「遍在する父のような母/爆誕失敗の巻」ボーはおそれている ouosouさんの映画レビュー(感想・評価)
遍在する父のような母/爆誕失敗の巻
『ボーちゃん、心理的爆誕に失敗』の巻である。/快楽と主体性を持つことは罪である、というか自分の存在自体が破壊的で誰かを傷つけるものである、という“思い込み”に端を発する神経症的不安が次々に映像化される様は面白かった。お父さんが肉棒なのはユングの夢っぽいが、片や地下で台座に載せられ、片や屋根裏に幽閉されているというのが父親イメージの違いとして面白い。殺す前に父を失ったボーがエディプスになりきれない所以である。/最後の水の揺らめきを見てると、そこからヌラヌラした何かが生まれ出るような気もして、「今度こそ頑張れ!」と声をかけたくなる。“思い込み”の源は自分にはなく、自分の人生を歩むためには、ボーの能動性・主体性は一旦は徹底的に破壊されねばならないのである。
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