劇場公開日 2023年9月15日

「ニール・ブロムカンプ色は薄い、王道的なストーリー」グランツーリスモ 矢吹 貴さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ニール・ブロムカンプ色は薄い、王道的なストーリー

2023年9月18日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

プレステのゲーム「グランツーリスモ」のトッププレーヤーから選抜したカーレーサー育成プログラム出身のヤン・マーデンボローの軌跡を描く映画。

ストーリーは、ゲームしか取り柄のない若者が、チャンスを掴んで子供からの夢を叶えるという王道的なもの。自動車レーサーになるには才能があっても、活動資金が膨大なためスポンサーを確保するか裕福でないと厳しい現実があるのだけど、そういった説明がやや希薄だったので、事情を知らない方によく伝わっただろうか。

実話に基づく映画とされるが、クライマックスのル・マン3位入賞も、実際は下位クラス参戦の結果であって総合順位が9位であることは一切触れなかったり、チームの3人のドライバーの内、一人はGTアカデミー出身ではない(伊達公子の元夫ミハエル・クルム)とか、そもそも、事故発生はル・マンの後といった嘘もチラホラ。
映画で多用される「実話に基づく」とは、こういうことなのねと実感できるわけだけど、数十年前のことであれば、あまり突っ込まれないかもしれませんが、割と最近の話なので、気になっちゃいますね。

日産とポリフォニーデジタルの宣伝臭がやや鼻につくものの、映画自体はそんなに悪くないんだが、少し前の「フォード対フェラーリ」や「ラッシュ/プライドと友情」と比べると、やっぱ落ちるよねぇ。

矢吹 貴