「ウィスキーファン、アニメファン、どちらにとっても薄味。」駒田蒸留所へようこそ ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
ウィスキーファン、アニメファン、どちらにとっても薄味。
漂白されたアニメーション。
キャラクターデザイン、演出、セリフ、どれも淡白で型にハマっている感じが見ていて居心地悪く感じた。
セリフがいかにもアニメーションであり、およそ社会人とは思えないようなやり取りも多数。
取引先の社長にタメ口を訊くとか、ちょっとありえないレベル。まるで子供の喧嘩を見ているようで、血の通った人間のやり取りに感じられなかった。リアリティラインが低い為、現実のウィスキー作りまで紐づかない。
曲がりなりにも"お仕事アニメ"なのであれば、最低限大人として、社会人としてのリアリティは担保してほしかった。
故に、作品全体へのウィスキーへの熱意が感じられにくい。
クラフトウィスキー制作の話なのに、まるでブレンデッドのように薄味で無個性。
この手のアニメーションが広く浅く様々な層を取り込みたい意図は分かる。
作品としての射程の広さと同時に深さも欲しかったが、その域にはおよそ達していない。
とはいえテイスティング場面の描写など見どころもあるし、ラストは何だかんだで涙腺が緩んでしまった。
表現方法は好みでなかったが、題材が題材なだけに嫌いにはなれない。そんな作品だ。
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