「起きて半畳」PERFECT DAYS 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
起きて半畳
舞台は東京だけど、監督が外国人で、外国で賞を取ったという情報が先行して、外国人の眼で見てしまう。寝具を毎日たたむんだ!とか、共同浴場に知らない同士で入るんだ!とか。何ならかかる曲もほぼ洋楽だし。
主人公はアキ・カウリスマキの登場人物以上に無口だ。「サムライ」のアラン・ドロンに似た印象も受けた。あちらは殺し屋で、こちらは清掃員だが、仕事を終えてひとりの部屋に帰ってくると、あちらは小鳥の世話をし、こちらは鉢植えの世話をする。
淡々とした生活を描写するのは悪くはないが、随所に置かれた背景があまりにステレオタイプに思える。居酒屋の客や公園の女、舞踏家などなど。影踏みのくだりもわざとらしい。斬新なトイレを紹介するのはいいけど、一応劇映画なのだから。たびたび挿入されるモノクロのインサートは最後までよくわからなかった。このプロットで「PERFECT DAYS」のタイトルは、狙いすぎ。
端正な作品とは思うが、かと言って積極的に面白いとも言えなかった。
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