「よさげな雰囲気が漂う、よくわからない話」キリエのうた おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
よさげな雰囲気が漂う、よくわからない話
予告でのアイナ・ジ・エンドさんの歌声と、公開初日のレビュー評価の高さにつられて鑑賞してきました。
ストーリーは、歌うこと以外では声を出せない路上ミュージシャンのキリエが、偶然彼女の歌声を聴いてマネージャーになることを申し出たイッコとともに活動の幅を広げる中で、二人の過去が紐解かれたり、新たな出会いが生まれたりするというもの。
鑑賞後の率直な感想としては、「え? どういうこと?」って感じです。ストーリーについていけないということではなく、3時間という長尺で結局何を描きたかったの、本作は何だったのって感じです。雰囲気重視のよくわからない話という印象です。
ざっくりいえば、前半は路上ライブからのメジャーデビューを目指す話で、後半はキリエの生い立ちにまつわって東日本大震災が絡んでくる展開です。ことさらキリエの家がキリスト教徒であることが強調され、妹のルカが姉の名であるキリエを名乗っていたことから、鎮魂をテーマとしていたのかもしれません。だとしたら、彼女の歌が、震災で失われた命を悼み、大切な人を失った悲しみや埋めようのない喪失感などを優しく癒し、そこからまた一歩踏み出す勇気を与えるものであったと感じさせてほしかったです。しかし、終わってみれば、震災がテーマということもなく、最後は投げっぱなしな印象です。
他にもモヤモヤした思いが多く残りました。イッコの絡みもメインストーリーにどう影響していたのか、よくわかりません。キリエとイッコの友情をメインに描きたかったのでしょうか。だとしたら、うーん、伝わりにくいです。終盤での警察絡みのシーンも「これで何を?」と思ってしまい、モヤモヤしたままです。そもそも時系列をいじりまくっていて、目の前のシーンをどんな感情で観ればいいのか戸惑ってしまいました。
とはいえ、歌声は確かに圧巻でした。普段はあまり音楽を聴かないので、ライブシーンにもさほど心を動かされないのですが、カフェでいきなり歌い出すシーンと村上虹郎さんとの初コラボシーンだけは、なぜか熱くなり目が潤んでしまいました。
主演はアイナ・ジ・エンドさんで、初主演とは思えない演技が魅力的です。体当たりの演技も好印象で、本当によく頑張っていたと思います。それだけに、この伝わりにくいストーリーがなんとも歯痒いです。脇を固めるのは、松村北斗くん、黒木華さん、広瀬すずさん、村上虹郎くん、北村有起哉さんら。
村上さんの存在感よかったですよね。
私もそう思いました。彼がいるところでキリエが自然体でいられるようにみえたので、ほっする幸せもつかめるのかなあ。なんて妄想まで勝手に膨らみました笑
全体的には、おじゃるさんがおっしゃるように雰囲気の映画という印象でした。
終始、曲が流れっぱなしで、監督(?)のセンスが疑われました。
中途半端に震災を描いたのも??でした。お風呂の最中に震災が起きるのも、なぜこんな設定?としか思えませんでした。
警察や児童相談所をよく描いてなかったのも、警察にうらみでもあるのかと思いました。
主人公の歌はとってもよかったです。あと、エンドロールと終わり方もよかったです。
共感&コメントありがとうございます。
次々と打ち倒されていった人の中、キリエだけは生きていってる位の意図だったんですかね~心のマネージャーが横に居てほしいですがね。
震災、生活、規制と避けられない暴力についてなんですかね? あんまり希望を感じるエンディングでも無かったですよね、歌姫だけはそのまま唄い続けてるようでしたが。