタリー作品を経て、2022年に“自分の半生”を詰め込んだ本作を完成させ、世界最注目のスタジオ「A24」(「ミッドサマー」「ムーンライト」など)を唸らせる。とてつもないサクセスストーリー。監督自身の人生が、まさに“映画”のようなんです。
【どんな衝撃的な出来事が起こった?】
盗み、軍での脅し、異例の起用…圧巻のエピソード
映画で描かれているのは、ブラットン監督の人生のほんの一部分。実際には、もっと「嘘でしょ?」と思ってしまうようなことが起きていました。それは、例えば以下のようなことです。
●母に同性の恋人との交際がバレて拒絶される→街を放浪→働く手段もなく、すぐに困窮●路上生活者のシェルターへ→“ゲイの自分”を認めてくれた→家庭に次ぐ“第二の居場所”になった●ホームレス時代は芸術関係の本を盗んで転売→生活費と教養を得ていた●海軍採用試験で好成績! 薦められた仕事は「諜報or従軍記者or映像記録担当」●映画の中で描かれる“軍隊流の脅し”「私が受けたものをリアルに再現したもの」●軍高官の式典の“脚本”執筆を担当することに→物語ることにハマる→名門映画学校に進学上記のほかにも、まだまだエピソードが多数存在。こんな日々を送った人物が描く“実話ベースの映画”。面白くないわけがないんですよね。だからこそ、映画.comは強烈に本作をおすすめしているのです。
【母親との“後日談”が非常に感動的だった】
映画完成前に亡くなる→遺品整理で“あるもの”を発見
実は、映画の“その先”となる感涙の秘話があります。
ブラットン監督の母は、残念ながら本作の製作中に亡くなりました。ブラットン監督は、久々に訪れた実家で遺品整理をしながら、母がどういう人生を送っていたのか、どういう苦労をしていたのかを知っていくことになりました。
そこで意外なものを発見します。それは、自身の過去作を紹介した新聞記事の切り抜き。さらにネットの記事をプリントアウトしたものや、海兵隊時代の写真も見つけることに。面と向かって話すことはなかったそうですが、母はブラットン監督の成功を祈り、その活躍を喜んでいたのです!
このエピソードを知ったうえで本編を堪能してみてください。クライマックスの“対話”が一層深みを増すはずですから。
【世界の評価は?】M・スコセッシ、K・ブランシェット
のお墨付き!メディアも絶賛「真実が宿っている」
最後のパートで紹介するのは“世界での評価”! 本作に感銘を受けた海外セレブは、ひとりやふたりではありません。
例えば、世界的巨匠マーティン・スコセッシ監督、「ムーンライト」のバリー・ジェンキンス監督、「プレシャス」のリー・ダニエルズ監督だけでなく、名女優ケイト・ブランシェット、超有名アーティストのビヨンセ&ジェイ・Z、さらに「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」でオスカーに輝いた監督コンビ・ダニエルズとミシェル・ヨーも! しかも、ブラットン監督に“直接”感想を伝えるほど、惚れ込んでしまったんです。
では、海外メディアは? もちろんセレブ達と同様、本作に惜しみない賞賛をおくっています。以下に絶賛評の一部を紹介します。
「心の痛みを感じる、なのに希望に満ちた結末を迎える、爽やかで優しい映画」―― Hollywood Reporter 「今まで見たこともないような光景が広がる」――SHADOW AND AC 「ブラットンが今後目が離せない存在であることは間違いない」――Guardian 「エレガンス・ブラットンは注目すべき才能である。キャストもノリに乗っている」――Boston Heraldブラットン監督は、こんな発言もしています。「家族や仲間が味方でなかったとしても、私は決して、“自分”であることを諦めなかった」と。どんな困難に直面しても決して諦めない。やがて生み出した映画が、世界から“推されている”。この事実にも心震わされるんです。
【結論】世の中に“実話系映画”は数あれど、これほど
衝撃的な内容はそうそうない→劇場で“即体感”して!
これまで数々の映画が“驚きの実話”を描いてきました。そんななかでも「インスペクション ここで生きる」という“実話”は、類を見ないほどの衝撃性で、それを“良質なフィクション”へと昇華したブラットン監督のセンスも、語り継がれるものになるはず。
改めてお伝えしますが、本編を見れば「A24が惚れた理由」というのが即座にわかります。そう、これは“即鑑賞案件”なんです。いち早くスクリーンで目撃することを、猛烈におすすめします!