「原作も気になる」北極百貨店のコンシェルジュさん 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
原作も気になる
視覚的にもコンセプト的にも、非常に独創的な作品である。
登場人物が動物の作品は数多あるが、
各動物の動きひとつひとつの・・・
一羽一羽、一頭一頭の動きだけ観ていても楽しい。
何でも揃う北極百貨店は、
異種の動物たちがショッピングを楽しむ舞台となり、
その光景はまるで夢のようでありながら、同時に現実感をも伴う。
翼や蹄を持つお客様たちが店内を自由に行き交う様子は非常に魅力的で、
各動物のキャラクター設定が非常に細かく作り込まれていることに感心する。
性格や声色、衣装デザイン、動作のスピードや切れ味など、
アニメーション制作においてこれほど多様な要素を統合し、
最終的な形に仕上げるのは至難の業であることは想像に難くない。
特に、人間キャラクターに比べて、動物キャラクターの設定には無限の可能性とそれに伴う挑戦が含まれている。
さらに、丸くない眼球や瞳孔の動きなど、
細部にわたる表現の難しさは、アニメーション制作、表現の過酷さまで
も感じさせる。
観客に感情を伝えるために、諦めることができないアニメーターたちの奮闘が垣間見える。
作品のテーマとして、
愛が、種やDNAに縛られないという普遍的なメッセージが描かれているが、
象やライオン、オオカミなどのキャラクターのエピソードを通じて、
そのメッセージを助走なしの展開で感じ取れるかどうかが、
観る側の評価を分けるポイントとなるだろう。
ワンコインのエピソードに気持ちを乗せることができるかどうかは、
観客の個々の受け取り方に委ねられる部分が大きい。
このようなユニークな世界観において、
カスタマー・ハラスメントや賠償問題など現実的な要素を取り入れ、
より多くのエピソードで深掘りされるならば、
一話完結ではなく、シリーズ化して何話も続けて観たいという欲求が高まる人も少なくないだろう。
短いストーリーであるならば、
(百貨店の外観がグランドブダペストホテルの造り、配色に似ているので、GBホテルに関連させて書くと・・)
シュテファン・ツヴァイクや、
ウェス・アンダーソンの作品に見られるような、
感動や涙を誘うエピソードを狙うのではなく、
動きやギミック、デザイン、撮影技法など、
様式の美しさに徹底的にこだわることで、
特定のファン層を獲得できる可能性もあるだろう。
東京プラトンの東堂が難しい客をサポートしていたように、
北極百貨店は多種多様なアニマルたちをサポートする。
その違いを楽しみつつ、
導いてくれるコンシェルジュがいることは、
視聴者にとっても大きな魅力となるだろう。
北極百貨店のコンシェルジュや東堂さんのような存在が、
もっと多くのエピソードで描かれることを期待したい、、しらんけど、、、
原作も気になり過ぎる。