「良くも悪くもハイボールくらいの軽さ」駒田蒸留所へようこそ やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
良くも悪くもハイボールくらいの軽さ
年代物のウイスキーをいきなりハイボールで煽ったらもったいない、最初はロックで試したら良い・・・と以前、酒呑みの会社の先輩から教えてもらいました。
私は酒呑みじゃないですが、その教えを律儀に守り「マスター、ウイスキーをロックで!」と行き慣れないバーのカウンターで緊張して声を上擦らせオーダーしたら、なぜかハイボールが目の前に出された・・・みたいなアニメ映画でした。
シュワっと爽やかだし、まあ、飲んだらそれなりに美味いとは思うんですけど、期待したものじゃなかったかなあ(笑)。
たぶん扱う素材は良いんだろうけど、今風にオシャレにアレンジし、ごまかせる部分は省略したりして深みがまるで無くなってしまったイメージです。
日々のウイスキー作りを、いかにもゆとり世代の、礼儀のまるでなっていないガキ・・・じゃなくて若手記者(笑)に体験してもらってそれを記事にするという流れまではちょっと興味をそそりました。私自身、食品メーカー勤務してて工場でも働いた経験があったからです。もしや、口に入れるものを作り出す部分において共感するところあるかもなんてね。
しかし・・・床掃除だけ結局、脚本でもうやむやにしてるし(笑)。これじゃ観光客がガラス窓越しに遠くから眺める工場見学コースのほうがよっぽど臨場感あります。
「ようこそ」っていうからその点は期待してましたが残念ながら薄味で詳細度も皆無でした。重量物(酒樽)を棚に配置してるんだったら倉庫内はヘルメット着用は義務化せな、と安全管理基準にも疑問が残りました。これはたぶん職業病です(笑)。
女社長もブレンダーとしては能力あるのかもしれませんが脚本からは経営センスみたいなものは表現されてなくて、このままだとたぶんしばらくして経営危機を迎えます。製造高によるでしょうけど規模の割に人が多すぎるから、厳しいけどまずは人事的にリストラ断行せねば。夢がないこと言って申し訳ないです。
意地張らず最初から兄ちゃんの提案受けりゃいいじゃんとか思っていたクチなので、この作品では輝く未来を想像できませんでした。