劇場公開日 2023年10月13日

「岩井監督のフェティシズム」キリエのうた シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5岩井監督のフェティシズム

2023年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

久々の岩井俊二監督作品でしたが、約3時間私はそんなに長くは感じませんでした。
私、岩井俊二作品の感想ってあまりちゃんと書いたことが無いような気がします。(いや、書いた記憶がありません)
この感想も見てかなり経ってから書いていますが、恐らく何を書いたら良いのか分らないからなのでしょう。
でも殆どの彼の作品は見ているので、きっとこの監督の世界観が好きなんだと思います。
本作も私の思う岩井節(ワールド)全開の作品でした。個人的にはCharの出ていた『PicNic』を思い出しましたので、これに近い系譜の作品だったと思います。
主演のアイナ・ジ・エンドってCharと共通した何かを感じたので、きっと岩井監督がこの手の個性的女子が好きなんだと思います。そして、私も結構好きなんですよこういう不思議ちゃんが(笑)
それと、私は映画で個性派と呼ばれるその時代時代の歌手が、その独特の個性だけで時々出演する作品群が嫌いではありません。例えば昔だと『夏の妹』のりりィ(その後本物の個性派女優になった)とか、『水の女』のUAとか、『KOTOKO』のCoccoだとかの作品も興味深く見ていましたから…

そして、岩井監督って恐らくその対極の広瀬すずという女優も同じように好きなのでしょう。今までの作品群を見ても広瀬すずと近似の正統派女優の起用も多かった気がします。
何か、個性派と正統派両極のタイプに惹かれ、その両極を向かい合わせてどういう化学反応が起きるのかを楽しんでいる様な気もします。
内容についても、細かな部分については色々と思うところもありましたが、、私の様な岩井監督の軽い信者であればそういうのは無視できるみたいですね(苦笑)

この監督の特徴をどのような言葉で言い表すのが良いのかが難しく分からなかったのですが、本作鑑賞後にYOUTUBEで旧作短編の『夏至物語』を新たにアイナ・ジ・エンドで撮り直した作品を見たのですが、これを見て「ああ、この監督(作品)の芯にあるのは、多分フェティシズムなんだろうな」と感じてしまいました。
作品にとっての女優の存在であったり、(特に若い)女性の個々の特性(例えば声・喋り方・仕草・表情・エロティシズム等々)であったりとかの、個々の特有の表現に対してフェティシズムを感じている様な気がします。
これって、私にもかなり当てはまるので、だからこの監督作品に惹きこまれてしまっているのかなぁ~?

まあ相変わらず、全く作品の感想になっていないのだが、岩井俊二監督作品にハマる人間とハマらない人間との差はこの辺りに秘密があるのではないかという気がしましたね。

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シューテツ