インスペクション ここで生きるのレビュー・感想・評価
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実話らしい現実的なラストに胸がつまる
イラク戦争の最中の米軍海兵隊に入隊したクィアの黒人男性が、その性的嗜好に対する差別に晒されながらブートキャンプ生活を過ごし、海兵隊員になるまでの物語。
8割方は、ブートキャンプでの厳しい訓練と寮生活、そして主人公のフレンチがそこで嫌がらせを受ける描写だ。海兵隊の新兵訓練そのものの苛烈さと、彼が受ける村八分的扱いや暴力は、見ているこちらの気持ちが滅入ってくる。だが、フレンチは黙々と耐える。過酷な生い立ちの彼は、自分が人間らしく生きて立派な人間として死ぬには、訓練を耐え抜いて海兵隊員になるしか道がないと思っているのだ。
上官の性的欲求を満たしてやったり、聖職者の説教を聞く義務に耐えきれなくなったイスラム教信者の同僚新兵を慰めたりといったことがあるうち、彼を取り巻く人間関係の質は少しずつ変わってゆく。
2005年当時、米軍には90年代のクリントン政権時に採用されたDADT(Don’t Ask, Don’t Tell)規定があった。同性愛者であることを公言しなければ、入隊を容認するという政策だ。この規定が定められる前は、同性愛者の入隊は明確に禁止されていた。
同性愛者に門戸が開かれたと言えるかというと、到底そうではない。同性愛に対する否定的な捉え方は全く変わっていないからだ。その後オバマ政権がDADT規定を撤廃するまでに、入隊後に性的嗜好が公になったマイノリティ約14,000人が除隊処分を受けた。
フレンチが性的嗜好を周囲から感づかれた途端激しい排斥にあった背後には、そのような時代背景がある。当時の政策が、排斥する側の心理に行為を正当化する材料として働いたという側面もあったのではないだろうか。
しかし、ある意味海兵隊の中での諸々の出来事よりつらかったのは、フレンチの母親の態度だ。保守的なクリスチャンの母親は、彼の属性を受け入れないばかりか、まともに人間として扱おうとさえしない。自室のソファに彼が座ろうとすると、そこに新聞紙をひく始末だ。
厳しい訓練中も、手紙の返事ひとつよこさない(あのシーンは最初郵便物にも嫌がらせをされたのかと思ったが、母親が手紙を無視していただけとわかって暗澹とした気持ちになった)。フレンチが心配になって、上官に頼み込んで電話をしてもそっけない。
そんな彼女が、修了式にはおずおずとやってきた。晴々しい式典と、母親の笑顔。フレンチの頑張りが形になって、やっと彼女も人間としての彼を認めてくれたか?
私のそんな、お決まりの大団円への期待はあっけなく打ち砕かれる。彼女は、息子の同性愛嗜好は海兵隊での訓練で矯正できる類のもの、矯正されるべき悪癖だと思っていたのだろう。彼がクィアのままであると知るや態度を豹変させる。
見ている私は絶望的な気分になったが、フレンチは母に対して決して投げやりにならない。これからも自分は母のものだし、母は自分のものだと、確認するように母に言い聞かせる。
母親の揺るがない価値観を、差別的と断罪して終わりにするのは簡単だ。私自身、息子への愛はないんか!とつい思ってしまった。ただ、彼女をそうさせる過程も想像してみる必要があるとも感じた。
信仰もそうだし、黒人である彼女が受けてきた差別の記憶もあるだろう。人種差別というマイノリティの苦しみを知っている彼女から見ると、息子が更に別のマイノリティ属性を持つことは、いっそう恐ろしく思えたのではないだろうか。その恐怖が、彼女の許容範囲を超えてしまったとも解釈できる気がする。
救いは、この話のモデルになったブラットン監督の後日談だ。監督が本作撮影中に亡くなった母親の遺品整理をしていると、彼の監督業に関する新聞記事の切り抜きや、海兵隊時代の写真などを見つけたという。
心ない言葉をぶつける母親を見限らずに向き合ったフレンチには、彼女の複雑な感情と、その底に埋まってしまったものの決して失われていなかった愛が見えていたのかもしれない。
セーフティネットとしての軍隊
アメリカにとって軍隊とはどういう場所なのかがよくわかる作品だ。一言でいえば、軍隊は社会のセーフティネットになっていて、マイノリティや貧困に苦しむ人が生活や人生の糧を求めてやってくる。本作は監督自身の実体験をもとにしている。主人公である黒人のゲイの青年は、母親に見捨てられ10年のホームレス生活の後、海兵隊に入隊。当時の米軍は同性愛者であることを公言してはいけないというルールがあったから、主人公は自分を隠して生きねばならない。「こんな自分でも軍隊で死ねば英雄になれる」という動機で入った彼は、そこで様々なマイノリティと出会う。実社会以上にひどい差別も経験しながらも、仲間と絆を育んでいく様子が描かれる。非常にアンビバレントな体験だろう。酷い差別をしてくる連中とも苦楽をともにし、何らかの弱さを抱えていることに気づくと、絆は生まれる。分断社会を乗り越えるための、非常に貴重な実例を示した作品だと思う。 性的マイノリティはしばしば、シスジェンダーよりも貧困に陥りやすい。軍隊は差別的であるにもかかわらず、そうした人々のセーフティネットとして機能していたという矛盾は、社会の理不尽から生じていることもよくわかる作品だった。
ゲイを否定的に受け取られかねない要素を敢えて入れた誠実さ
本作については当サイトの新作映画評論のコーナーに寄稿したので、ここでは補足的なことを書いておきたい。「インスペクション」で長編監督デビューを果たしたエレガンス・ブラットンは、自らがゲイであること、同性の配偶者がいることを公言している。自身の海兵隊訓練期間の体験や母親との関係に基づくヒューマンドラマであり、差別やいじめ、しごきに屈することなくアイデンティティーを貫き、周囲の考え方を変えていく様子が描かれる。感動的であり、啓発効果もあるだろう。 だが、ブラットン監督が自ら手がけた脚本は、決して自画自賛や美談の類ではない。驚かされたのは、大半の教官や同期生が同性愛者を嫌悪する中、例外的に優しく接してくれたロザレス教官とのエピソードだ。フレンチがロザレスに対して抱いた好意は、性的な妄想や淫夢に発展。彼が妻帯者だと知りながら、ついには思い切った行動に出ようとする。 こうした“赤裸々な告白”ともとれるエピソードは、「同性愛者は同じ性的指向の相手を恋愛対象にするもの」という一般的な認識から外れ、観る人によっては否定的な感想を抱くかもしれない。それでも本作は敢えて、主人公を100%善良で優等生のゲイとして描くのではなく、理性より欲望に負けそうになる弱い部分も持った生身の人間として描写している。そこにブラットン監督の誠実さと勇気を感じる。
かつて味わったことのない視点で描かれた海兵隊ドラマ
A24の手掛ける作品群はいつも、これまで被写体となる機会のなかった人や物事に光を当てる。その光は、こうあるべき、こうでなくては、と我々をがんじがらめにする意識の鎖を取り除き、身軽にしてくれるかのようだ。その持ち味は本作でも変わらない。冒頭、主人公が地下鉄に乗り、街をゆく。たったそれだけの描写でも、彼の身にまとう赤い衣服が鮮烈に映え、都市のこれまで見せたことのなかった表情が浮かび上がる。そして彼がやがて海兵隊を志願する理由も、我々の固定観念を鮮やかに突き崩すものだった。なぜなら彼はセクシャリティを抑圧して他の兵士と均一になろうとするのではなく、むしろ厳しい訓練に耐え抜くことで胸を張って「自分らしく」生きようとしているのだから。その意志の強靭さ。思考の柔軟さ。仲間や上官との交流も味わい深い。アニマル・コレクティヴの音楽がまた素晴らしく、色とりどりの響きが主人公の生き様に祝福を与えるかのようだ。
Marine Training Video
This generation's Full Metal Jacket. It could almost be a remake, but interestingly it's an autobiographical tale from the director. Throughout the story, the character finds himself challenged by two friction points: opposition to his homosexuality at home and in uniform, and what it means to be a dedicated Marine. Beyond that there's insight into the harsh discipline needed to become a warrior.
今はどうなんでしょうね?
フルメタルジャケットの頃と全然変わってないじゃんと思ったけど、ブッシュ政権とか言ってるから現在ではないんだね。でもジェンダーに関わるところじゃない基本的な指導方法はこれなのかもね。don't ask don't tell聞いたことあります。実際に描くとこういう感じかー。聞きもしない、言いもしないけど、頑然と差別はある、という謎状態ね。お母さん、ただのヤク中アル中の毒親なのかなと想像してたら最初の登場でも警官みたいな制服着てて、あれ?ちゃんと働いてんの?しかも別れ際も出生証明書を親子の絆って言ったりして、愛がないわけでもなさそう、どういうこと?と思ってたらやっぱり宗教なんだなー。宗教って結局世界を不幸にしかしないじゃん、信者の逃げ口を作るだけの機関としか思えないのだよ。修了式であんなに喜んだのも同性愛が矯正されたと思ったのね、性的指向は癖でも病気でもないんだよお母さん。とまあそんなに目新しくもないテーマだけどこのお母さんが良いスパイスでした。悪人ではないんだけどね、親子お互いに可哀想でした。仲間や教官が心をひらいていくって解説には書いてあったけど、そこはイマイチ描き方がヘタだった、最後の殴り合いで突然?って感じもしたし、配属先をその殴り合いの相手だけは微妙な表情で明かさないし、私何か見落とした?全体的にケチつけるところはいくつもあるんだけど、やっぱりお母さんの表現が秀逸でした、これが映画全体を引き上げてくれてたかな。
お母さん 頑固
息子がゲイ。
母親はそれが許せないらしい。
息子が無事苦難を乗り越え海兵隊になってもその点だけは認めてあげようとしなかった。
悲しいね。
誰を好きになるか?なんてそんなもの変えようがないのに。
心を偽って生きることは難しい。
半生ならではの
我が子がゲイ!
我が子を愛してるけれど、その事実を受け入れられない母の辛さは少しだけなら理解できる
でも、その言動がどれだけ我が子を苦しめているかが分からないなら、それは本当の親の愛ではない
言ってみれば母親の自己愛に過ぎない
自分の育て方が間違っていた? 自分のせいだ?!と感じてしまう「自己嫌悪」がそうさせるのであろう
親の愛を求めてもがき苦しむ心の葛藤を、見事なまでに表現している素晴らしい作品です
経験者でなければ、そしてこの監督でなければ伝えられなかったであろう
軍人を経験し、監督になり、この作品を仕上げたことこそが、彼の使命(の1つ)だったのではないだろうか
きっと母は変わらないままこの世を去ったのだろうと思わせるエンドロールに、胸が締めつけられそうになった
さて、話は変わるが、国のために命をかける人、全てを捧げる人の気持ちはこれっぽっちも分からないし、分かろうとも思わない
国が感謝する?そんな馬鹿な!
他国を勝手に敵国だと決めて戦争する「国」とは何?実態さえないただの幻
人を殺すことがもう1つの命を救う等といった偽善には絶対に共鳴できない
監督の人生観・戦争論ではないと思うが、そこだけは譲れずに1つ星をマイナスにした
【”海兵隊であれば、死ねば俺でも英雄になれるだろう・・。”ゲイゆえに実母から関係を遮断された男が、海兵隊の新兵訓練のしごきに耐え、自らの生きるスタイルを諦めない姿を描いた作品。】
■ゲイであることから母に捨てられ、16歳から10年間ホームレス生活を送っていた青年・フレンチ(ジェレミー・ポープ)。
自らの存在意義を追い求める彼は、海兵隊への入隊を志願する。
だが、訓練初日から教官の過酷なしごきに遭い、さらにゲイであることが周囲に知られてしまい、苛めの対象になって行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・海兵隊の新兵に対するしごきについては、スタンリー・キューブリックの「フルメタル・ジャケット」が有名であるが、今作では彼の作の様な精神に異常を来す“太っちょボブ”になるまでの教官によるしごきは描かれない。
それが、主題ではないからである。
・2005年が舞台であるが、それまで強力な威力を示していた米軍がイラク戦争の長期化の兆しが見えて来た時期である。
・フレンチは苛めの中、リタイヤを考えるが、彼を認める教官から”辞める気なら、何故努力をして来た。”と言われ、海兵隊で生きる覚悟を決める。
ー それまで、ゲイであるという理由だけで疎外されて来たフレンチが、生きる理由を見出した瞬間である。
そして、彼と同じくマイノリティのイスラム教徒や差別を疑問視する一部の仲間は、孤立に屈しないフレンチの姿に共感を寄せて行くのである。-
<フレンチとの接触を宗教上の理由で、固辞していた母親が、フレンチの海兵隊新兵の卒業式典に出席するシーン。
彼女は誇らし気に息子と接するが、息子がゲイである事には許容しない。
だが、フレンチはそれにめげずに自分の道を進むことを決意するのである。
今作は、派手さは無いが2005年当時のゲイに対する社会の接し方を描きつつ、それにめげずに自身の生き方を貫いた青年の物語なのである。>
ホームレス時代にメンタルの強さが培われたのか。
母親との関係がうまくいかず、16歳でホームレスになり、10年後に海兵隊に入隊し卒業するまでの話。しかも、フレンチはゲイでそれもあって仲間づくりにも苦労する。 人としての扱いをされないほどのつらい訓練は戦争に行くための人間形成には必要なものではあるんだろうけど。。。
監督の覚悟と母への想いが詰まった真摯な作品
ゲイであることで母に捨てられ、ホームレスになった青年 フレンチが、生きる場所を求め海兵隊に志願する話。
時代は2000年初頭。当時はまだ兵士が同性愛者であると公言することは禁じられていたらしい。訓練初日、教官はフレンチに問う。「お前は同性愛者か?」フレンチは大声で否定する「違います!」と。そこから3か月間、過酷さで有名な海兵隊の訓練、教官らの罵詈雑言交えたしごき、訓練生からのいじめと、目を背けたくなるようなシーンが続く。観客の方が逃げ出したくなるような状況でもフレンチは耐え続ける。何故そこまでして海兵隊に居続けるのか…。その答えとなる、ひとりの教官に彼が漏らす言葉が重たく響く。「母に追い出され16歳から一人で生きてきた。仲間は皆、自殺したか牢屋にぶちこまれ、外の社会に居ても人知れず死ぬだけ。でも軍服姿で命を落とせば、誰かの英雄になれるかもしれない。」それほど、黒人でありゲイであるという圧倒的マイノリティの彼が生きる場所がないのだという、アメリカ社会の現実を垣間見る瞬間だ。黒人のクイアが自殺する割合は白人の2倍、ホームレスになる割合は8倍に上るという…。 そんな現実社会において、米軍隊は一般社会で差別されるマイノリティにとって特別な場所であるといい、黒人に限らず性的マイノリティを抱える人々の最大の雇用先でもあるらしい。映画の中でも訓練兵らの多くが、何等かの理由で社会から外れた者同士として描かれており、厳しい訓練を経て、フレンチの忍耐強さを知り、上官にも認められ、徐々に仲間になっていく姿が描かれる。卒業式(入隊式という方が正しいのだろうか?)でみせる成長した兵士たちの顔つきは、あまりにも尊かった。
フレンチの母も卒業式にやってくる。成長した息子の姿に、母は微笑み労いの言葉をかける。我々観客も初めてみる笑顔だ。ああ、良かった…と、単純なハッピーエンドで終わらないのがこの作品だ。敬虔なクリスチャンであるフレンチの母は、息子がゲイであることを最後まで受け入れることができなかった。彼女は、海兵隊の訓練によって息子がストレートに矯正されたと信じており、それを否定するフレンチに激怒するのである。彼女は涙を流しながら吐露する。「あんたを16歳で産んだ。捨てても良かった。でも出来なかった。」彼女もまた、受難の道を選んだ人なのだと知る。黒人のシングルマザーとして差別や苦難に遭ってきたからこそ、息子が同じ道を進むことが許せないのだろう。奇しくも自分が生を授けた歳になった息子を捨てたのである。そう言われても「僕は母さんを諦めない」と伝えるフレンチは、海兵隊で居場所を作り、自らのアイデンティティも母のアイデンティティも認められる、強さ…というよりも優しさを確かなものにしたように見えた。
自分のアイデンティティを証明するため、文字通り決死の覚悟で自分の居場所を確立していくフレンチの、行動の根源となる計り知れない社会での生きづらさと、母との悲しき関係性に思い巡らせてしまう作品だった。自身の半生に基づくこの壮絶な物語を、美談に終わらせなかった真摯な結末に、監督の覚悟と、たった一人の肉親である母への想いが詰まっていた。
軍隊より母親が一番の強敵
ゲイのため母親に捨てられた青年が海兵隊になるはなし。 アメリカで海兵隊になるって一人前になる象徴みたいなものなのね。 上官からひどい仕打ちを受けたり、同期からいじめを受けたりするが、基本耐えるのみでやり返したりしない。 実話に着想を得た物語とのことで、そういったリアリティがある一方、スカッとする展開があるわけでもなく、もやもやが残ったまま物語は終わる。 海兵隊のパートと母親とのパートの配分が物語に対してバランスがよくないような…。 結局海兵隊は手段でしかなかったわけだし、母親とのパートを掘り下げられなかったかな? 良作ですが、ちょっと中途半端に感じた。
親の愛
2005年代の性的嗜好への偏見や嫌悪感が
(同性愛者である事を公言してはならない)
ヒシヒシと伝わってくるのだけれど
ゲイであることを認識しながらも
「黒、白、ゲイ関係ない」と理解ある上官がいて
同僚からの嫌がらせも表現を抑え気味なのか
それ程酷いものではない。
(もっと卑劣なものあるよね)
とは言え、過酷な訓練に加え激しい排斥行動よりも
フレンチ(ジェレミー・ポープ)と実母との関係性の方が見ていて苦しくなる。
保守的なクリスチャンである母親は
どうしても愛する息子が同性愛者であることを
受け入れ難いのだ。
海兵隊修了式、見違える程に成長したフレンチを
見て歓喜する母親と
「ストレートにはならない」のひと言で
一変する彼女の態度
「母さんは俺のもの」「俺は母さんのもの」
フレンチの母親に対する深い愛に泣きそうになる。
ドキュメンタリーを見ているような作品だった。
息子がゲイで困る理由は宗教観ではなく母親自身の自己愛から
「参った」がこの映画の一言。母親(Gabrielle Union)の身勝手さと息子,フレンチ(Jeremy Pope)の成長過程についてだけ感想を書く。 母親はゲイである息子を受け入れることができず、息子は16歳から家出をしてホームレス生活をしている。上官であるロサレス(Raúl Castillo自分の性的好みで迷っている)に車の中で「ホームレスでゲイだ」だからマリーンMarine Corps に入ったと。そして、ホームレスでゲイで死んだら、何もないと。でも、マリーンに入って軍人としてサービスをして死んだのなら、「名誉」の戦死で名を残すと。これが、きっと母親に残こされるたったひとつの息子へのプライドなのだと思う。母親はかなりのクリスチャンで(映画から南のバプティスト)かと思ったが、ニュージャージー2005と冒頭にでた。調べてみないとわからないが、母親は正統のクリスチャンであるらしい。一般論だが、熱心でないと仕事から帰ってきて、(行くのかもしれない)テープ(ラジオ)で説教は聞かない。母親の仕事は制服からして守衛のようで、人生に疲れているように見受けられた。こんなふうに判断した状況で、息子を愛しているようだが、南バブディストの信者として、ゲイの息子を受け入れられないんだと思っていた。ところがどっこい。南カロライナのマリーン( Marine Corps Recruit Depot Parris Island )の卒業式の時、息子は母親に、軍人になっても「自分のアイデンティティーは変わらない」と告げる。この時の母親の態度は卒業式の家族が和気藹々とした雰囲気をぶち破った。この母親はなぜこんなに......理解に苦しんでしまって、より息子に同情した。でも最後に答えが出た。息子がゲイで困る理由は宗教観ではなく母親自身の自己愛からなのである。息子は自分を証明したくて、こんなひどいマリーン・トレーニングをうけ、母親のために自己啓発してきたが。母親は16歳で息子を産んで、自分が認められない環境に育ち、自分中心の考えから自己愛が強くなってしまってるのではないか。母親の『What about me? What about I want?』 には愕然とした。これが母親の望むこと。クリスチャンでなく自己中だ。 フレンチの成長過程だが、彼は、16歳からゲイのため、ホームレスになってしまった。シエルターで年配のホームレスに「なりたいと思えば、何にでもなれるよ」と言われる。確かに問題意識が持てれば、この悪夢のような状況から抜け出ることができるr。彼の場合は軍隊へ。マリーンでの過酷な訓練、それに、仲間との一体感、上官の愛の鞭?などこれらによって、彼が磨かれたと言ってもいいかと思う。ここはゲイでもなくホームレスでもなく差別がない場所(現実にはある。イシマイルEman Esfandiのようにモスリムでなくても)で、マリーン総力体制で国のためにサーヴィスするところ。ここで「私にもできる」という達成感が生まれたのだ。私的なら1抜けたでやめるが、フレンチには行くところがない。また、ホームレスに戻ったら悪循環なのだ。最後のシーンで部屋に入ってきた制服の人が「国のためにサービスをしてくれてありがとう」といった時、フレンチはニコッとした。全てが報われた。これからの自分があると感じたに違いない。ゲイでホームレスとして路上で死なない新しい自分を見つけ出したと思う。
最後は…
ゲイが母親にバレ、16才から勘当された息子が母親に認められようと奮闘する内容 今一番注目されている内容ではあるが、最後は…僕が同じ立場だったらオカンはどうするか 聞いてみよう ま、ゲイには到底なれないけど🎵
生きていく手段を手に入れる
差別と偏見と嫌がらせを受けながら、自分を変えるのではなく、自分らしく生きる力を手に入れる(=死に場所を探す)ために試練を受けようとする主人公の姿が、見どころ。 ゲイだからって、その矛先(行為や執着)が、その気のない人間に向けられるのでなければいいだけの話だと思うんだが。 それを許さないのは宗教と歴史と時代によるものか? マイノリイティは叩いていいという集団意識によるものか? この手の「生きるのがつらかった」回顧的な内容は、重要なことは理解しているけれども、映画として多く存在しすぎて少々食傷気味ではある。
独創的かつ超個性派エッジ集団「A24」の呪縛に囚われなければオッケーな作品です♪
以前から興味があった作品で観た人の評価がやたらと高いこともあり、やっと鑑賞しました。
で、感想はと言うと…正直まあまあ。
個人的にはもう少しいろんな部分でハードでも良かったかなと。
観る前からハードルを上げていたのとあの独創的かつ骨太で尖った作品を輩出し続ける「A24」が制作しているとあれば、おのずの期待値も上がるし、ハードルを上げてしまうのはしょうがない訳で。
だからこそ、もうちょい理不尽で不条理でハードコアであっても良かったかな~
ゲイであることから母親に捨てられ海兵隊に入隊した青年が自らのアイデンティティを貫こうとする姿を描かれてますが、母親に見捨てられて10年間1人で生き、ホームレスになってしまうまでの考察と言うか葛藤がはしょられていて、何故こうなった?感が強い。
息子と言えど、ゲイとしては理解と受け入れられないのは致し方無しとしてもそこにフレンチが反発して家を飛び出してしまう点が描かれてないから、単にスレ違いだけに見えてしまう。現に家に出生届の件で訪ねたときでもとりあえず家に入れている点で“ん?見捨てられていたんだよね??”と思ってしまうんですよね。
自身のアイデンティティと現状からの脱却から一念発起して海兵隊に志願するが、ふとしたことからゲイであることがバレてしまい、周囲の差別が巻き起こるが、個人的にそんなにゲイであることがこの時代(2005年)で珍しいのか?と考えた。
入隊直前で同性愛者か?と問われた時点で同性愛者の入隊はある程度トラブルの種になると思われることは予測できるが、今の時代程のLGBTQに寛容で無くても、全く無い訳でないと思うので、直接的なトラブルが起こらない限りここまで差別が起こるのか?と考えてしまう。
海軍よりも遥かに厳しい海兵隊たがらこそと言われればそうなのかも知れないが、だからこそもっと直接的なトラブルやそうなる過程や前例なんかを入れた方が良かったのでは。
監督のエレガンス・ブラットンの自伝的な物語の為、そういうものと言われればそうなのかも知れないけど、昨今のLGBTQに対しての理解ともっとエゲつない差別が描かれた作品があるだけに、描写的にはそれほどでもないかなと感じてしまうし、フレンチのちょっとした行動や妄想を鑑みるとちょっと全部肯定的には見れないんですよね。
海兵隊の訓練や上官の命令も思っていた程酷く感じなかったのはいろんな作品でもっとえげつないのを観てるかなのかな?と考えてしまう。
ただ、必要以上にハッピーエンドや過剰なドラマ性を組み込まなかったのは、A24のらしくないと言えばらしくないw
人間の闇の部分をこれでもかと組み込むことに長けているだけにw、ちょっと意外だけど個人的には評価も出来ます。
フレンチを演じるジェレミー・ポープの演技が光る作品でこれだけの内容を95分でまとめたのも良い。
単にゲイを腫れ物を触る様に扱うのは今の時代にそぐわないし、今から約18年前の設定でもちょっと違和感が感じる。
もちろんLGBTQの全てを知っている訳ではないけど、1人前の海兵隊員に育て上げる行程とLGBTQ問題をどう上手く組み合わせるかを悩んだと思いますが、自伝的作品なので落としどころが難しい。
あと、フレンチが海兵隊入隊前に同じセクシャルマイノリティの老人から送られた言葉とラストの上官の言葉は上官としてフレンチを見てきた言葉としてベストな言葉選びでどちらも印象深い。
母親を認めて欲しいがゲイの息子は受け入れられない。だが海兵隊に入った息子は認めてる。
母親の葛藤もフレンチの葛藤も簡単に答えが出る訳ではないだけにこのラストがモヤッしながらもA24っぽくて良いw
A24らしくないけど、ちゃんとA24している。
ツッコミどころもありますが、A24の呪縛に囚われなければきちんと評価出来るかと思いますw
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