神さま聞いてる? これが私の生きる道?!のレビュー・感想・評価
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等身大の女の子の成長に心が温くなる
こんなにナチュラルに思春期の身体や心、性や宗教に対する気持ちを描く作品が今まであったでしょうか。 きっと多くの女性に心当たりがあるような普通の女の子の日々が映し出されているだけではあるのに、観賞後の心地よさが素晴らしい。ガールズトークが可愛くて微笑ましいし、失敗したり怒ったり喜んだり、そんなマーガレットたちの姿が優しく描き出されています。 マーガレットと一緒に成長していく母親のバーバラもとても好感が持てるキャラクターで、すごく素敵な家族の姿に心が温かくなりました。
神様への問いかけは自然に身につく作法
17モンスターの監督なら見るべき、また映画ライターのおすすめで鑑賞。 レイチェルとキャシーベイツなら間違いない作品ながら、前回と比べると少々物足りない。勿論笑える箇所は何度もあり、少女思春期と宗教問題を絡め、泣いたり笑ったり。 レイチェルマクダモンドはもっともっと評価されるべき俳優さんかな、皺も増えたけど綺麗でした。
神さま聞いて。これが私の成長物語
一人の少女の青春、家族や友人らとの関係、成長…という、一見定番ジャンル。
ハリウッドでこの手の作品は下ネタ絡むコメディになったり、キャピキャピやラブなどもっとティーン向けの作風になる事多いが、そういった要素が控え目なのがミソ。
自身の事、周りの変化、そして宗教観…。
女の子と男の子の違い、国それぞれの価値観など含みつつも、一人の少女の悩みや普遍的な日常を共感たっぷりに。考えさせられつつ、すんなり楽しくハートフルに見れる。
アメリカで長年愛されている等身大青春小説の映画化。昨夏、全米では高評価。
その時から気になってた作品。日本では配信のみが惜しい、本当に本当に好編!
11歳のマーガレット。
NYで楽しく暮らしていたが、両親の仕事の都合でニュージャージー郊外へ引っ越す事に。仲良しの父方のおばあちゃんとも離れ離れに。
こういう場合両親って、新しい土地にもすぐ慣れる、新しい友達も出来る…なんて無責任な事言うけど、それってどんなに大変な事か。
新天地、新たな環境、多感な年頃…不安はいっぱい。
神様、お願いです。引っ越し先でも上手くやっていけますように。
引っ越して来て早々、近所に住むナンシーという女の子が話し掛けてくる。
同じ歳、これから通う同じ学校のしかも同じクラスらしいが、話し掛けてきた時半裸状態の大胆な格好。早熟な娘…? まあお陰で転校初日一人ぼっちではなかったが。
自分の美貌やスタイルにも自信ありげの所謂“リーダータイプ”のナンシー。クラスのもっと発育したローラという娘にチクリとトゲのある言い方。クラスの女子の中で飛び抜けて高身長&胸も膨らんでいるローラ。故に、孤立…。
仲間外れはイヤ。転校してきたばかりだし。平凡なマーガレットはそのままナンシーのグループへ。
女子二人も加え、ナンシー発案の“秘密の女子会”を結成。
自分たちの周りや身体の変化、気になる男子の事など嘘付かずノートに書き、皆と回し読みして打ち明ける。
今だったらグループLINEだろうけど、時代設定は1970年代。交換日記みたいなアナログ感がノスタルジー~。
3人はクラスで一番人気の男子の名前を書いたが、マーガレットだけ別の男子の名を…。ついつい、皆と同じと嘘付いちゃう。皆と一緒の憧れはいいけど、一人違うは恥ずかしい…。
男子以上に関心事は、身体の変化。大人用ブラを付け、胸の膨らみをアピールするナンシー。マーガレットらはまだジュニアブラ…。
胸が早く大きくなるよう、ナンシーがやってるエクササイズ。“オッパイ オッパイ 大きくなれ!”。←(^^;
この年頃の女の子がそろそろ迎え始める“アレ”。
学校でも特別授業。私の中学時代だったか、女子たちだけでそんな特別授業あったっけ…。男子たちは何となく触れずにいたようだったけど。
自身の身体に起こる“衝撃”の変化に、キャ~ッ!!
でもこれを迎えたら、大人に近付く。クラスの女子でただ一人、まだ迎えてない、一番遅いなんて絶対イヤ!
友人たちもちらほら迎え始める。
神様、お願いです。どうか私に早く“アレ”を。
↑男の私が女子の“アレ”を書くなんて何だか恥ずかしいし、キモッ!…と思われるかもしれないが、異性から見ても分かり易くユーモラスに描かれているのが特筆。
女子が大人になるってただの言葉だけじゃなく、身体の変化も含めて本当に。
アソコに毛が生えた…そんな単純バカな男とはまるで違う。
悪戦苦闘してるのはマーガレットだけじゃない。母親バーバラも。
引っ越してからはもっと、家庭や娘の事や学校行事を優先する。
それを実践。PTAで様々な学校行事、係や役員に名乗りを上げる。
ママ、頑張り過ぎです…。
そんなママを、レイチェル・マクアダムスが好演。あの『きみに読む物語』のレイチェルがお母さん役が全く違和感なく…。それでもまだまだ充分チャーミング。
父方祖母にキャシー・ベイツ。孫とはフレンドリーな元気おばあちゃん。
勿論、マーガレット役のアビー・ライダー・フォートソンのナチュラルさ、好演は本作最たるもの。メッチャメチャな美少女って訳でもないんだけど、もっと幼い頃からの成長ぶりについつい親目線。あの“アントマン・ドーター”が大きくなって…。『~クアントマニア』では降板しちゃったけど、本作でそれ以上のキャリアアップ!
70年代から映画化のオファーが絶えなかったらしいが、原作者が固辞。
『スウィート17モンスター』が絶賛された俊英監督の手で映画化。
遂に…というより、ベストのタイミングだったのであろう。原作者も納得、監督、キャスト、手腕も含めて。日本は爪の垢を煎じて飲んだ方がいい。
確かに古臭さは感じない。瑞々しさもだが、テーマも今に通じる。
成長や家族がメインだが、もう一つ。
マーガレットは母方の祖父母に会った事がない。
母は両親から絶縁されている。
母方はキリスト教、父方はユダヤ教。
マーガレットの両親は結婚時、一悶着。幸せそうな両親には訳ありの経緯が…。
宗教観の違い。ホント、宗教が絡むと色々面倒…。
人それぞれ信じる者は自由。あからさまに宗教を否定する気はないが(個人的理由でエホバの証人だけは論外)、日本人には理解しづらい。それだけで絶縁って…。
マーガレットも直面する。今はまだ無宗派。
いずれ選ばなくてはならない。キリスト教か、ユダヤ教か。
決めかねている。
そんな時…
絶縁以来始めて、母方の祖父母が訪ねてくる。
母親にとっては久しい再会。マーガレットにとってはド緊張ね初対面…。聞いていたより優しいおじいちゃんおばあちゃんだが…。
そこへ、父方のおばあちゃんもやって来る。
初めての家族全員集合だが…、当然何も起こらない訳ない。
宗教間の口論、孫をどっちの宗派にさせるか。
またまた両家族が対立。
そこで不満や鬱憤をぶちまけたのは…、マーガレット。
どっちでもいい。下らない宗教間で喧嘩。いい加減にして!
マーガレットの心痛も分かる。祖父母たちは孫より宗教を優先しているようにも…。
家族の間だけでこんな対立。そりゃあ宗教戦争なんて起こる訳だ…。
さらにマーガレットは、神様なんて信じてない!
これまでちょくちょく神頼みしていたのに、心底の本音は…。
何かにすがりたい時、何かを信じ、何かを頼む事は誰だってある。
でも、それで本当に解決するなんて思っちゃいない。一つの心の拠り所。
何を信じるか、何を選ぶか、どうすべきかは、自分次第。
家族間の宗教問題やマーガレットがどっちを選んだかは明確に描かれず。
こういう事にはっきりとした解決はない。
自分自身で向き合っていく。これから成長していくと共に。
その第一歩。マーガレットにも遂に…。
いっぱいいっぱい、悩んで悩んで、喜んで幸せを感じて、僕たち/私たちは大人になっていく。なっていったんだ。
ね、神様。
思春期の少女と宗教問題
原作小説はジュディブルームという人が1970年に書き、以来人々に愛読され、少女が神に呼びかけるマーガレット独自の“儀式”がパロディとして使われるまでに大衆文化の中に溶け込んでいるそうです。 等身大のマーガレットが微笑ましくコミカルに描かれる一方、両親が異宗教間結婚をしているという挑戦的な設定があります。 小説は中学生向けに書かれたものだそうですが、おそらくこの話の真価は、月経やブラジャーや男の子などの思春期初期の不安に直面した少女の親しみやすさと、それとは相容れない宗教問題が不協和音をおこすところです。 バーバラ(マーガレットの母親)はユダヤ教徒の夫と結婚したことによって、クリスチャンである親から絶交を言い渡されています。時を経て和解のために訪れた状況でも、孫であるマーガレットの面前で、母方父方双方の祖父母たちが衝突をおこします。 それを見たマーガレットはベネディクト先生に宛てた日誌に「宗教というのは争いの元のようです」とぶちまけて嘆き悲しみます。 じっさいにこのマーガレットの感想は世界を俯瞰したときの様子に契合しています。過去もいまもイスラム諸国は宗教がらみの戦争を繰り広げています。わが国ではとある新興宗教から搾取された青年が暗殺事件をおこしています。毎年どこかの教会の性的虐待事件があかるみになります。 歴史をひもといても宗教は絶え間ない火種と死体の山しかつくっていません。もちろん悪いことしか報道されないことによって美点が没しているのでしょうが、宗教なしで隣人に優しくなれるならばそれに越したことはありません。なにを好き好んで徒党を組みじぶんとは違う考えの者たちを迫害しなければならないのでしょう。 マーガレットは当初いじめっ子気質をもったナンシーのグループに所属しますが、引っ越しと新しい環境と宗教問題が、彼女に思いやりを学習させます。 発育が良すぎて排斥されているローラという少女がいて、その子と和解してダンスするラストシーンがこの物語の結論です。 けっきょくAre You There God? It's Me, Margaret.は、ほっこりしたコメディのように見せながら、誰かを「じぶんとは違う者」として排除することの陋劣を糾弾しています。 すなわちジュディブルームはあなたとは外見や考えが違う人を愛さなければだめですよという人道を説いていると同時に、がんらいそれを説くはずのユダヤ教やキリスト教が益体もなく無力であることを皮肉っているのです。 宗教間のいがみ合いが反面教師になりマーガレットの成長に寄与したことで、宗教は学習装置としての価値があった──とは言えるかもしれませんが、いずれにせよ見た目とは異なるしたたかで過激なステートメントがAre You There God? It's Me, Margaret.にはある──と思いました。 マーガレット役Abby Ryder Fortsonの豊頬と素の表情=つくっていない自然さが見ものだったことと、The Edge of Seventeen(2016)のKelly Fremon Craigが書き監督もしていてThe Edge of Seventeenを見たときのような感銘を覚えました。ジョンヒューズみたいな情味を感じます。 おそらくジュディブルームもThe Edge of SeventeenのヘイリースタインフェルドやKelly Fremon Craigの演出を見て、これならいける、と思ったに違いありません。と言うのも、wikiに次のような来歴があったからです。 『出版から49年間、自著の映画化のオファーを何度も断ってきた作家ジュディ・ブルームは、『The Edge of Seventeen』(2016年)でタッグを組んだジェームズ・L・ブルックスとケリー・フレモン・クレイグに映画化権を売却し、クレイグが脚本と監督を務めることになった。配給権をめぐるスタジオの入札合戦はライオンズゲートが制した。』 (wikipedia、Are You There God? It's Me, Margaret. (film)より) 真に適した有能な人にじぶんの原作を買ってもらう──ということの大事さがわかる話だと思ったのです。目先の利益にこだわっていたら49年間もの間、何度も何度も映画化を断ってこなかったでしょうから。 因みにブルームは映画の出来に満足し、本よりも映画のほうが優れていると主張しているそうです。 imdb7.4、RottenTomatoes99%と95%。
子供から大人まで楽しめるハートフルムービー
思春期真っ只中の少女、マーガレットの成長を主軸とした
家族愛あり、友情ありの青春ムービー
個人的には大好きな家族描写で大感動
女の子の思春期にフォーカスしたストーリーということもあり
比較的女性のお客さんが多かったが男性も十分に笑って楽しめるおすすめの作品。
無神論者と自称しながらも神様に必死でお祈りするマーガレットの姿は
非常にチャーミングに描かれ、海外の劇場でも大ウケだったが
日本人、少なくとも自分にとっては日常茶飯事で笑いより共感が勝ったのが印象的
また画家の仕事をやめ、新米専業主婦となった
マーガレットママの奮闘記も見どころポイントです。
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