PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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今を生きる平山
平山の暮らしぶりには共感しかない。
アスファルトを掃き清める箒の音で目を覚まし、
朝のルーティンをこなして、カセットテープで同じ曲を繰り返し聴きながら仕事に向かい、
口にするものも毎日同じ。
版で押したような日々が延々と続く。
まさか2時間ずっとトイレ掃除の映像が続くのかと少し心配になった。
姪のニコが登場してから物語が動き出す。
コミュニケーションの仕方を知ってるんだ、携帯(ガラケーだけど)持ってるんだと知る。
個人的に好きな場面は行きつけのスナックのママの元夫との影踏み。
建物を取り壊した空き地を見つめる老人が、
前に何があったのだろうと尋ねるシーン。
石川さゆりをはじめ、キャストも贅沢。
小津安二郎は私が敬愛してやまない映画人だが、
小津が名付けた平山は娘の嫁入りの心配から解き放たれ、
孤独を愛する小粋な平山だった。
畳の掃除の仕方、大いに勉強になった。
少し切ないけど平凡な日常が一番大事
役所広司さんならとにかく見ようと思い鑑賞。
ただ、凄いドラマチックな展開もアクションもスリルもサスペンスも物凄いメッセージや問いかけとかがあるわけでなく、
もしかしたら見る人によっては途中で寝ちゃうことはあるかも、っていう「日常を映しただけ」のシンプルな映像なので、娯楽という面を期待して見に行くと退屈かもしれません。
*****
ただ、何気ない日常のほんの些細な出来事達を愛でていられたらきっとこうやってそれなりに幸せ。。なんだろうな、と思いました。
今の仕事が何故清掃に至ったのかはわからないし、家族とは疎遠気味のようだし(妹は運転手付きの車で来て金持ちそう。。家族間のギャップが(汗))
公園で子どもを助けてあげても、繋いでいた子どもの手を母親にさも清掃員の手は汚れていると言わんばかりに拭かれてしまうという。。まず先に保護してくれたお礼、親なのに言わないの?少なくとも本人の目の前でそんなあからさまに子どもの手を拭くか?と思い切なくなりましたが、
でも一応ちゃんとクルマも所持して生活が出来てる。お風呂や洗濯機は無いけど近くの銭湯やコインランドリー行ってるし、行きつけの飲み屋さん、小料理屋さん、古本屋さんとかも行けてる。
戦争とかで日々の暮らしがままならない訳じゃない。
草木を育てるささやかな楽しみもある。
ありふれた日常がそれなりに幸せ。
いつものルーティンで生活して、たまーにイレギュラー(突然姪っ子が家出してくるとか)があったらそれもいっそのこと愉しむ。
最後の長い間、運転中の役所広司さんの、
笑ってるような
泣いてるような表情が印象的な、
なんとも不思議な映画でした。
夜が明けたら新しい1日
パーフェクトとは
1階に詰め込まれた家財。
ゴルフバックも見えた気がする。
1階も2階と同じ間取りだと考えると、一体どれだけのものを持っているのか。
でもそこに執着がないのか施錠をしない。
でも捨てていない。
よく分からない彼の内面。
平山という人をも少し知りたくなる作品でした。
何気ない日常にある幸せ。
トイレ清掃員として働く平山(役所広司)の話。
目覚まし時計代わりに、近所のおばちゃんのホウキではく音で起き、布団をたたみ、歯を磨き、髭を整え、玄関の鍵は閉めず、車に乗り込む前にBOSSのカフェオレを買って仕事へ向かう平山のストーリー。
冒頭のホウキではくおばちゃんのシーンから、あっ!何かこの雰囲気好き!
何が面白かったと聞かれたら何かうまく答えられないけど雰囲気で楽しめました。
この作品って役所さんが演じてるから様になってるし渋いし雰囲気いいけど、その辺のオッサンだったらホント何て事ないですよね。
やはり役所さんが演じてるからこそ何か分からないけどいい!って感じ。
寡黙で黙々と仕事するシーンや決まった場所で食べる昼食、そこで必ず撮る木漏れ日の写真、たまに優しくみせる笑顔、仕事終わりからの銭湯と飲み屋、休日のコインランドリーからのちょっとお気に入りのママがいる飲み屋、毎日が同じ事の繰り返しかもだけど何か良かった。その日々の中で見つける小さな幸せも。
あと、たまのイレギュラーには怒ったり(笑)
もと奥さんとの再会での会話、「トイレ清掃の仕事をしてるの?」のセリフは何か意味深だったように思えたけど考えすぎかな!?
ラストの涙は日々の幸せに感謝的な?!
追記
元奥さんだと勘違い!正解は妹さん!
失礼しました!(笑)
タイトルなし
もともとヴェンダースはそんなに好きではないのであまり期待もなかったけど、役所さんが良かった。喋らない演技だけに。こういうロードムービーもあるんだと思った。石川さゆりの歌はやはりうまかった。
渋谷のトイレがモダンすぎて、そこには文脈があるんだけど、全く言及なく、ただし、ヴェンダースを使えばいいと思ってるあたり、渋谷ネオリベ区がどれだけ馬鹿なのかを露呈していた。
家に鍵をかけずにいつも出ているのが気になっていた。
どうしても男目線の話なので、あまり感情移入できない。
きちんと暮らしてたり、本がきれいに並んでいるのは共感もてるけど、写真まできちんと箱に整理されていてオタク感が。ヴェンダースの夢でもあるのだろう。
ありふれた日常のルーティンの中に見出だす幸せ
まず驚いたのはスクリーンが4:3だったこと。
そして役所広司が一切言葉を発しないこと、延々日常のルーティンが続く。
それでも視界に入る景色の変化に幸せを見出だす。スマホ片手に歩く現代人にもっと胸を張って上を見てみなよと言われてるようで、毎日繰り返しの日々の中にも些細ではあるけれど発見がありそこに喜びや幸福感が感じられる、それを感じることが人間の営みのなかで大事だよと受けとりました。
気に入った古い曲をアナログなカセットテープの音が好きという若い女と、スマホのサブスクで探そうとする子の対比も面白い。
寡黙で穏やかな人が起きて寝るまでのルーティンを崩されたときに、戸惑い苛立ちを見せるのも人間なんだと。
そんな営みも誰もが終わりを迎える。その時になにを思うのか、会いたい人は、会って何を伝えたいか、生きるってどう言うことなのか、悩むってなんの為なのか、人との関わりが生きる上で面白味を与えてくれるって教えてくれます。
自分一人で楽しめる本や音楽、けれどそれを共感する人に出会うことも幸せなんだと。
この映画はそんな人生経験を沢山積んできた人ほど共感できるのではないかな。
私も半世紀を生きてきてこの映画を理解できたフリができて嬉しい。
小料理屋の女将の歌は当たり前だけど上手いなと恐れ入りました。
映画の帰り角ハイボールが飲みたくなって買って帰りました。
木漏れ日
『パリ、テキサス』を観て、ヴィム・ヴェンダース監督のイメージって、
静かで淡々としてて、いいロケーションで美しい映像、のイメージだったんだけど、
本作も、静かめで割りと淡々としてますが眠くならなかった。
音楽が印象的で、予告編にも使われたルー・リードや、パティ・スミス、アニマルズ、など、いい音楽が使われ、
東京の風景を美しく切り取って、美しく映画に落とし込んでいます。
ロケーションは浅草の近辺がメインに使われてて、美しく色鮮やかに光るスカイツリーが頻繁に出てきます。
それが、とても良かった。
そして、少しずつ少しずつ、主人公の過去が分かってきて…
静かめでセリフの少ない映画なんだけど、引き込まれて観てました。
エンドロールは最後まで観て下さい。
本作を理解するのに重要な一文が表示されます。
良かったです。
美しい余韻に包まれます。
分からないのに感動!なんだか感謝。
つまんないけど、悪くないドキュメンタリー
置かれた場所で咲くことの幸せ
反復への愛
本作で、第76回カンヌ国際映画祭
最優秀男優賞に輝いた役所さん。
そのニュースを聞いた時から本当に楽しみにしていました!
ヴェンダース監督は勿論、役所さんの大ファンです!
客席も結構埋まっていて嬉しかったです
(誰?w)
東京でトイレ清掃員として働く平山
(役所さん)
毎日同じルーティンをこなし生活している。
朝まだ薄暗い時間、老女が掃除する竹ぼうきの音で目を覚ます。
布団を畳み、歯を磨き、髭を剃る。
植物に水をやり作業着に着替えて、鍵、小銭、ガラケー、フィルムカメラを持って家を出る。少し空を見る。
自販機でコーヒー(BOSS笑)を買う。
車に乗り込みいつもの角でカセットをセットし仕事場へ。。
いくつかの公衆トイレを丁寧に掃除し、昼は神社の一角のベンチでサンドウィッチと牛乳。
カメラで木々の木漏れ日を一枚撮影。
仕事を終えて自転車で銭湯の一番風呂。
その後は駅地下の居酒屋で一杯。
長居はせず、家に戻り、眠りにつく寸前まで本を読む。
休日は部屋の掃除とコインランドリー。写真の現像と古本屋。そして特別な居酒屋へ。
ママ(さゆりさん)が素敵(^。^)
そんな毎日の繰り返し。。
何だろ、見ていてね。
や!!パーフェクトデイズじゃん!!って思ったね!!
平山の淡々とした毎日が愛おしく思えた。
小さな幸せに溢れていて、平山は自分で自分を幸せにする達人だと思った。
平山は古いアパートに1人で住んでいて、質素に暮らしている。
しかし、多くを持たなくとも、不幸には見えない。むしろ、好きな本、写真、植物に囲まれて幸せそうだ。
彼にとって大切な物を慈しみながら丁寧に生きているのが伝わってくる。
そんな彼の生活に他者の起こす小さな波紋が可笑しみやスパイスをもたらすのだけれど、平山は流される事なく、近づけず、近寄らずな距離で自分を保つ。
しかし他人に無関心と言う訳ではなく、チャーミングな面も見られた。
毎日同じようで同じ日は1日もない。
同じ場所から撮る木漏れ日も、1枚として同じに写る事はないのと同じだ。
日が変わる描写として、眠る前に映し出される木漏れ日に重なり、今日1日の中で、彼の心に残ったのであろうシーンが混ざり合う。
このモノクロの印象的なカットが繰り返されるのも興味深い。
平山の過去。
ニコや妹との少しの描写で、多くは語られないが、彼にも手に入れられなかった何か、手放した何かがあったのだろうと想像が膨らんだ。
そしてあのラストに繋がるのだから参ってしまった!!
(彼が選んだ古本は、ウォークナーだったり、パトリシアハイスミスだったり、幸田文だったり。。
博学そうなチョイスで、社会的地位の高い人物だったのではないかと思った。)
東京の描かれ方もステキだった。
アングルが美しい!
スカイツリーをメインに、首都高の複雑な曲線だったり、主役?の都内の様々なオシャレトイレも見所。
私も2箇所利用した事がありました!
(ちょっと良くわからなかった所。
ルーリードは良く知らないが、
パティスミス「Redondo Beach」って!この曲、ポップなレゲエみたいな変な曲だと思っていて、歌詞だって、レズビアンのカップルの1人が自殺するって曲〜!!
ど〜ゆう意味で使ったのかな( ᐛ )
色々書いておきたいのだけど、文才が無さすぎます(°▽°)
役所さん。多くを語らずとも平山に命を吹き込む演技が素晴らしい!
大きな出来事は起こらないのだけれど、グイグイ引き込まれていきました。
久しぶりに興奮してしまった。
仕事に対する考え方や、人生観や価値観までも変わってしまうような作品でした。
「今度は今度、今は今」って良いね♪
脇も個性派の役者さんを贅沢に使っていて驚いた!
あれ?もしかして?◯さんだった?!エンドクレジットで確認。キャットレディだってよwやっぱそうだったw
そしてタカシ(時生)は、
10段階で9!の割合でお金返さないと思う〜笑
ワンオペ確実の冬休み前に、凄い作品を観られました。がんばれそう。
2月のエリセの新作も楽しみだな〜♪
それでもいいんだ。
平山の歳は知らないが役所さんとは2歳違いである。私もおひとり様である。日々黙々とルーティンをこなしている。休日は一言も発しない日もよくある。
私にもささやかなお楽しみはある。映画もそうだし、簡易ジムではひたすら音楽を聴いている。車での移動の時も。
綺麗な景色を見れば幸せだと感じる。
ただ私は平山のような境地にはなれていない。焦っている。人生の最後が刻々と近づいてるのに結果が出てない気がする。私は何をしてきたのかなぁ。
病気になったら働けなくなったらの経済的不安につきまとわれている。
劇中三浦友和が言う。「わからないまま終わるのかなあ」みたいなこと。ああ、みんなそうなんだ。すごく楽になった。
あと楽曲がすごく良かった。プレイレスト作ったけど、誰か全てわかる人教えてください。
11の物語はどこも品切れでした。
ルーティン
とても綺麗な映像に感動しました
自分には合わなかった
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 「東京物語」ならぬ「東京便所物語」。判で押した様に同じ毎日を繰り返していけることが“PERFECT DAYS” という事なんでしょうね。
①石川さゆりも老けましたねえ(確か同い年)。石川さゆりの唄う「朝日のあたる家」も良いけれど、ここはやはり“ちあきなおみ”で聴きたかったねぇ、ちあきなおみバージョンを聴いてしまうと後は全て二番煎じに思えてしまうもの。
②出来れば役所広司のループの様な毎日(蒲団を畳む→水をやる→缶コーヒーを買う→トイレ掃除をする→近くの神社でサンドイッチを食べ写真を撮る→トイレ掃除をする→帰って銭湯に入る→駅側の居酒屋で晩飯を取る→文庫本を読んで寝る)(休みの日にはコインランドリーに行って、古本屋で文庫本を買って、石川さゆりがママをしているクラブに行って)を淡々と延々と描いてくれた方が良かった気もする。
③基本的に誰でも毎日ほぼ同じことを繰り返して生きているわけで、ただ生活パターンは同じことの繰り返しでも、勿論内面では色んな事が心に寄せては返し寄せては返ししている。見るもの遇うものに対して色んな感情がわくし、来し方行く末にも想いを馳せつつ、新しい一日を迎え、また同じ様にその日を生きていく。
役所広司扮する主人公もまさに同じで、ただ映画にするからには、この男にはどんな過去があって、どうして現在の境遇になったのかを知りたい気もするし、普通ならそこを突っ込んで描くだろう。
でも全て想像に任せるというのも一つの映画の形として良いと思う。
④良い奴のようで結局チャラい無責任男だった柄本時生のエピソードや家出した姪と数日暮らすエピソードはまだ良いとして、三浦友和のエピソードは無いかもっと別の形であった方が良かった。
仄かに好意を寄せている女性が知らない男を抱擁している姿にショックを受けて自棄酒を呑んでいるところへ件の男が現れ、実は別れた夫で癌で余命が少ないのが分かったため永遠の別れの前にせめてもう一度別れた妻に会いたかった、という在り来りな設定が映画の底を浅くしたようにも思う。
⑤独り身で生きているけれども、日々出逢う色んな事柄に対して微笑み、笑い、怒り、悲しむ、色んな想いを抱え、でも好きなもの(木、葉、木漏れ日の写真、読書)をやりながらルーティンの様に日々を過ごしている姿に、僭越ながらまるで自分の事を描いてくれている様な錯覚に陥るくらい共感してしまった(特に前半)。
だから、自分にはあまり起こりそうにないエピソードが続く後半に違和感を覚えたのかもしれない。
⑥主人公を極めて寡黙な人間と設定したのが良い。
ラスト、延々と映される役所広司のアップの表情が、ここまで生きてきた、そして今こうして生きているこの男の内面を何より饒舌に語っていたから。(後付けで知った事:バックで流れていたのはニーナ・シモンの「feelin ' good」という曲。歌詞がシンプルだけどすごく良い。主人公が朝を迎える気持ち・日々を過ごす気持ちにピッタリあっている。)
⑦様々に表情を変えるスカイツリーが頻繁に出てくるし、登場する女の子の姿なんかを見ていると確かに令和の話なんだけれども、地方人だからかも知れないが、令和の東京にあんなに昭和が残っているのに少々驚いてしまった。
特に銭湯のシーン。懐かし~です。まだ日のあるうちに湯煙の立つ風呂場に入った時の、あの大きな窓から差し込む日光。
(役所広司の衰えた裸に少々ショック。でも歳を考えたら当たり前か)
ただ、子供が沢山遊んでいる公園にホームレスを住まわせておくかなァ、とあそこだけ?だったけど(大阪でももう見ない光景…)
⑧三浦友和は髪を染めているの丸分かりでしたね。
その他、神社で猫と戯れていた老婆が研ナオコ、昼飯にサンドイッチを食べる役所広司の隣のベンチで同じように昼食を取っているOL、銭湯の二人の常連の老人、写真屋(これも昭~和)の店主、役所広司が常連の居酒屋の店主、早朝に箒で道を掃いている老婆等々、点描される人々も面白い。
⑨この映画を観た人は今後トイレをもっとキレイに使おうと思うでしょうね。
⑩60年代・70年代のカセットテープにあんな高値がつくとはビックリ。
私は恥ずかしながら今やスマホでSpotify を聴いておりますが、昔のカセットは捨てずに結構持ってます。老後の生活に困ったら売ろうかな。
⑪久しぶりにヴァン・モリソンを聴きたくなった。
今度は今度。今は今。
感想
久しぶりに
ヴェンダースの国際興行作品を鑑賞した。やはり、監督はモノクロームの映像表現が秀逸であるのだという事を再認識させられた。
但し、今回は現代日本と日本人が主人公なので色彩美や、個性的な建築群、また東京の風景を表現するには鮮やかさが不可欠であり、旅という視点からも印象的となるカラーを選択したのだろう。
だか、監督において、事の発想と映像化の基本路線はモノクロームが主体でありまた、テーマは様々な世界で生きている多様な人そのものであり、人間模様を旅として表現している事は首尾一貫している。
監督の変わらない視点にいつのどの時代の作品も感動を与えられた。今回も人間模様の旅をしている雰囲気を充分に感じることができた。
また、アジアにしか生息していない銀杏や楓の木漏れ日を主人公は好んで白黒写真に収めており、光と影の描写が、作品のいたるところに表現されていてとても感動した。
『自由』の表現と捉え方
『さすらい』ではヒッピームーブメントの名残りとモラトリアム的自由の表現が主体であったと思う。
『ベルリン天使の詩』で全ての、あらゆる、天上界、人間界を含むあらゆる世界で生きる人々が想う『自由』を映像表現し、時に世界を複雑化させる原因が『自由』である事を考えさせられた。思考も表現も成長してそれぞれの立場、世界が理解できるようになったのだ。
今回の映画では日本人が基本的に持ち合わせている信念の中にある、単なる勝手な『自由』ではない、規律を持ち合わせた『自由』をよく表現している。
多くを語らず信念を持ち、規律を苦とせず、持ち合わせて自分なりの『自由』を謳歌している主人公。
彼の生き方はむしろ時代遅れの感が如実に出ているが、ここには監督なりの人生觀のような、『生き方を常に新しくしなくても良い。温故知新の文明で人は充分に事が足り、むしろ変えなくて良いのだ。』という信仰の様な、敬虔とも言える信念を感じる。
日本人の中には新し物好きで、常に革新を求めて動くという世界観を持った人達が少なからずいて、その様な人達が現代の東京を創った。
その人達の事もリスペクトしながら、監督は温故知新を大切にする日本人も、多いのだという事を今回の作品で教えてくれたような気がする。
よく日本人を理解してなければ、ここまでの映像表現はできない。勿論、役所さんの名演も含めて。
当たり前のように今を生きることがいかに大切な事で、世界でも貴重な事であることが簡単に理解できる。というところで、
⭐️5
2023年度 新作自己最高評価となった。
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