PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
全852件中、401~420件目を表示
まず4:3スタンダードサイズに驚く。最近のシネコンではスタンダード...
まず4:3スタンダードサイズに驚く。最近のシネコンではスタンダードサイズに対応してスクリーンを調整できないのか左右が気になる。
それはさておき、この画面サイズが作品にとって大切なのはほどなくわかる。
ヴェンダースらしい音楽の使い方は想像の範囲内で、それ以上に音が素晴らしい。箒をはく音、木の葉がすれる音、水の音。
役所広司に頼りすぎと言えなくもないが、それがうまくいっているのだから文句はない。
ニコはご愛嬌か、お遊びか。
日本の下町風景がとても観やすかった!
言わずと知れた話題作!
東京には有名クリエイターによる
洒落た公衆トイレが沢山あるらしいと言うのは
何かの情報番組で知っていたので
それも楽しみで観に行きました。
役所広司さんがインタビューで
「本物の清掃員さんに芝居させてる様に
思って貰えたら嬉しい〜〜」的な事を
言っておられたと思うのですが、
色々な小道具を駆使してトイレを清掃する様子は
確かに寡黙な仕事人に観えました。
ハッキリとは語られないけど
何か大きな人生のターニングポイントが
あったらしい1人の男。
特に大きな事件が起きる訳ではないけど
淡々と続く日常。
お正月から大きな地震や事故の起きた今年。
この映画の様に普通の日常が続く事の有り難さが
特に沁みるではないでしょうか〜〜〜。
で、
月に8回ほど映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
ビム・ベンダースの映画は
「パリ・テキサス」を配信で
「ベルリン・天使の詩」を昨年映画館で鑑賞。
両方とも評価が高い作品ですが
私は「パリ・テキサス」はかなり苦手。
埃っぽい荒野の風景と、薄汚い中年男のコントラストが
観ていて退屈で退屈で〜〜
家で配信なんかで観てはいけない種類の映画でしたね。
それを思えば今作はかなり観やすい。
淡々と掃除を続けるシーンが続くのですが
見慣れた東京の下町の様子や
(東京に住んではいないけど、
日本の下町風景はあまり地域差が無いので)
個性的な公衆トイレの形状が画面的に飽きない、
トイレを利用する人との会話のない
ちょっとした触れ合い時に見せる
主人公の表情の変化。
その合間の木漏れ日の描写。
多くを語らない主人公と
多くを語らない編集で
観る者の空想が広がって行く作品。
観た後で誰かと語りたくなる映画でした。
それと役所さんがクローズアップされているので
あまり紹介されていませんが、
ちょっとした脇役が超豪華!!
各所で名バイプレイヤー達がいい仕事してます。
是非映画館で鑑賞して見つけて下さい。
ちなみに主人公が毎朝自販機で買う缶コーヒーは
「アレ」でした!(笑)
10段階で言うと9(タイトルは映画の台詞からです)
タイトルは映画の台詞からです
繰り返す毎日
真面目に働き
酒にも溺れず
風呂に気持ちよく浸かる
眠る際の夢が良い
仕方がなくこの生活をしている雰囲気は無・・・悲壮感が無い
ただ、1人で生きていくのは少しだけ寂しい気持ちはありそうだ
でもこの生活でそこそこ満足している気がする
ルーチンで埋もれていく日々が朝日とともに生き生きとする表情を映す彼が限りなく羨ましい
ずっと観ていられる
毎日寝る前に観たい作品
役所広司の空気感に気持ちよく漂う作品
良いものを観ました
レビューが削除されたようです
昨年末にこの映画を観てすぐレビューを書いた。カンヌで主演男優賞を受賞したこともあり映画の入りも良いようだし評価もすこぶる高い。レビューを読んだ限りでは映画の良し悪し以外にも主人公の生き方に共鳴した人が多いようだ。
その中で私はかなり批判的な内容の投稿をした。
長文になってしまったが、要はこの映画は「THE TOKYO TOILET」プロジェクトとほぼ一体であること、そのうえでプロジェクトの主導者たちがプロジェクトの末端に位置する清掃員の姿を「清貧」でかつ自分たちの趣味指向に合った、いわば都合のよい人に描いてしまう気持ち悪さについて書いた。
実名も挙げているので誹謗中傷と取られたのかもしれない。もちろん運営側からの連絡や説明はない。誠に残念ではあるがそういった方針、姿勢のサイトであると理解したうえで付き合って行くしかないかと思っている。
私の投稿にしてはかなり多めの共鳴者がおられたので削除は私の意図するところではないことを発信しておくため再投稿した。
毎日起こるイレギュラーなことの方が面白い。実際それがないとこの映画も面白くないし、イレギュラーがあってこそのパーフェクトデイズなのかもしれない。
よくわからなかったけど、見ていて思ったのは小津安二郎監督風の映画だということ。
何も事件らしいことは起こらなくて、何気ない日常を切り取っている。
初めは渋谷にできた先進的な公衆トイレを宣伝する目的だったらしく、見たこともないようなきれいなトイレと東京の街並みがたくさん出てくる。
映像的には日本人よりも外国人に受けそうな感じだった。
内容的には貧乏な普通のおじさんの日常生活みたいなことで、これも外国人受けを狙っている感じだった。
金持ちの生活はどこの国でもだいたい同じような感じになるけど、貧乏な人はその国によってかなり違うと思う。
結局外国の人が見たいのはその国の庶民の生活で、できれば体験してみたいのだろうけど、なかなかできないから映画で見せてあげているということかもしれない。
日本人の普通のおじさんである自分が見ると、自分の生活を映画にされているような気がした。
金持ちで上流階級の人、高度で責任ある仕事をしている人の生活はよくわからないけど、普通のおじさんの生活はこんな感じだと思う。
これは映画の題名のような「パーフェクトデイズ」なのかと聞かれれば、普通のおじさんとしてはパーフェクトデイズだと思う。
でも金持ちで上流階級の人、高度で責任ある仕事をしている別世界の人の生活を考えるとパーフェクトデイズではないのかもしれない。
上を見ればきりがないし、他の世界の人のことはわからない。
上の人でもいいことばかりではなく、それなりに苦しいことや悲しいこともあるんだろうから、結局自分の考え方次第で、自分がパーフェクトデイズだと思えばパーフェクトなんだろうと思う。
何もないような生活でも、結構それなりにいろいろあって、完全に同じ日などそれこそタイムリープしない限りない。
毎日毎日同じことの繰り返しのように見えても、細部はかなり違ってくる。
よくわからないけど人生って、何かしらの目標に向かって毎日繰り返していくことの方じゃなくて、その間に起こっている何かしらの煩わしい雑事というか、問題の方なのではないのかと思う時がある。
この映画の主人公も毎日のルーティンワークというより、毎日起こるイレギュラーなことで喜んだり悲しんだり時には怒ったりする。
この映画の題名を文字通りとらえると、毎日のルーティンワークを完璧にこなして何のイレギュラーもないことみたいな気がするけど、それではつまらないと思う。
毎日起こるイレギュラーなことの方が面白い。
実際それがないとこの映画も面白くないし、イレギュラーがあってこそのパーフェクトデイズなのかもしれない。
話す言葉数は少なかったけれど、表情はとても芳醇だった
ヴィム・ヴェンダーズ監督の作品は「パリ・テキサス」に続いて2作品目。
カンヌ金獅子賞受賞作の「パリ・テキサス」の日本公開は1985年だから、僕は19歳、予備校生の頃になる。背伸びをして見た「パリ・テキサス」は、さっぱり良さがわからなかったけれど、ほぼ40年経って見たこの映画は染み入るように伝わってくる映画だった。
役所広司は、この映画でカンヌ最優秀男優賞を受賞した。彼が演じた「平山」という男は確かに存在する、実在する人物のような存在感があった。平山の生い立ちやどうして一人暮らしをしているのか、なぜ今の仕事をしているのか、などはほとんど描かれないまま、彼の日常は存在するように感じた。
私が、平山ともしすれ違うとしたら、どんなシチュエーションなのかわからないけれど、不思議な魅力を漂わせる人物として、気づくことができる大人でありたいなあと思った。
映画は平山の日常を描く。何気ない。朝から始まるルーティーンに基づいた1日を。道を掃く音で目覚め、歯磨きし、BOSSのカフェオレを買い、50年前のロックをカセットから流しながら仕事場へ向かう。
まるで変わらないように映る日々。
もちろん、まるで変わらないわけでもなく、登場人物たちが平山の日常に、「客」として現れていく。変わらない日常のパーツの時もあれば、日常の1日1日をユニークなものとして彩る光源として登場する。
映画のエンドクレジットで紹介される言葉「木漏れ日」。この言葉が日本ならではのユニークなイメージを表現する言葉とは知らなかったが、その言葉の説明として「ほんの一瞬存在する」。一瞬一瞬の光が連なる「木漏れ日」。
平山はその一瞬一瞬の光の連なりを愛していた。
平凡な木々のゆらめきの中にその一瞬の美しさを見つけ、楽しみ、愛した。
彼は同様の美しさを彼の平凡な、変わらない、ルーティーンのような生活の中にきらめく一瞬一瞬の美しさを見つけ、楽しみ、愛しているように感じた。
平山はとても幸せそうに見えた。
持ち物は少なかったけれど、足りないものはなく。
話す言葉数は少なかったけれど、表情はとても芳醇だった。
いい映画だと思った。
40年も経つのだから。
こういった大人の映画も味わるようになったのかもしれないと思った。
さて、一人暮らしの平山の日常だが、ふと思ったことがあった。
彼は料理をしない。
朝食はBOSSのカフェオレ、昼食はサンドイッチとパック牛乳。
夕食は千ベロだろうか。つまみと酎ハイ?(泡がなかったから水割りかな?)
外食というか、自炊ではない。
上手にやりくりをしようとすれば、自炊しないのかなと思いつつ。
そういえば、カップ麺で済ました夕食があったっけ。
ヨーロッパ仕様の日本向け製品
何だろう?日本が舞台なのにフランス映画やドイツ映画みたいなのに驚く。監督ドイツ人が日本を舞台に撮ったらこうなるのかという秀逸な作品ですね。只、役所さんの主役の様に日本で日本人はなれない。そんな生活出来るかと憧れて観終わった。
日本人監督が撮ったらもっと陰湿でカセットテープに素敵な曲がないかな?もっと汚くてトイレなんか撮せないのにと思った。
Perfect days
妹とのやり取りから、ヒラヤマの複雑な家庭環境や過去のトラウマが垣間見え、また、ラストシーンの表情から、毎日単純にハッピーなのではなく、色んな感情を抱えていることが分かる。
それでも、部屋にTVさえ置かない質素な暮らしだが、その仕事ぶりや、暮しぶりから、自分の価値観をしっかり持っていて、自分がどうすれば一番幸せかを知っている。そして、自分で自分の幸せな生き方をコントロール出来ている。
また、ヒラヤマは、何処からか来て、今のアパートに独りで暮らしているが、仕事、銭湯、居酒屋、古本屋、スナックと、人との繋がりを持っていて、決して孤独ではない。
自分は、最近、老人性の鬱症状があるなぁと自覚してるが、少し生き方のヒントを見つけた様な気がする。
何よりも、毎日のルーティンの様に繰り返される生活の中で、朝、アパートのドアを出る時に、息を吸って、空を見上げる表情が好きだ。毎日に希望がある。
Life Wear UNIQLO
UNIQLO、電通、日本財団(とオリンピック)
どんだけ綺麗な映像でまとめても
謎のコネクションとお金の流れが透けて見えちゃう。
著名な建築家とヴェンダース
どんなお粗末なスポンジも
クリームとデコレーションで美味そうに見えちゃう。
この映画は踏み絵
面白いって言えないあなたは
クリエイティブじゃないよって
ていねいに生きるって素晴らしいよって
慎ましやかな生活の中に喜びを見い出しなって
ストーリーに起承転結を求めるのは不粋だよって
役所広司はBOSSのCMキャラクターだよって
日本には小津って巨匠がいるけど知ってる?って
…知らんし、変化に富んだ毎日を
楽しく生きようぜって思いましたよ。
とはいえシーンを思い返すと
カラーなのに全部白黒映像なのはすごいな😎
それぞれの世界のなかで
役所広司さん演じるトイレ清掃員平山の日々と、時折起こる変化を描く。
トイレ清掃員の暮らしは、まさにその日暮らしのようなルーティンの毎日で、顔見知りや行きつけの店はあってもとくに親しい人間関係はないよう。そんな毎日の中でも、平山はその日々の中に小さな楽しみを見出しながら暮らしている。
この世界に生きる各々が各々の世界を生き、それぞれの世界に楽しみや悲しみがある。そして、他人と交わりその2つの世界が交わると、大なり小なり変化が起きる。そんな当たり前なことだけど、ふだんは意識もしないようなことをじんわりと感じられました。
映画で観ているのは、平山というある1人のトイレ清掃員の日常ですが、鑑賞中そして鑑賞後も自分の日常のことを想起したり重ね合わせたり対照したりするような心の動きがありました。きっと見るたびにその時々の生活や心のありようで、感じるものが変わってくると思うし、また定期的に鑑賞したい映画でした。
こんななふうに生きていけたなら…
ヴィム・ベンダース監督と言えば昔池袋にあったアムラックスシアターでトヨタとの匂いを感じるロードムービーを数十年前に見て以来。地元での公開予定なく、大都市へ出掛けた際に鑑賞できた。
TTTの活動啓蒙のためのプロパガンダの側面を持つということで、渋谷の清掃作業員のリアルではなくあくまでもリアルっぽさを描いた、映画のキャッチコピーのような大人のファンタジーとも言えなくもないが、とにかく俳優陣、特に主演の役所広司さんが丁寧に演じる平山の表情、呼吸、感情の揺れの一つ一つに魅了された。
無口な平山だが、後輩や馴染みの小料理屋の女将、家出してきた姪など、描かれない過去から自身が選んだ最低限の人間との交わりの中で、日々変わる木漏れ日のように日常が揺らぐ。
特に姪との交流では、「家出をするならおじさんの所と決めてた」と慕われ、仕事場や銭湯に連れていくなど自分の住む世界を案内はするが、それ以上の慕情は決して受け入れない。姪の一緒に海を見に行きたいとの願いに「今度は今度」と答える平山が切ない。
平山から連絡を受け、運転手付きの高級車で姪を迎えに来た妹と対峙する場面。兄の暮らしへの心配と呵責の混ざった妹の言葉から、かつての平山の住んでいた世界が想像される。平山はここでも葛藤は見せまいとするが、笑顔で見送る涙に心が揺さぶられる。
スマホなどのテクノロジーとは無縁の暮らし。時折現れる東京スカイツリーに象徴される商業主義と対極にある銭湯やカメラ屋、居酒屋、古本屋などが平山の住む世界である。ラストシーンのなんとも言えない表情に、彼の愛する世界も併存する将来であればと思った。
2度目の鑑賞後の思い・・・あなたの生き方は?と問われれば答えは「No」
先ずは1回目の鑑賞後のレビュー
perfectDaysという映画を私なりに読み取ってみて・・・素直に感動はできなかった。
どうしてフォークナー?どうしてルーリード?どうしてアート作品然としたトイレ?
日常の一瞬に見いだせる美や人生のささやかな喜び、そのメイン素材にこれら小道具がどうにも微妙に作用している気がします。
フォークナー?京都の大学で出来の悪い英文学専攻の学生だった自分にとって、ジョイス、ナボコフ、ピンチョンとならんでunreadable(解読不能)な作家の代表だったフォークナー。「野生の棕櫚」?読みましたよ、もちろん翻訳文庫本で。(原書で読むほど頭も時間もなかったです。あ、ついでに金もね)
そういうことですか。事件らしい事件も起こらない、主人公の淡々とした日常描写が連なるこの映画、実は「野生の棕櫚」で並行して描かれた2つの物語を平山という一人の人物の物語に再構築したものなのか。
モノクロームの映像から伝わってくる不穏な感じはハリーとシャーロットの物語とリンクし、平山の凄惨な過去を想起させる。
そして、現在の平山の淡々とルーティンをこなす日々の描写。それはまさに過去を償う囚人の生活。冒頭のHouse of the Rising Sunは足にball and chainの囚人の歌であり、Lou ReedのPerfect Dayも執拗に過去の行いの清算をリフレインして終わる曲。家出した姪っ子をかくまい数日を共にして、結局母親に引き渡すエピソードは、「野生の棕櫚」のもう一人の主人公である囚人が、洪水から妊婦を助ける物語と重なり・・。テレビもスマホもない部屋は囚人が暮らす監獄の部屋のイメージ。けれど、本と音楽に守られた平山にとって、その部屋は監獄でもあるけれど唯一の安寧を得られる温室でもある。
「野生の棕櫚」の囚人が、一旦得られそうになった自由を捨て、あえて監獄に戻ったように、平山もまた壁のない監獄(温室)での生活をこれからも続けていく。平山がラストシーンで流した涙、それは凄惨な過去を「別の世界」でのことと切り離し、今の新しい世界での生活にようやく平安を見いだせた喜びから流した涙のように見えました。
・・・とまあ、フォークナーの作品やら劇中に平山がかける音楽やら、あれこれ周到に配置された仕掛けをひっくるめて、Perfect Daysという映画を読み解いてみて・・・
でもやっぱり素直に感動はできなかった。
だってね、フォークナーとルーリードで武装した役所広司の「ただものでない感」。人生のささやかな、本当の喜び、豊かさ、美しさ・・・それが、選ばれた特別な人種のものになってしまう感じ。既にピカピカに見えるトイレを更に磨き上げる平山は、引退した美学部教授が骨董の青磁を愛でているようにも見えてしまう。
現代アートのようなトイレ?60年代70年代を想起させる文学作品や音楽を取り上げるなら、まさにその時代全盛を誇った(?)落書きだらけのトイレをなぜ登場させない?人々の欲望や哀しみ、得体のしれない熱情が書きつけられたトイレの落書きがなぜ映し出されない?私の暮らす街には今だそんな落書きだらけの公衆トイレがありますよ、東京にだってまだあるんでしょ?
写真現像屋の親父・・・柴田元幸氏ですよね。東大名誉教授、米文学研究者にしてMason &Dixonなど多くの英米文学作品の翻訳家。ここで彼を写真屋の親父に起用する理由って?
フォークナーのパスティーシュとしてのサイン?
そんなこんなで、皆さんそれなりに感動できる映画にしております、でも隠し味が本当に判る人にはもっと、ね・・・
というのが鼻についてどうしても感動できなかった。何より、歴史のひずみや世の中の矛盾が多くの人々の血を流させている現代の事象を己の「関心領域」の外に置き、監獄=温室に引きこもっている主人公のその閉塞性にどうしてももどかしさを感じてしまった。
社会から孤立したうらぶれた老掃除夫が、トイレの落書きに書きなぐられた様々な言葉に自分の過去を重ねながら、それを消していく行為を通して少しずつ世の中に、未来に向きあう自分を取り戻していく、そんな物語なら感動できたかも、なんて思ってしまう自分はつくづくひねくれ者なのかな・・・
あ、平山さん、あなたにぴったりの曲、I Am A Rock なんてどう?
そして2回目の鑑賞後の今の思い・・・
もし、ヴェンダース監督が、この映画を通して私たちそれぞれに、「で、平山のperfect daysは、あなたの生き方としてあり?」と問うているなら、答えはやっぱりNoです。
「世の中には繋がっているようで繋がっていない、別の世界がある」という平山さんの言葉、それの言い換えに過ぎないのだけどやっぱり私は「世の中は繋がっていないようで繋がっている世界でできている」と、特にニコ、あなたのような若い人に言いたい。「変わらないはずがない」と平山さんが言う「変わる」とは「過去と現在の分断」ではなく「過去と現在、そして未来を繋ぐ」意味にとらえたい。テレビや新聞を通して見る世の中の様々な出来事はどうしても自分の関心領域を侵食し、それ故に心をざわつかせたりオロオロしたり・・・そのくせ、大した行動に出れるわけでもなく(せいぜいやや顔をうつむき加減にしながら、反核や反戦のデモに恐る恐る参加したり、ほんのわずかな小銭を募金箱に入れたり・・・)。選びたい候補者がいないなどと言いながら選挙会場に足を運ぶけど、それは要するに選ぶ明確なビジョンを自分自身が持ち合わせていないことに他ならないわけで・・・
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の中の一節、
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
だけを実践するような私の日々です・・・やれやれ。
そんな私には、平山さんのような生き方はできない。「今は今、今度は今度」と言い切れず、「今に引きずる過去は、そのまま未来に繋がっていく」し、木漏れ日の美しさは、スナップショットに切り取った一瞬だけでなく、むしろ時の流れの中、光や色の移ろいの中に見出したい。(まあ、さすがに部屋はもう少し整頓したいですけど・・・あ、作りかけのガンプラのパーツどこいった?)
私自身の生き方を見つめ直した上で、あえてこの映画の評価を2度目の鑑賞後は★一つに下げます。
皆さんはどうなのかしら・・・
日々は続いていく
大きな起伏のない静かな映画だったが、良い作品だった。「ベルリン天使の詩」はレンタルビデオ時代に見たと思うが、ほぼ内容忘れ、もう一度ゆっくり見たくなった。
ルーティンをこなす平山さん。日常が続いていく。行きつけの店、大切な植物、過去は色々あるのだろうけど、友達がいなくてもこれでよい。こんな日々を過ごしてる方は沢山いるだろう。舞台が東京ならではだったかも。
スカイツリーに程近い二階建ての安アパート、隅田川、すごいオシャレなトイレばかりで、見に行ってみようかなと思ってしまった。
カセットテープが懐かしく、でも今の車にカセット聞ける機器あるのかとか、毎朝、玄関には鍵かけないのかとか、図書館は行かないんだなとか、1日の様子に、色々疑問や興味が沸いた。
今の社会は、若い子の知らない物と中高年以上がわからない物(SPOTIFYとか)が共存してるんだなあ。
でも、それでいいんだなと思った。
今日残念だったのは、
・パンフ売り切れ。→再入荷を待つ。
・上映中にスマホ数回見る方が斜め前に。確かに飽きてしまう内容だったかもだが、集中できないので思いきって声かけしてしまった。
解釈難しくても楽しい世界
安っぽく役所さんの人生を振り返らないので解釈は色々だと思います。わたしは、エンディングのアップの長回しで、笑っているようにも、泣いているようにも、疲れているようにも、充実しているようにも、明日が楽しみだと言ってるようにも、いかようにも取れる役所さんの顔がすべてのような気がしました。
少なくても平山はこれまでの人生をしっかり咀嚼して、今の今を生きていると思いました。つまりは充実しているということです。キャッチコピーの通りです。憧れます。
映画はとても面白かったです。田舎の映画館にあんなに客がいるとは思いませんでした。どうでもいいことを考えながら観ていたので備忘録としていくつか書いておきます。
同じ場面をセリフ少なくして何度も何度も繰り返す演出、かなり前ですが小林政広監督の「愛の予感」を思い出しました。
あちこちにキャスティングの面白さがありました。日本人監督ならこうはならないかなと。石川さゆりさんは驚きました。川崎ゆり子さん出てたんですね。解説読むまでわかりませんでした。イメージ変わりましたね。
浅草の地下街、桜橋、隅田川など、わたしは18から24まであの辺りに住んでいたので懐かしく、ただ実際の平山の移動にはいくらか無理あるなと思いました。
三浦友和さんでやや無理やりまとめたような気もしましたが「わからないこと、世の中にはまだまだたくさんあるよ。でも終わりだ」にはグッときました。
大都会の片隅、木漏れ日の中で織成すひと時~ 人の出会いと温もりを感じた!
監督:ヴィム・ヴェンダース作品
彼の作品は『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『ミリオンダラー・ホテル』とかで有名なのかな。どの作品も心地よくて一度は目を閉じて寝るかも~www。
今日は「PERFECT DAYS」を観に行ったぞ。
こう言う作風は本当にいつ見ても彼らしいなぁの一言。
主人公 平山、THE TOKYO TOILETの寡黙な清掃作業員:(役:役所広司さん)。
初っ端から都会の公衆トイレ清掃ってヤツをこれでもか~って位見せてくれる。
ちょっとこのシーンは長いかなと思う。人物像を現わすには必要かもだけども。
清掃車内にかかる懐かしの洋楽がメッチャ心地いいなぁ。そう思って聴きいった方も多いだろう。車の停止やドアの開閉で突如寸断されるメロディに、もっと聴きたいなときっと思う事でしょう。
今時見かけないわ~カーステ。音楽アルバムカセット持ってるけどテープ延び延びやで。
絶対SDとかだと思うけどな、やっぱテープのアナログ音質が受けるのかな。
カメラも同じくでデジカメ多い中、銀塩写真て・・・今時現像店が分かんねぇ。
裏ブタ開けてパトロ-ネからのフィルム供給音、懐かしいナ。
音楽も写真もその時代の味ってやつがそこで現わされていると思う。
トイレ清掃中に見かけた3マス並べ?の落書きメモ回し。
相手は?良く見かけるベンチに腰掛けのOLさんなのかな。それとも女子高生?。メモのやり取りが続いていくって事や、カセット音楽を気に入ってくれた彼女や、樹木の根の元で見つけた新しい植物や、遠くで軽く挨拶してくれるお坊さんなど、木漏れ日の中で覗く彼の周囲の人々の心がほんのりと温かい。そう感じます。
叔父さんと慕い突如やってくる家出の姪。念のため妹に連絡して迎えに来させるが、相手は凄い裕福そう。この対比表現が生む見えない境目がこの作品のテーマなのかと感じます。
TT兄弟じゃないけどw(“T”多い)-THE TOKYO TOILET-この清掃作業着は誇れるものではないの?だからこの作品があるんでしょう?そう思うんだな。
誰かが汚れた後を綺麗にする、だから明日が(次が)ある!そう思うんだよネ。
残念な所を一点あげるなら、多分 平山は真面目で独身だけど、居酒屋の女将(役:石川さゆりさん)に好意があった様なんだな。最終的に勘違いだったけども抱きついてた元夫との姿を見て 急にその場から去って、あんなにタバコに酒に急に溺れるかね?あれは有り得んよと思う。
その後 気にして追いかけてきた元夫が まさかの初対面に病名告白。かつ元女房をヨロシクと言うのだ。展開流れが今まで各駅停車でのんびりと旅してた気分だったのに、最後きて急に新幹線に乗って最終目的地に着いた~って感じしたわ。それとラストカットの運転席の場面で真っ直ぐ走っている車なのにハンドルに手を掛けて回しすぎだよと思うw(細かく見ててゴメン)。そこがとっても残念!
「君の名は。」かと思うぐらいとても綺麗な都会の朝焼けシーン。その街中をゆっくりと清掃車がカセット音楽を奏でながら 今日に、明日に ほんのりと温かい心に満たされた彼が走って行く~。
興味ある方は 是非劇場へどうぞ!
成熟かおとぎ話か
『PERFECT DAYS』成熟した社会のおとぎ話でしょうか。ヴィム・ベンダースの一つの提案、年寄りはこの映画を見ると自分の今後はこれでいいやと思うのですが、若い人には物足りないでしょうね。消費は美徳という時代を経験して到達した生活ですから。
高度成長期、バブルそして崩壊
高度成長期、バブル期を通り過ぎて行き着いたところでしょうか。
主人公は、映画では50代の独身のように思われ。
東京の下町の風呂なしアパートに住み。
公園のトイレ清掃で生計を立てている。
これといってお金のかかる趣味があるわけではなく。
室内には、丁寧に育てている観葉植物。
仕事の後は、銭湯でさっぱりして、浅草あたりの安酒屋で一杯。
自宅に戻り、おもに部屋では読書。
まるで、現代の仙人の趣。
年齢からして、日本経済が、イケイケのころも知っているはず。
「24時間戦えますか」なんて時代もありましたね。
自分にとって大切なものとは
そう、この主人公にとっては。
このささやかな生活で、十分幸福なんだと。
人それぞれ器というものがあって。
この主人公は、幸福の器がこの映画の大きさなんだと。
人間ある程度年齢が行けば、ある程度見えててくるのですが。
幸福と感じる器の大きさが、そんなに大きくないほうが、人間をやれるよなと。
この映画を見てるとそう感じさせます。
ヴィム・ヴェンダースの結論でもあるかのようです。
人間一人生きてゆくのには、そんなにお金はかからない。
お金のかけ方にもよりますが。
この主人公のように、幸福感の器はそんなに大きくなく。
そして、お金がなくても創造的に生活できる工夫ができればですが。
ヴィム・ベンダースは、「お金がなくても、幸せになれるよ」と言っているかのようです。
東京の下町とトイレ掃除
ヴィム・ベンダースはこの2つを選択したようです。
東京下町の風景が、なにか刺さるものがあったのでしょうね。
ただ、これはあくまで映画でのお話。
いわゆる、下町幻想でしょうか。
実際には、下町は、首都圏以外から流入した新住民の街。
かつての人情などあるわけもなく。
意外と、殺伐としていて住みにくいところなんですが。
あと公園のトイレ掃除ですよね。
最新のオシャレな公衆トイレしか出てきませんが。
確かに、日本の公衆トイレはかなりキレイになりました。
だけど、この主人公の作業するようなキレイなところばかりでないのが現実。
特に、駅のトイレの掃除などは、かなり心が折れる場面に遭遇するのですが。
このあたりが、現代のおとぎ話でしょうか。
ほぼストレスフリーな生活
主人公のように、収入は少ないが。
人と多く交わることもなく、自分のペースで仕事ができて。
贅沢をしなければ、自らが満足できる生活を送れる。
そんな生き方を提案してるんだろうな。
まあ、それも悪くないけど。
やはり、年寄りになればそうならざる負えないと思うのです。
それでいて、昭和の活気を知っている者にとっては。
あの消費は美徳とまでは言いませんが。
あのエネルギッシュな時代が懐かしいのも事実。
さあ、あなたはどんな人生を送りますか。
すべては、アナタ次第です。
木漏れ日ライフ🍃
東京には、こんなに珍しい公衆トイレがあるのだなあ、と感心しながら観ました。
こんなにおもしろくて、清潔なら、ぜひ入りたいです。
平山は、無口で社交的ではないけれど、言うべきことはきちんと言うし、人を惹きつける魅力もあります。
平山が仕事を終えて食べに行く、行きつけのお店も美味しそうだし、古書店も、住んでいる家も、味があり、全部おしゃれに見えました。
一見、誰にでも送れそうだけれど、かなりハイレベルな生活だと思います。
出てくる女の人の顔の系統が似ていると思いました。
監督の好みなのかな?
前の席の方が長身だったようで、背もたれの上に全部の頭があり、画面中央の下半分近くが見えず、苦しかったです🥲
背の高い方は、できましたら、少し体をずらしていただけるとありがたいです🙇
あっという間に
あっという間に終わった。
えっ、これでという感じだった。
役所広司の言葉のない演技、良かったですねー
過去が全くでてこなくて、ちょっとびっくりしたけど、終わってみると、こういうゆったりした、静かな映画はないだろう。
僕もこんな毎日を過ごして人生を全うしたい。
定期的に観たい!
幸せとは他人と比べる物ではなく自分で決める。日々の暮らしの中で見失って仕舞いそうな物を気づかされてくれるとても素晴らしい作品でした。何かツラい事があった時定期的に見直したくなる、そんな気分になった!
全852件中、401~420件目を表示