神さま聞いてる? これが私の生きる道?!のレビュー・感想・評価
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神さま聞いて。これが私の成長物語
一人の少女の青春、家族や友人らとの関係、成長…という、一見定番ジャンル。
ハリウッドでこの手の作品は下ネタ絡むコメディになったり、キャピキャピやラブなどもっとティーン向けの作風になる事多いが、そういった要素が控え目なのがミソ。
自身の事、周りの変化、そして宗教観…。
女の子と男の子の違い、国それぞれの価値観など含みつつも、一人の少女の悩みや普遍的な日常を共感たっぷりに。考えさせられつつ、すんなり楽しくハートフルに見れる。
アメリカで長年愛されている等身大青春小説の映画化。昨夏、全米では高評価。
その時から気になってた作品。日本では配信のみが惜しい、本当に本当に好編!
11歳のマーガレット。
NYで楽しく暮らしていたが、両親の仕事の都合でニュージャージー郊外へ引っ越す事に。仲良しの父方のおばあちゃんとも離れ離れに。
こういう場合両親って、新しい土地にもすぐ慣れる、新しい友達も出来る…なんて無責任な事言うけど、それってどんなに大変な事か。
新天地、新たな環境、多感な年頃…不安はいっぱい。
神様、お願いです。引っ越し先でも上手くやっていけますように。
引っ越して来て早々、近所に住むナンシーという女の子が話し掛けてくる。
同じ歳、これから通う同じ学校のしかも同じクラスらしいが、話し掛けてきた時半裸状態の大胆な格好。早熟な娘…? まあお陰で転校初日一人ぼっちではなかったが。
自分の美貌やスタイルにも自信ありげの所謂“リーダータイプ”のナンシー。クラスのもっと発育したローラという娘にチクリとトゲのある言い方。クラスの女子の中で飛び抜けて高身長&胸も膨らんでいるローラ。故に、孤立…。
仲間外れはイヤ。転校してきたばかりだし。平凡なマーガレットはそのままナンシーのグループへ。
女子二人も加え、ナンシー発案の“秘密の女子会”を結成。
自分たちの周りや身体の変化、気になる男子の事など嘘付かずノートに書き、皆と回し読みして打ち明ける。
今だったらグループLINEだろうけど、時代設定は1970年代。交換日記みたいなアナログ感がノスタルジー~。
3人はクラスで一番人気の男子の名前を書いたが、マーガレットだけ別の男子の名を…。ついつい、皆と同じと嘘付いちゃう。皆と一緒の憧れはいいけど、一人違うは恥ずかしい…。
男子以上に関心事は、身体の変化。大人用ブラを付け、胸の膨らみをアピールするナンシー。マーガレットらはまだジュニアブラ…。
胸が早く大きくなるよう、ナンシーがやってるエクササイズ。“オッパイ オッパイ 大きくなれ!”。←(^^;
この年頃の女の子がそろそろ迎え始める“アレ”。
学校でも特別授業。私の中学時代だったか、女子たちだけでそんな特別授業あったっけ…。男子たちは何となく触れずにいたようだったけど。
自身の身体に起こる“衝撃”の変化に、キャ~ッ!!
でもこれを迎えたら、大人に近付く。クラスの女子でただ一人、まだ迎えてない、一番遅いなんて絶対イヤ!
友人たちもちらほら迎え始める。
神様、お願いです。どうか私に早く“アレ”を。
↑男の私が女子の“アレ”を書くなんて何だか恥ずかしいし、キモッ!…と思われるかもしれないが、異性から見ても分かり易くユーモラスに描かれているのが特筆。
女子が大人になるってただの言葉だけじゃなく、身体の変化も含めて本当に。
アソコに毛が生えた…そんな単純バカな男とはまるで違う。
悪戦苦闘してるのはマーガレットだけじゃない。母親バーバラも。
引っ越してからはもっと、家庭や娘の事や学校行事を優先する。
それを実践。PTAで様々な学校行事、係や役員に名乗りを上げる。
ママ、頑張り過ぎです…。
そんなママを、レイチェル・マクアダムスが好演。あの『きみに読む物語』のレイチェルがお母さん役が全く違和感なく…。それでもまだまだ充分チャーミング。
父方祖母にキャシー・ベイツ。孫とはフレンドリーな元気おばあちゃん。
勿論、マーガレット役のアビー・ライダー・フォートソンのナチュラルさ、好演は本作最たるもの。メッチャメチャな美少女って訳でもないんだけど、もっと幼い頃からの成長ぶりについつい親目線。あの“アントマン・ドーター”が大きくなって…。『~クアントマニア』では降板しちゃったけど、本作でそれ以上のキャリアアップ!
70年代から映画化のオファーが絶えなかったらしいが、原作者が固辞。
『スウィート17モンスター』が絶賛された俊英監督の手で映画化。
遂に…というより、ベストのタイミングだったのであろう。原作者も納得、監督、キャスト、手腕も含めて。日本は爪の垢を煎じて飲んだ方がいい。
確かに古臭さは感じない。瑞々しさもだが、テーマも今に通じる。
成長や家族がメインだが、もう一つ。
マーガレットは母方の祖父母に会った事がない。
母は両親から絶縁されている。
母方はキリスト教、父方はユダヤ教。
マーガレットの両親は結婚時、一悶着。幸せそうな両親には訳ありの経緯が…。
宗教観の違い。ホント、宗教が絡むと色々面倒…。
人それぞれ信じる者は自由。あからさまに宗教を否定する気はないが(個人的理由でエホバの証人だけは論外)、日本人には理解しづらい。それだけで絶縁って…。
マーガレットも直面する。今はまだ無宗派。
いずれ選ばなくてはならない。キリスト教か、ユダヤ教か。
決めかねている。
そんな時…
絶縁以来始めて、母方の祖父母が訪ねてくる。
母親にとっては久しい再会。マーガレットにとってはド緊張ね初対面…。聞いていたより優しいおじいちゃんおばあちゃんだが…。
そこへ、父方のおばあちゃんもやって来る。
初めての家族全員集合だが…、当然何も起こらない訳ない。
宗教間の口論、孫をどっちの宗派にさせるか。
またまた両家族が対立。
そこで不満や鬱憤をぶちまけたのは…、マーガレット。
どっちでもいい。下らない宗教間で喧嘩。いい加減にして!
マーガレットの心痛も分かる。祖父母たちは孫より宗教を優先しているようにも…。
家族の間だけでこんな対立。そりゃあ宗教戦争なんて起こる訳だ…。
さらにマーガレットは、神様なんて信じてない!
これまでちょくちょく神頼みしていたのに、心底の本音は…。
何かにすがりたい時、何かを信じ、何かを頼む事は誰だってある。
でも、それで本当に解決するなんて思っちゃいない。一つの心の拠り所。
何を信じるか、何を選ぶか、どうすべきかは、自分次第。
家族間の宗教問題やマーガレットがどっちを選んだかは明確に描かれず。
こういう事にはっきりとした解決はない。
自分自身で向き合っていく。これから成長していくと共に。
その第一歩。マーガレットにも遂に…。
いっぱいいっぱい、悩んで悩んで、喜んで幸せを感じて、僕たち/私たちは大人になっていく。なっていったんだ。
ね、神様。
子供から大人まで楽しめるハートフルムービー
思春期真っ只中の少女、マーガレットの成長を主軸とした
家族愛あり、友情ありの青春ムービー
個人的には大好きな家族描写で大感動
女の子の思春期にフォーカスしたストーリーということもあり
比較的女性のお客さんが多かったが男性も十分に笑って楽しめるおすすめの作品。
無神論者と自称しながらも神様に必死でお祈りするマーガレットの姿は
非常にチャーミングに描かれ、海外の劇場でも大ウケだったが
日本人、少なくとも自分にとっては日常茶飯事で笑いより共感が勝ったのが印象的
また画家の仕事をやめ、新米専業主婦となった
マーガレットママの奮闘記も見どころポイントです。
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