「高野豆腐店のお豆腐、食べたい」高野豆腐店の春 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
高野豆腐店のお豆腐、食べたい
ここのお豆腐はきっと、美味しいんだろうなあ、とずっと思いながら観ていた。
藤竜也と麻生久美子が好演。
頑固おやじと出戻り娘の、互いに向ける愛情の話で、ほぼ思った通りの展開。
昭和の頃からある頑固おやじモノは、親父がまるでモンスターで不快。
わがまま自己中なこどおじが周囲に気を使わせて盛大に甘やかされているだけにしか見えない。
この映画の親父もそうかと思ったら大分現代らしく、頑固だが唯我独尊で君臨するでなく、同年代の彼女からの指摘には耳を傾けるし反省もする。自分が悪いと思ったら謝るし、周囲への気遣いもある。思いやりのあるいいオトコ。働き者だし。
親父と娘に実は血の繋がりがないこと、お前が娘で良かった、お父さんの娘で良かった、ありがとうと言い合うところは、予想通りなのにやっぱりじわっとしてしまう。
出戻り娘は自分に合った相手を見つけて第二の幸せに踏み出し、親父自身もようやく「自分の恋愛」を楽しめるようになって、満ち足りた感じ。
人間、いくつになっても幸せになれるんだと思った。
高野豆腐店は結局、東京に進出とか海外から実習生を迎えるとかもなく、親父は彼女と「結婚」せず、大きく変わることもないがそこそこ幸せな日常が流れているのがとても良かった。
年齢いってからの恋愛は、なまじ結婚などしないで、互いに対等な関係をキープしながら続けるのが良いみたい。
事前面接とか、リハーサルとか、病院の喫茶室のいざこざとか、やりすぎ。
こういうのを省いてもう少し短くしたらよかったのに。
たっちゃんとその仲間たちもちょっとうるさい。
そういえば親父さん、手術は受けないの?
みやちゃんみたいな噂好きのおばちゃん、いますね。
尾道ローカル感満載。
地域の人がふらっと寄れる喫茶店がある街って良いなと思う。
親父と彼女の年齢から、「戦争」「原爆」がふたりの共通体験になっており、風景や風情だけでなくその点でも尾道という設定に意味があったと思う。
こんにちは
そうかもしれませんね、血の繋がりないし、そのことが娘の結婚生活の破綻の一因になったかもしれない、そういう思いがあったのかもしれません。でも、確かにふたりは父娘で、家族は血ではないんだと思います。