劇場公開日 2024年2月16日

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「ボーは人生に不安で畏れて困惑してる」ボーはおそれている 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ボーは人生に不安で畏れて困惑してる

2024年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

不幸な母と息子の長い長い確執と決着を
描いてました。
ボーはいかにも被害者面をしていますが、この男の弱さは嫌らしい!!
中年過ぎなのに働かず、仕送りを受け、セラピーで薬を処方されている。
精神疾患に罹ったのも母親とのストレスだらけの
関係性のせいかもしれない。
そんなポーが何故か《帰郷すること》になる。
すると過度に緊張して、眠れなくなり、
妄想は募り、
ドアの下にはメモが差し込まれる、
「音量を下げろ!!」
ラジオもテレビも音楽も聴いていないのに、
そんなこんなで寝不足になり寝坊、
慌てて支度をして出かけると、
忘れ物を思い出し戻ると、荷物を持ち去られ、
鍵を盗まれる・・・
飛行機の時間に遅れて、途方に暮れてママに電話する。
ママは呆れ返って怒って電話を切る。
とことん反りの合わない親子。
お互いに不幸なこと・・・だ。

ボーは生まれた時から、母乳を飲まない赤ん坊だった、と
母親のモナは愚痴る。
それが母親が最初に傷付けた事。
(でももしかしたら、母乳にアレルギーがあったのかも知れない。)
そりゃあ、傷つきますよ、母親は。

 私は困惑する
この長い長い【母への旅】は結局、羊水の宇宙へ帰っただけなのか?

兎にも角にも【回りくどい】映画でした。
母親がシャンデリアの下敷きになって死ぬ。
(ボーが帰郷を取りやめたと電話で話したすぐ後・・・)
そこから地球3周分くらいの回り道をして、
逃げ惑い困惑して、近付くほどに遠ざかり、
彷徨うボーの旅路(帰郷まで)

ラストの40分で、締めくくりのエンディングへ向かう。
その中間の2時間超えに母親との直接の確執は描かれない。
不思議な白日夢?
森の中のコミューンの舞台劇・・・
精神的疾患の人間の脳内構造で見る妄想(一部事実も含まれる)

ラストの2人の《本音のぶつけ合い》
屋根裏部屋の双子の兄弟や巨大な男根!!
これだってどこまでが事実か?
妄想なのか?
アリ・アスター監督は、
「みんな、どん底気分になればいいな」と、笑顔で発言。
私はどん底気分より、面白くもない身の上話を聞かされた気分。

人生には有益な回り道と無益な無駄話がある。
この映画は大いなる徒労感を感じる。
家族や人生と折り合えないボー・ワッサーマンの
冒険譚?
憤死?
羊水に還った?

琥珀糖