「不条理コメディの味わい」ボーはおそれている 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
不条理コメディの味わい
急死した母の元へ向かう主人公ボーの行く手に、次々と不可解なトラブルが立ちふさがり、一向に前に進むことができない。
わけのわからない奇怪さと必死だからこそのおかしみが混じり合った不条理コメディの味わい。例えるなら、コーエン兄弟が作るコメディ作品のようなテイスト。
最初のボーの住まい周辺のシーンから、なぜ?なぜ?の連続だが、過剰で意味不明な出来事を追っていくうちに、これは主人公ボーと同じく、観客も身を委ねて追体験するしかない、ということがわかる。
全体で4部構成になっているが、特に第3部の舞台劇とアニメーションが混じり合ったパートが独創的で面白い。「オズの魔法使い」を連想させる。
しかし、最後に謎解きと答え合わせらしきものを見せるのには、納得感とは逆に、散漫で薄っぺらな印象を持った。あのまま奇怪で意味不明なまま、観客を突き放してもよかったのではないか。
ホアキン・フェニックスが、ジョーカーの時とは全く違って、太ったさえない中年男に成り切っていて、さすがと感心した。
コメントする