劇場公開日 2023年10月27日

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「人生を愛しているからこその…」SISU シス 不死身の男 りらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人生を愛しているからこその…

2024年3月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

他にもそう思った方は多いようですが、サクッとまとめるならフィンランド版ランボー的な。第二次世界大戦終盤、フィンランドからノルウェーへ逃亡を計るナチスの残党と、フィンランド人の老人との金塊を巡っての死闘が繰り広げられる。そのフィンランド人はは愛犬と愛馬だけを連れに砂金採りをしている、ただの老人にしか見えないが、実はロシア軍からも恐れられた、特殊部隊の伝説と呼ばれたとんでもない男だったわけです。
ストーリーは単純で、主人公・アアタミの持つ金塊を奪おうとするナチスが彼を追い、アアタミの反撃で兵を失いながらも金塊を奪う。そして今度はアアタミが金塊奪還のためナチスを追う。アアタミの執念と強靭さ、サバイバル力、生命力というよりは絶対死なない力(笑)がまあ凄まじい。
アアタミもかなりな悲惨な目に遭うし、ナチスは彼に殺されまくるので暴力描写や痛み描写はけっこうなものだけど、どこかからっとしていてあまり陰惨には感じない。何より、アアタミが、戦争で家族を喪った辛い過去から復讐の鬼のような男だったらしいのに、それでも人生を捨ててないように見えるのがナイス。だって自暴自棄になっていたら金塊奪還に執着しなかろうし、愛馬や愛犬への細やかな愛情も持ちえなかったと思うから。この先もまだまだ生き続けて、辛かった人生から負債を取り立ててやるんだ!という気迫が感じられたのが良き。
ラップランドの、荒寥かつ美しい大地が映像的に好みだったし、ナチスの捕虜になっていたフィンランドのお姉さんたちの反撃も痛快で、楽しく観ました。

りら