「そんなに悪くなかった」ボーはおそれている naokiさんの映画レビュー(感想・評価)
そんなに悪くなかった
初公開時にXで結構叩かれていたこの作品・・・
しかも3時間の長尺。
挑むつもりでIMAX版を鑑賞いたしました。
うん、結構面白かったですよ。
ユダヤ人であるアリ・アスター監督の自伝的要素が強いのでユダヤ教による戒律やキリストを理解していないと分かりづらい箇所があり、そういうのに無縁な私達には不評だった原因かもしれません。そもそも欧米でも興行的に失敗しているので、やっぱり宗教を題材にした映画は難しい事ですかね。
ボーが住んでいる街が「ウォーキング・デッド」にも出てきそうな終末感漂う一角。しかし、これは彼の脅迫的妄想が絡んでるので、どこまでが現実か話を分かりづらくしているんですね。鍵を盗られたところで観客のイライラ度はマックス(←はぁ、いつまでこんな事続くの・・・)これて夢で、これから出かけようとしているのに財布を忘れたという夢あるあるですね。
事故でボーを介抱したキリスト教の外科医師家族も人が良さそうだけれども、どこかしら変・・・。
「ヘレディタリー」の家のように喪失を抱えています。(長男が戦死)娘はグラハム家の長男ピーターのような役回りで兄の幻影に悩まされます。大麻を吸って気を紛らしたりします。ボーを介抱するのに娘の部屋を使い(彼女はソファーで寝る)兄の部屋は大事に手つかずのまま・・・
この映画はB・ワイルダー「サンセット大通り」のパロディなのかな?船上でのプールのショットが“あっ”と思ってしまいました。(そこで記念写真て・・・この映画で唯一可笑しい場面)
D・リンチ「マルホランド・ドライブ」が女優側(スワンソン)の視点なら、
この映画が脚本家(ホールデン)の視点で描かれているのか推測してしまいます。
母親の支配から逃れられないボー。
それにしても船上シーンは晩年のフェリーニ映画のように美しいです。
お風呂のシーンが2度も出てくるのが気になる。どちらも水溢れてるし・・・欧米の人は、もっぱらシャワーで湯船に浸からないと聞いたけどボーは入浴するんですね、その後思わぬトラブルが起こるんですけど。
まぁ、この映画はポリスのアルバム「シンクロニシティ」に収められているアンディ・サマーズ作曲「マザー」を聴いた時の衝撃ですね。うーむ、なんだかよく分からないんですが曲の圧だけ覚えてます。
母の邸宅に飾ってあった祖母の肖像画は作家
エドガー・アラン・ポーにそっくり!?
それにしても、この監督は屋根裏部屋が好きですね。
