劇場公開日 2024年5月17日 PROMOTION

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湖の女たち : 特集

2024年5月13日更新

【この映画、ただごとではない】本能剥き出しで堕ちて
いく男と女――福士蒼汰&松本まりかの“異常演技”に
引きずり込まれ、老人の不審死を発端に隠蔽された闇が
奇妙に絡み合う… 心ざわつく唯一無二ミステリー

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映画は、密かに欲望と向き合う女と、その光景をじっと見つめる男の姿から幕を開ける――。

“衝撃的導入”に圧倒され、思わず「とんでもない物語が始まる」と感じてしまう。それが「湖の女たち」(5月17日公開)。数々の映画賞に輝いた「さよなら渓谷」の監督・大森立嗣&原作・吉田修一の“再タッグ作”だ。

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福士蒼汰&松本まりかが、不毛でアブノーマルな性愛に溺れていく男女を体現していくのだが、2人の芝居はあまりにも凄い。熱演? 好演? そんな言葉には収まりきらない異常演技とも言える“何か”を湛えている。

しかも、この映画の凄まじいところは、それだけではない。重厚かつ重層的、決して一筋縄ではいかない内容。冒頭だけではなく、ラストまで“ただごとではない光景”が続く。そんな極上ミステリーの魅力を解説していこう。


こんな姿の福士蒼汰&松本まりか、目撃していいのか?
“濃密な物語”は想像もつかない方向へとうねり出す

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このパートでは“ただごとではない映画”の見どころを紹介。危険な魅力を備えた物語や俳優陣の芝居――まるで“観てはいけないものを、観てしまっている”という感覚に陥るはずだ。

[前代未聞のストーリー]「恥ずかしくないんか?」異様な事件の裏側で起こる支配と服従 ミステリーとしても“驚きの広がり”を見せていく
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100歳の寝たきり老人が介護施設で殺された――この事件を契機に出会ったのが、若手刑事の圭介(福士)と、容疑者の一人とされた介護士の佳代(松本)。危うい関係を深めていく2人は、次第に密会を重ね、一心不乱に互いを求めて貪り合う。

「最低な女やな、恥ずかしくないんか?」

「ごめんなさい、こんな女になってしもて」

そんな道徳的通念を踏み外していく光景が破滅的で、刺激的で……あなたの“心”を確実にざわつかせるだろう。

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しかも、この濃密展開と並行して、深刻な薬害事件、旧日本軍731部隊が関与した人体実験など、“隠ぺいされた真実”も浮かび上がっていく。予測不能かつ想像以上に壮大なスケールになっており、急角度でやってきた“謎”があなたを知的興奮の彼方へと運んでくれるだろう。

[異常レベルの芝居]アブノーマルな性愛に溺れて…身も心もさらけ出し、限界突破した福士蒼汰&松本まりかが圧巻
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福士蒼汰と松本まりかを“凝視”せざるを得なくなる。それほど“一線を越えた”芝居を披露していて、彼らを観るだけでも鑑賞料金の倍以上の価値があると感じるだろう。

従来の“爽やかな好青年”という福士のイメージを過去のものにするのが、刑事・圭介役だ。佳代に理不尽なつきまといを繰り返し、、「ゆえや、会いたかったって」と一方的にサディスティックな言葉を投げつける。あまりにも過激で横暴――。「役者人生におけるターニングポイント」と自負するほどの役に挑んだ“最新の福士蒼汰”を目撃して欲しい。

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佳代を演じた松本は「あの強烈な映画体験は、生涯この身体から離れることはない」と振り返っているが、その発言通りの極限シーンに臨んでいる。言葉責め、全裸での土下座、さらには手錠で拘束されて……。恐怖を感じながらも、倒錯した欲望を覚醒させる姿に圧倒されることは間違いなく、松本の才能を改めて“再発見できる”だろう。

[映画.comはココも推したい]“刑事”浅野忠信の凄みは必見 疑わしき者を徹底的に追い詰める姿に震えあがった
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ベテラン刑事・伊佐美を演じた浅野忠信の“怪演”もプッシュしておきたい。

伊佐美は圧迫捜査も厭わない恐るべき人物で、犯人と決めつけた人物には容赦がない。長時間に及ぶ恫喝まがいの取り調べを行い、自白のでっち上げも……。しかも、部下の圭介へのアタリも激烈(“鬼詰め”の光景が怖すぎる……)。

極めつけは、容疑者と目された人物が“最悪の状況”に陥った時のこと。あまりの惨事に苦悩する捜査員たちを前に、伊佐美が“独り言”を呟くのだが、その物言いに震え上がる。このシーンの詳細は、是非劇場で確認すべし。


【予告編】人は罪を犯し続ける。人は人を愛し続ける。

【ここに注目して観ると、衝撃が2倍になる解説】
奇妙な性愛、刑事の暴走を食らい、湖の底へ堕ちていく

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さらに本作を深く味わってもらうために、解説を書いていこう。ここで紹介する“注目ポイント”をおさえておけば、より本質が骨身に染み、飛躍的に充実した鑑賞体験となるはずだ。

以下に目を通し、未鑑賞の人は今すぐ映画館へ、鑑賞済みの人はもう一度映画館へ向かってほしいと思う。

[注目①:圭介と佳代の性愛を観て、得られること]
ただの不倫ではない…“観てはいけない、知ってはいけないゾクゾク”を植え付ける
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刑事・圭介と容疑者・佳代……事件を通じて出会った2人が性愛を貪る様子を通じて、本作は何を伝えようとしているのか? これを意識したうえで観ると物語の衝撃がグンと増すので、読者の皆様が意識するきっかけとして、原作・吉田修一氏と監督・大森立嗣の言葉を引用しつつ考えてみよう(解釈は観る者の数だけあるため、ここから先の解釈はもちろん正解というわけではない)。

福士蒼汰と松本まりかの異常とも言える演技で表現される、圭介と佳代の関係。世間一般から見ればそれは“不倫”だろうが、全裸土下座の強要などただの不倫と言えるだろうか? 本質はそんな生やさしいものではなく、原作・吉田氏は「不倫だとか正義だとか道徳といったものは、まったく2人の眼中にはない。社会通念みたいなものが一切なくなっていった先に、彼らの関係の強さがある」と語っている。

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社会通念を無視して、本能を剥き出しにし、お互いを求め合う2人。マスコミが報じれば確実に大騒動になる秘密の関係、だからこそ強烈な圭介と佳代の絆を、大森監督はこう定義している。「二人だけの王国」と。

二人だけの王国=圭介と佳代の性愛を観れば、おそらく、あなたの道徳観や倫理観は真正面から完全に破壊され、新たな価値観を植え付けられるだろう。筆者も実際に目撃し、自分の日常生活では絶対にしないからこそ、映画を通じて過激な瞬間を疑似体験し、非日常の快感を味わうことができた。

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そして、見る者によっては“美しさ”すら感じてしまうかもしれない(実際に、吉田氏は「僕はすごく美しいシーンばかりだと思った」と述べている)。転じて、観てはいけない、知ってはいけない“ゾクゾクするほどの感覚”があり、それこそが本作の重要な要素。あなたは何を感じるか――ぜひ映画館の暗闇の中で、彼らの行く末と向き合い、未知の扉を開けてもらいたい。

[注目②:何度でも伝えたい浅野忠信の衝撃]
かつて正義に燃えていた刑事は、なぜ“変貌”したのか? カギを握るのは泣き崩れるシーン
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伊佐美の存在も、観客を物語に深く引きずり込むのでご用心。繰り返しになってしまうが、アツく語らせてもらいたい。

伊佐美は、現在は違法捜査も厭わないアウトローだが、かつては正義に燃え、正しい捜査に全力を尽くす純粋な刑事だった。製薬会社の血液製剤が50人もの命を奪う凄惨な事件が起きた。伊佐美は真実を暴こうと躍起になった。しかし大物政治家の圧力によって立件が見送られた。その瞬間、彼は変わってしまった。

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劇中では、当時の伊佐美が湖の畔で泣き崩れ、信じられないほど暴走するシーンが描出されている(読者の楽しみを奪わないため、どうなるかは詳述しない)。これが浅野忠信の熱演と相まって非常に衝撃的かつ魅力的で、筆者は強く強く魂を掴まれた。

そのほかにも伊佐美について、大森監督が「現場で鳥肌」、吉田氏が「のけぞった」というシーンが存在する。伊佐美の過去の情熱/現在の悪どさのすさまじい落差や、全身から放たれる“唯一無二の魅力”は、そうそう出合えるレベルのものではない。作品の核の一部を担っているので、彼の表情や一挙手一投足にはぜひ注目して欲しい。観ればとびきりの刺激を食らうはずだ。

[まとめ]鑑賞すれば、まるで“湖の底に堕ちていく”感覚に……!この唯一無二の体験は映画館で味わってほしい
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前述のポイントをおさえておけば、本作の内容がより深く伝わり、すさまじい体験となるはず。

ただし、本特集では語りきれない部分はまだまだ多数存在している。謎が謎を呼び、まるで湖底へと引きずり込まれるような鑑賞体験が待ち受けているので、心して映画館へと向かってほしい。

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