劇場公開日 2024年2月16日

「最悪な気分が加速する」ボーはおそれている コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最悪な気分が加速する

2024年2月20日
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鑑賞方法:映画館

まず、タイトルでは「ボー」なのですが、作中は「ボウ」と呼ばれる主人公名に「統一しろよ」と、心の中の校閲モードが炸裂したところから、不安を煽られた気分。

脅迫神経症のきらいがある私は、冒頭のマンションエピソード内で若干ボウの狼狽ぶりに共感しつつも……

ボウの目の前(部屋の外)に広がる光景に「?」の違和感。
路上に溢れる狂った人々などの姿は、きっとボウが狂ってるんだろうなとすぐに気づいた。
これ、『ビデオドローム』に近いような。
気持ち悪いし、飲み込まれるような感覚。

登場人物が全員頭おかしい。
人(ボウ)の話を聞かないし、ボウに必要最小限の情報も与えない、全員碇ゲンドウ状態。
そしてボウの嫌がることしかしない。
ボウが狂っているのだとしても、ますます絶望させるような、画面を見ている我々観客にさえ、居心地の悪く気分が最悪などん底になっていく展開。
後半に行けば行くほど、不快感が加速していく。
ヘンテコというか、観客に対する嫌がらせのようなフィルム。
きっと監督の狙い通りなんだろうけども。

ただ、事故の後の医師の家のシークエンスで「ボウがひどい目に遭うのは全部仕組まれたもの」だと寝間着から察せられたので、オチには驚かなかった。

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コージィ日本犬