「【”海兵隊であれば、死ねば俺でも英雄になれるだろう・・。”ゲイゆえに実母から関係を遮断された男が、海兵隊の新兵訓練のしごきに耐え、自らの生きるスタイルを諦めない姿を描いた作品。】」インスペクション ここで生きる NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”海兵隊であれば、死ねば俺でも英雄になれるだろう・・。”ゲイゆえに実母から関係を遮断された男が、海兵隊の新兵訓練のしごきに耐え、自らの生きるスタイルを諦めない姿を描いた作品。】
■ゲイであることから母に捨てられ、16歳から10年間ホームレス生活を送っていた青年・フレンチ(ジェレミー・ポープ)。
自らの存在意義を追い求める彼は、海兵隊への入隊を志願する。
だが、訓練初日から教官の過酷なしごきに遭い、さらにゲイであることが周囲に知られてしまい、苛めの対象になって行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・海兵隊の新兵に対するしごきについては、スタンリー・キューブリックの「フルメタル・ジャケット」が有名であるが、今作では彼の作の様な精神に異常を来す“太っちょボブ”になるまでの教官によるしごきは描かれない。
それが、主題ではないからである。
・2005年が舞台であるが、それまで強力な威力を示していた米軍がイラク戦争の長期化の兆しが見えて来た時期である。
・フレンチは苛めの中、リタイヤを考えるが、彼を認める教官から”辞める気なら、何故努力をして来た。”と言われ、海兵隊で生きる覚悟を決める。
ー それまで、ゲイであるという理由だけで疎外されて来たフレンチが、生きる理由を見出した瞬間である。
そして、彼と同じくマイノリティのイスラム教徒や差別を疑問視する一部の仲間は、孤立に屈しないフレンチの姿に共感を寄せて行くのである。-
<フレンチとの接触を宗教上の理由で、固辞していた母親が、フレンチの海兵隊新兵の卒業式典に出席するシーン。
彼女は誇らし気に息子と接するが、息子がゲイである事には許容しない。
だが、フレンチはそれにめげずに自分の道を進むことを決意するのである。
今作は、派手さは無いが2005年当時のゲイに対する社会の接し方を描きつつ、それにめげずに自身の生き方を貫いた青年の物語なのである。>