劇場公開日 2023年7月21日

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「彼女の強く鋭い眼差しが、焼き付いて離れない。」裸足になって ともさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5彼女の強く鋭い眼差しが、焼き付いて離れない。

2023年7月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

私たちの日常とそう変わらない、等身大の女性たちの生活。でも、日常の中にテロリストなどのイスラム圏の問題が根付いていることにハッとさせられた。
テロリストの捕虜にされていた(つまりレイプされていたということ)自閉症の姉妹、息子をテロリストに殺されたろう者の母等々…。
そして、自由を胸に他国へ羽ばたこうとした親友は、自由をその目で見ることなく、散ってしまった。

映画の中では、そんな暗い部分だけではなく、女性たちが楽しく暖かく触れ合い過ごす時間も描いている。いろんな女性がいるので皆で会話をしててもどこかチグハグだけど、本当に素敵なやり取りたち。とても愛おしい時間だった。

普段あまり見られない、アルジェリアでの生活が垣間見れたのもおもしろかった。
アルジェリアの料理だったり、闘羊の様子だったり、新たな知見を得られてよかった。

映画は亡き親友へ捧げるダンスで幕を下ろす。
彼女の強く鋭い眼差しが、脳裏に焼き付いて離れない。

*
パンフレットに、現代アルジェリアの社会・料理・音楽・ダンス等々について分かりやすく解説しているので、そちらも必見!
コラムページも読みがいのあるものだった。
私はアルジェリア情勢に詳しくないので、劇中で度々でてくる「恩赦」がなにを指しているのかいまいち分かっていなかったけど、

以下パンフレットより引用
”「暗黒の十年」と呼ばれる90年代は、一般市民を巻き込む形でイスラーム過激派と政府軍の間で戦闘が行われ、国中でテロが横行して20万人が犠牲となった。”
”この戦争状態を収めるため、1999年の「市民協約」以来、ブーテフリカ大統領が進めた施策が、作中でも言及されているテロリストへの「恩赦」であり、治安回復と引き換えに膨大なテロ事件の責任は曖味にされ、20年が経っても依然として癒えない傷、悲しみと恐怖が人々の心に隠されている。”

と、のこと。
誰かの参考になれば嬉しい。

とも