「規則正しくて、つましい生き方だと思うけど、さみしくないのかな?」PERFECT DAYS 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
規則正しくて、つましい生き方だと思うけど、さみしくないのかな?
私だったら、とても淋しくて堪えられないと思う。まず、無口なこと。いろいろな思いを内に秘めて、つらくないのかなぁ? どんどん膨らんでいって破裂しちゃわないのかな? 「王子さまの耳はロバの耳」ではないが、穴を掘ってその穴の中にすべてぶちまけるとかしないとおかしくなってしまいそうだ。次に、情報がないこと。新聞を読んでいなかったし、部屋にテレビもなかった。今身の回りで起きていることを全然知らなくて、不安じゃないのかな? 現在は情報過多で、誤った情報も流れてくるけど、取り残される気がしないのかな。それから、友だちや家族がいないこと。知合いはいても、友だちらしき人はいなかった。家族とは絶縁状態。人って、人と交わっていかないと生きていけないんじゃないかな。いろいろ考えていって、それらが欠けている平山の生き方は私にはできない、到底無理。監督のインタビューなどを読むと、平山の名前の由来が「東京物語」から取っているとか、僧をイメージしているとか答えている。私はリアリティに欠けていると思ったが、もしかしたら、現実では絶対無理だから、理想の生き方として描いたのかな? だんだんそう思えてきた。ラストシーンの平山の泣いているような、微笑んでいるような表情はどういう意味だったのだろうか? 木漏れ日という言葉は、英語では一言では言えないそうで、日本人として響きもすてきだし、誇りに思えた。