劇場公開日 2023年11月10日

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「ウィスキー造りの興味深さと、それに向かう人の思い。表現力。」駒田蒸留所へようこそ キタさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ウィスキー造りの興味深さと、それに向かう人の思い。表現力。

2023年11月20日
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鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

酒のことは何から何までさっぱり。知識は何もなしに鑑賞。
それでも作製の工程はとても興味深かったし、俄然興味が沸いた。
ウィスキーものなだけに、主軸は色々なクセのある原酒を“組み合わせる”こと。
特にウィスキーの原酒の表現は特に見物。アニメーションというか、絵物語だからこそできた表現方法が光っていたように感じた。
そういった面での面白さ、関心を引くといった点において、この映画が主題とする酒造りの仕事の発信という目的は果たせていたのではないか、と私は思う。

しかし、主人公の青年が所謂卑屈系だったのもあってか、話の流れは気持ち的に下から成功経験を通じて上へと上がっていく感じ...
そこでのいざこざが口に合わないが大きく響く可能性もあるだろうし、そこを強く描くのは中々冒険をしたなと。少し関心してしまう。

だが。
もう一方、蒸留所の社長の女の子。
すごい好き。正直そこが1番好きまである。
家族のことをとても大切に思っていて、途絶えそうになった家業を自分のやりたいことを捨ててまで継ぐその覚悟と意思。
痺れてしまう。私はこういう子の物語が大好きなんだ。

総評
男性部分が少し鼻についてしまった分少し評価しきれない部分はあるが、それでも知的満足度とキャラ描写の良さが光っていたと思う。
仕事物だから大ヒットまでは行かないかもしれないが、私は陰ながら推したい。いい体験だった。

余談
英題の「Komada: A Whiskey Family」の軽く韻を踏んでる雰囲気も好き。
Aと付けるのも好き、「私たちはウイスキー界のほんの一部に過ぎない」のような謙虚さが出ている気がしてしまう。可愛らしい。

キタさん