劇場公開日 2023年10月27日

  • 予告編を見る

「フィンランドの荒涼とした風景が美しい」SISU シス 不死身の男 night runnerさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0フィンランドの荒涼とした風景が美しい

2023年10月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

いゃあー面白かったー。観てよかったあー。
本当に面白かったぁ。

武骨で荒削りで、WILDで、でも、緻密。無駄がない。目が離せなかった。ワクワクもした。
殺傷シーンがリアルで容赦がないことが、映画を雄弁にして、世界観の説得力をMAXにした。
戦車の砲撃はビックリした。本当に椅子から飛び上がった。
男性の低音(アルト?)と女性のスキャットみたいな劇伴が、また、良かった。侍映画みたいだった。

「ストリート・オブ・ファイヤー」や「マッドマックス」を最初に観たときのような衝撃、既視感を覚えました。

映画のタイトルの「SISU」は翻訳できない独自のニュアンスを持ったフィンランド語とのこと。「フィンランド魂」とか、「あきらめない心」とか…?
その「SISU」を映画の題名にしたのが、とてもいいと思う。
自分はSUSIは、主人公ヨルマ・トンミラや他の人たちのギラギラ光る眼かな、と感じた。
泥の中でも、夜でも、水の中でも、どこでも光を失わない眼、言葉はほとんど発しないけど、意思と圧と…すごい。

映画の中では、確か…「「SISU」は、希望がなくなったときに現れる」って言っていた。………それって、ダークサイドに落ちた人の前に現れるマスターのこと……!?(笑)

これからは【シス】って言われたら、「どっちの?」って聞くかもしれない…(笑)

2時間足らずの作品だけど、あらゆる要素が詰まってた。ランボーもダイ・ハードもトム・クルーズも!陸海(川)空でのバトル、男子も女子もバトル。
敵もふてぶてしくて憎ったらしかったし、ひとりひとり人間臭かったし。すごく汚れてくたびれいてリアル!

そしてそして、
主人公の老兵が絶体絶命の窮地に幾度も陥っても、その状況を、予測できないような方法でひとつひとつクリアしていくストーリーの連続は、まるで、「隠し砦の三悪人」みたいだった。
ストーリーも俳優さん達も荒涼とした大地も、まるで黒澤映画を観ているようだった。
あの眼は、黒澤映画に出てくる人たちの目と同じだと感じた(三船敏郎?、仲代達矢?いや、志村喬さんの眼?)。
つるはしを持ったヨルマ・トンミラはぶっ飛んでいたけれど……。

この映画を見たタランティーノたちは、きっとワクワクしてると思う。

パンフレットの表紙も、かつての日活や大映映画のようだった。→ あの可愛い犬は、主人公ヨルマ・トンミラの実際の愛犬で、戦車の青年操縦士は、本当の息子さんだったんですね♪

(あと、今、どうしても感想として付け加えなければならないことは…、戦争のシーンはスクリーンの中だけでたくさんだ。ということですが…)

それでも、ほんとに面白い映画でした。
もう一回観に行きます。

night runner