「察してチャンばっかり出てくる困った作品だけど、何故か魅力がある」四月になれば彼女は helio624さんの映画レビュー(感想・評価)
察してチャンばっかり出てくる困った作品だけど、何故か魅力がある
佐藤健演じるキャラクターは体温を感じなさすぎる(そういう設定だけど、さして魅力を感じない)し、長澤まさみ演じるキャラクターはただの察してチャンで、こんな困った人がいたら周りはどうしようもないと思う(そういう描写はある)。
映像はとにかく綺麗でムーディーだけど、盛り上がりもそこまではないし、所々で設定の粗さを感じる部分はある。
佐藤健キャラと長澤まさみキャラの設定の作りこみが足りなく薄い。
特に、長澤まさみとその妹の職業のあまりの違いも違和感しかなく、(原作ではもっと掘り下げてるのかも)もう少し突っ込んで広がりを出すか、敢えて無かったことにしても良かったかも知れない。ただの謎人物みたいになっててモヤモヤする。
ただ、ふと思ったのが、佐藤健の無味乾燥な感じは、敢えてキャラクター性を消すことで、観ている(あまりいないであろう僕のような)男性観客に疑似体験されるつもりかも・・・なんて邪推してしまったりもする(VR作品みたいな)。
その意味で長澤まさみ演じるキャラも女性視点での疑似体験アイコンなのかも。
えー、嫌味な表現のオンパレードで申し訳ない。
じゃあ、つまらないのか?と言われると、全くそんなことはない。もう一度観に行きたいと思わせる魅力が確実にある。もう一度あの寂しく儚げな世界観を味わいたいと思う。感傷的な気分は人を心地よくするのかも知れない。僕がただのナルシストなだけかも知れないけど・・・。
なぜ、色々な欠点があるにせよ、作品としてこんなに魅力があるのか・・・。
それは、もう一人の主演である森七菜演じるキャラクターの魅力が際立っているということかも知れない。元々別に好きな女優さんでないけど、彼女が演じるキャラクターの切なさ儚さを見事に演じている。
彼女の独白も否が応でもムードを盛り上げる。
旅行費が半端ないであろうレアな国をこんなに回れるなんて、この人たち、何でこんなに金持ってるんだろ?とか、そんな野暮なことを考えないでもないが、それはファンタジーとして置いておくとして、とても悲しく、そして心地よい気持ちになる作品でした。