「柔らかな色彩、カフタンの光沢」青いカフタンの仕立て屋 hiwaさんの映画レビュー(感想・評価)
柔らかな色彩、カフタンの光沢
ミカンのオレンジ色、土色の街。
いろんな質感の中で、すべすべとしたカフタンの生地が美しく艶めく。
カフタンが丁寧に紡がれ、仕立て上げられていく時間と同じだけの時間をかけて、いろんな形の愛情が、絆が、穏やかに紡がれていくのをじっと見守っているような鑑賞時間。
ミナはどんどんやつれていくのに、笑顔が弾けるように明るくお茶目で、だんだん神々しく見えてくる。
自分ならどういう感情になるだろうかと、推測するしかできない描写に困惑し頭を巡らせていると、ふいに3人それぞれの決意と選択がまっすぐに伝わってくる。
理解する、ということそのものを追体験しているような気持ちになる。
笑顔は相手のためにできる最大限の愛の形なのかもしれない、と思った。
生々しくも美しい作品だった。
コメントする