劇場公開日 2024年2月23日

「「楽」をもって「苦」を制すタイカ・ワイティティ」ネクスト・ゴール・ウィンズ regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「楽」をもって「苦」を制すタイカ・ワイティティ

2024年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

単純

弱小orワケありアスリート達がワンスアゲインを目指すという、実録スポーツドラマ映画の雛形となる一本。実話ゆえに結果自体は既に知られている事だけに、こうしたワンスアゲインスポーツもの(と勝手にジャンル定義付け)は、いかにフィクション要素を加えるかがカギ。
のんびりと牧歌的な風土の米国領サモア民に感化されて変わっていく主人公トーマス・ロンゲン役のマイケル・ファスベンダーは、本人とかなりの実年齢差があるのはやむを得ないにせよ(トーマス1956年生まれ、マイケル1977年生まれ)、おそらくフィクションと思しきトーマスのワケあり事情が明かされるタイミングと、「サッカーは戦争、殺し合い」と言っていた彼の心の変容それぞれが唐突すぎた感がある。ただ要の試合シーンでのクライマックス描写は、既存のワンスアゲインスポーツものとは一線を画したいというワイティティ監督のこだわりを感じたし、チャウ・シンチー作品のような随所に盛り込まれたベタギャグも“らしい”。
覚醒したロンゲンの言葉「勝ちたいなら楽しめばいい」――『マイティ・ソー バトルロイヤル』で「苦」境に立たされるも覚醒したソーを「移民の歌」に合わせてハチャメチャかつノリノリに暴れさせ、『ジョジョ・ラビット』ではユダヤ人を「苦」しめるヒットラーを「楽」しいイマジナリーフレンドにしてナチスをコケにしたワイティティ監督。「楽」をもって「苦」を制す彼のポリシーだ。
ワンスアゲインスポーツもののマスターピースと思っている『クール・ランニング』にも事実とはかなり異なる箇所があるように、要は“事実は事実、映画は映画”と割り切って観るのがベター。

regency
regencyさんのコメント
2024年2月23日

>Mさん
監督のワケあり事情は伏線はあったものの、やっぱり唐突感はありましたね。でも作品全体に漂うゆる~いトーンのおかげで、まあ言うだけ野暮かなと思えてしまいます。

regency
Mさんのコメント
2024年2月23日

監督がやる気を出したのも、大した練習もしてなさそうなのに急に強くなったのも、ハーフタイムで監督の考えが急に変わったのも、唐突すぎて違和感がありました。
でも好きな作品になりました。

M