「【”キリエが歌は歌えるが声が出なくなった訳。”複数男女の2011年から2023年までの関係性の変遷を、忌まわしき天災を背景に描き出した音楽作品。岩井俊二監督の脚本が冴え渡る作品でもある。】」キリエのうた NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”キリエが歌は歌えるが声が出なくなった訳。”複数男女の2011年から2023年までの関係性の変遷を、忌まわしき天災を背景に描き出した音楽作品。岩井俊二監督の脚本が冴え渡る作品でもある。】
ー 2011年当時の大阪で発見された小学生の女の子イワンと、キリエ(アイナ・ジ・エンド)の関係(姉妹)や2023年になってからのキリエとイッコ(広瀬すず)の関係や、
夏彦(松村北斗)と高校生時代のまおり(その後はイッコ)との家庭教師と教え子であった関係。
脚本が上手い為、何の苦も無く頭の中に相関関係が自然に出来て、面白く鑑賞。-
◆感想
・冒頭、二人の女の子が雪の中、大の字になって大地に仰向けで寝ている。
そして、最後半、それが夏彦が家庭教師をしていたまおりと、夏彦に頼まれて友達になった彼の妹、ルカである事が分かる。
そして、まおりはその時にルカが歌ったオフコースの”さよなら”を聞いた時から彼女のファンになった事が後半に、分かるのである。
・路上ミュージシャンのキリエの前に座り”一曲歌って。”とお願いしたイッコは直ぐに”気が付いた”のだと思った。で、”マネージャーになるよ。”
■今作は、音楽を小林武史が担当した故に、アイナ・ジ・エンドの曲も含めて素晴らしい。
特にメインテーマの「キリエ・憐れみの賛歌」は、アイナ・ジ・エンドのハスキーな声で伸び上げるように歌い上げる冒頭のサビメロからの流れは名曲である。
・大震災後、夏彦がお腹に自身の子がいるフィアンセの身を案じる姿や、その後も彼女が見つからない事に長い間、心痛める姿。
だが、その後、彼に訪れた僥倖なる事。
・震災後の石巻からたった一人、大阪にやって来た小学生の女の子イワンを気遣う小学生の先生(黒木華)の善性溢れる姿も良い。
<今作は、音楽映画としても良いし、震災で傷ついた人達の再生の物語であり、年代を跨いだ”4人”の男女の物語でもあるのである。>
■その他
・客電が上がった後に、周囲の観客から”長かった!”と複数の声が上がったが、私は長いとは思わなかった。
だが、正直に書くと昨晩あるレビュアーさんに”178Mもあるよ!大丈夫か俺の膀胱‼”と泣きを入れていたのは事実である・・。