劇場公開日 2024年2月16日

「アリ・アスターの2時間59分の挑戦状」ボーはおそれている regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アリ・アスターの2時間59分の挑戦状

2023年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

難しい

『ミッドサマー』のアリ・アスターが観る者に叩きつけた2時間59分の挑戦状。どう生きてきたらこんなトンデモ展開満載のお話を考えられるのか、彼の脳の構造を観てみたい…ってそれを具現化したのがこの映画か。
とにかく冒頭シーンだけで本作が一筋縄ではいかぬ内容だということが察せるが、アスターにとって“母親”は重要なモチーフ。『へレディタリー 継承』、『ミッドサマー』のいずれも、姿こそ現さないものの、母親の存在は主人公に大きなトラウマを与えていた。単なる帰省のつもりだったはずが一転し、母の死の真偽を確かめることとなった主人公ボーだったが、その帰路は想像を絶するものだった。家族について「煩わしくて、終わりのない義務感」と語ったアスター監督。この言葉が、本作のなんたるかを物語っている。
アスターはこうも言っている「これはスリラーじゃなくコメディだからね」。ボーに降りかかる数々の受難は、本人にとっては悲劇でも、他人からすれば喜劇。そういう点で本作は、トラジコメディ(悲喜劇)。
これほどまでに、ホアキン・フェニックスの生来の困り顔が激ハマリした映画もそうないかも。

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